34 / 35
34話
しおりを挟む
斬り落とされた首はグロいのであまり見ないようにして、エマの元にまで駆け寄る。
「エマ!」
「し・・・歩希さん!」
檻をぶっ壊し、エマを抱き寄せる。
エマから名前で呼ばれたのは2ヶ月半前ぐらいなので少し違和感があるが、そんな事より助けられてよかったという安心感の方が大きかった。
「私のせいで歩希さんが死んだら・・・そう考えるだけで胸が苦しくなります。だから、無理だけはしないでください」
「俺のせいでエマが誘拐されたんだ。俺が死んでもエマを助ける。それがさがってもんだ。あと、俺らは同い歳なんだし、さん付けも敬語も要らないから!」
「わかっ・・・た。ホントにありがとうね。歩希!」
そんなこんなでエマを助け出し、何かされたか?や身体に異常はないか?などと質問していたら、雨は止み、辺りは既に暗くなっていた。
「さて、どうするかだな・・・」
「暗い中、山を下山するのは危ないって聞いた事あるよ、歩希」
「そうだよなぁ」
悩んでいると上空からホバリング音が聞こえたので俺とエマ、2人は同時に上を見る。なんの塗装もされてないヘリコプターが俺らの真上で止まる。
敵か味方か・・・・分からない以上、俺は日本刀に手を伸ばす。エマは今武装なし。戦いとなったら俺が1人で戦うことになる。
「歩希・・・」
不安そうな声を漏らすエマの頭を撫でて落ち着かせるが、注意は怠らない。
数秒後、扉の開いたヘリコプターからロープハシゴが垂らされる。そしてその開いた扉から顔を覗かせて、「乗って!」と言う夕貴。
それを見るなり俺は心を落ち着かせる。ロープハシゴを俺らは登り、ヘリコプターの中へと乗り込む。
「いやぁ、助かったよ。下山するかしないか迷ってたからところだったからな・・・・」
「ホント、俺がヘリコプター操縦できたおかげだな」
その声は聞き慣れたものではあったが、ここ数ヶ月は1度も聞いてなかった。操縦席に座っていたのは
「奏斗さん!?」
これは驚き、予想外。アベルとかかと思ったら、奏斗さんだった。
「いやぁ、久しぶりだな」
「なんでいんすか?」
「ちょうど歩希と入れ替わりで来たのよ。って、これも驚いたけど、カノッシュ!仲間にしたの?」
夕貴は模擬戦の時遭難してたので、カノッシュの事は俺が教えてあげた。俺より倍は強い奴がいるって。
てか、アイツもう拠点に着いたのか・・・カルフォルニアの山としか言ってないんだけどなぁ・・・・
「あぁ、アイツは常識人だったからな。行く道迷ってたから仲間に入れた。ってか、カノッシュよりも奏斗さん!なんでいんすか?」
エマの声がしないなと、思ったら、子供のような目をしつつ、外を眺めている。
「俺か?・・・・お前ら1回日本には来ただろ?」
「はい」
「その時にな、再調査されたんだ。夕貴ちゃんと歩希に深い関わりがあった対能力者撲滅局の幹部全員。他のみんなは俺なんかよりもっと上の役職だから未だに調査されてるけど、俺は現在、交番勤務の雑魚ってなってるから調査もササッと終わらせられたんだよ。これ以上変に嗅ぎ付かれてもウザイからな、なんなら今すぐアメリカに飛ぶか、ってなったんだよ」
「なんか、すごいっすね」
その後、俺たちは適当な話をしたり、どんな仲間がいるって感じの話をしていた。エマは俺らの話を邪魔しないようにか、シンプルに景色が好きなのか、ずっと外を見ている。
「遅くないっすか?」
話に夢中になっていたので気づかなかったが、既に日が登り始めている。それは一晩越したことに直結する。
「俺も思った」
「俺も思った、って奏斗さんが操縦してるでしょ!」
マジで、ほんとに頑張れば歩いて行ける距離だったのに全然つかない。
そんな時、エマが声を荒らげる。
「師匠!なんか火が出てます!」
「え?マジで?・・・・マジじゃん!」
「やべぇ、わからんけど、爆発するぞ!」
扉を蹴り破り、思いっきり外に飛ぶ。
これがパラシュート無しスカイダイビングか・・・・
そんな事を思っていたらヘリコプターが爆発した。破片が散らばりながら俺らと一緒に地面へと落ちていく。
その散らばった破片にエマと奏斗さんは激突して意識を無くす。夕貴はさっきまでウトウトしていたのに既に完全に意識を覚醒させていて、破片を躱していた。
「夕貴はエマを頼む!」
俺はアニメでよくある平泳ぎのようにして奏斗さんの元にまで近寄り、手を掴む。
高速で落下する中、下を見回すと下はここから見ても分かるほど廃ビルが数個と、更地だった。
「歩希、やることわかってるでしょ?」
エマの手を掴んでいる夕貴がこちらを見ながら言うので、頷く。
地面との距離は徐々に近づいていく。
100メートル・・・80メートル・・・50メートル・・・20メートル・・・10メートル・・・5メートル・・・3メートル
3メートルになった瞬間に悪魔の能力を発動し、3式で重力を破壊する。
今までものすごいスピードで落下していたが、急に何事も無かったかのようにゆっくりと着地する。
夕貴の方もできたようだ。
「誰かなぁ、人の敷地に勝手に入ってきたのは・・・」
その声は俺のものでも夕貴のものでもなかった。
「エマ!」
「し・・・歩希さん!」
檻をぶっ壊し、エマを抱き寄せる。
エマから名前で呼ばれたのは2ヶ月半前ぐらいなので少し違和感があるが、そんな事より助けられてよかったという安心感の方が大きかった。
「私のせいで歩希さんが死んだら・・・そう考えるだけで胸が苦しくなります。だから、無理だけはしないでください」
「俺のせいでエマが誘拐されたんだ。俺が死んでもエマを助ける。それがさがってもんだ。あと、俺らは同い歳なんだし、さん付けも敬語も要らないから!」
「わかっ・・・た。ホントにありがとうね。歩希!」
そんなこんなでエマを助け出し、何かされたか?や身体に異常はないか?などと質問していたら、雨は止み、辺りは既に暗くなっていた。
「さて、どうするかだな・・・」
「暗い中、山を下山するのは危ないって聞いた事あるよ、歩希」
「そうだよなぁ」
悩んでいると上空からホバリング音が聞こえたので俺とエマ、2人は同時に上を見る。なんの塗装もされてないヘリコプターが俺らの真上で止まる。
敵か味方か・・・・分からない以上、俺は日本刀に手を伸ばす。エマは今武装なし。戦いとなったら俺が1人で戦うことになる。
「歩希・・・」
不安そうな声を漏らすエマの頭を撫でて落ち着かせるが、注意は怠らない。
数秒後、扉の開いたヘリコプターからロープハシゴが垂らされる。そしてその開いた扉から顔を覗かせて、「乗って!」と言う夕貴。
それを見るなり俺は心を落ち着かせる。ロープハシゴを俺らは登り、ヘリコプターの中へと乗り込む。
「いやぁ、助かったよ。下山するかしないか迷ってたからところだったからな・・・・」
「ホント、俺がヘリコプター操縦できたおかげだな」
その声は聞き慣れたものではあったが、ここ数ヶ月は1度も聞いてなかった。操縦席に座っていたのは
「奏斗さん!?」
これは驚き、予想外。アベルとかかと思ったら、奏斗さんだった。
「いやぁ、久しぶりだな」
「なんでいんすか?」
「ちょうど歩希と入れ替わりで来たのよ。って、これも驚いたけど、カノッシュ!仲間にしたの?」
夕貴は模擬戦の時遭難してたので、カノッシュの事は俺が教えてあげた。俺より倍は強い奴がいるって。
てか、アイツもう拠点に着いたのか・・・カルフォルニアの山としか言ってないんだけどなぁ・・・・
「あぁ、アイツは常識人だったからな。行く道迷ってたから仲間に入れた。ってか、カノッシュよりも奏斗さん!なんでいんすか?」
エマの声がしないなと、思ったら、子供のような目をしつつ、外を眺めている。
「俺か?・・・・お前ら1回日本には来ただろ?」
「はい」
「その時にな、再調査されたんだ。夕貴ちゃんと歩希に深い関わりがあった対能力者撲滅局の幹部全員。他のみんなは俺なんかよりもっと上の役職だから未だに調査されてるけど、俺は現在、交番勤務の雑魚ってなってるから調査もササッと終わらせられたんだよ。これ以上変に嗅ぎ付かれてもウザイからな、なんなら今すぐアメリカに飛ぶか、ってなったんだよ」
「なんか、すごいっすね」
その後、俺たちは適当な話をしたり、どんな仲間がいるって感じの話をしていた。エマは俺らの話を邪魔しないようにか、シンプルに景色が好きなのか、ずっと外を見ている。
「遅くないっすか?」
話に夢中になっていたので気づかなかったが、既に日が登り始めている。それは一晩越したことに直結する。
「俺も思った」
「俺も思った、って奏斗さんが操縦してるでしょ!」
マジで、ほんとに頑張れば歩いて行ける距離だったのに全然つかない。
そんな時、エマが声を荒らげる。
「師匠!なんか火が出てます!」
「え?マジで?・・・・マジじゃん!」
「やべぇ、わからんけど、爆発するぞ!」
扉を蹴り破り、思いっきり外に飛ぶ。
これがパラシュート無しスカイダイビングか・・・・
そんな事を思っていたらヘリコプターが爆発した。破片が散らばりながら俺らと一緒に地面へと落ちていく。
その散らばった破片にエマと奏斗さんは激突して意識を無くす。夕貴はさっきまでウトウトしていたのに既に完全に意識を覚醒させていて、破片を躱していた。
「夕貴はエマを頼む!」
俺はアニメでよくある平泳ぎのようにして奏斗さんの元にまで近寄り、手を掴む。
高速で落下する中、下を見回すと下はここから見ても分かるほど廃ビルが数個と、更地だった。
「歩希、やることわかってるでしょ?」
エマの手を掴んでいる夕貴がこちらを見ながら言うので、頷く。
地面との距離は徐々に近づいていく。
100メートル・・・80メートル・・・50メートル・・・20メートル・・・10メートル・・・5メートル・・・3メートル
3メートルになった瞬間に悪魔の能力を発動し、3式で重力を破壊する。
今までものすごいスピードで落下していたが、急に何事も無かったかのようにゆっくりと着地する。
夕貴の方もできたようだ。
「誰かなぁ、人の敷地に勝手に入ってきたのは・・・」
その声は俺のものでも夕貴のものでもなかった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる