あのときは泣きたかった。

エピソード128

「ついに、俺たちの小学生が終わった..。」
「ああ。」
 
 授与式で涙を流しながら、合唱を歌う上川、憧れの二人であり、地元の仲間がまた一人旅立つ..。
 
「上川じゃないか!」

卒業生を見送る会に代わり、上川が花束を渡す..。
「北し羅監督からです。」
「とんだ、サプライズ..でも、俺達はこれからも監督の下で頑張っていく..。」

「そうだ、山口、これは感謝の花束ではない、続いていく、続きの物語だ..。」

「..。」


「何?寒かった?」

「..先輩、一応、卒業祝の花束です。」


「大丈夫だ、ホリー、テストが待っている..。」

「それを言うな、山口、..今猛勉強中なんだ..。」

「やはり制服着た姿だと違いますね。」

「はは。」
山口は笑う..。
「素敵な曲と、卒業式だった。ありがとう。」
さすがに山口の頬に涙が流れる..。
「ここに真琴ちゃんがいなくてよかった..こんな泣き顔は見せられないよ..。」
「大丈夫だ、山口。」

「おっ。」
上川が少し驚く..。
「いっくんがいる..。」
「しまった、写真家がいた..。」

「大丈夫だよ、康くん、野球プレーヤーがオフシーズンの卒業式は絵にならないよ..。」
「さすが、足賀田史上稀に見る、画家だ..。」
「ぶっちゃけ、ホエールズの皆さんよりも東京に行ってますけどね。」

「見ろ、これが鏡だ。上川..。」

「勉強になります。」