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岡坂宗介(2)
老兵は語らず、ただ消え行くのみ
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こうやって、『独白』としてお話するのは初めましてですね。みなさんこんばんは。岡坂登生16歳です。
昼の間に、母親と会って話し合いをしてきました。彼女、仙台でいい人を見つけて再婚するのだそうで…。うん。お互いにとって、これが一番いい事なのだと思います。少し寂しいけど、今のおれには愛する人がいますから。それに、ずっとおれの事を見守ってくれるひい爺ちゃんも…。
でもうちのひい爺ちゃん、一体いつになったら日本に帰ってくるんだろう。雪兎くんのお祖父様は、帰国して仙台七夕に合流するって聞きましたけど。
ところで、『愛する人』と言えば…。お母さんに、幼なじみの縁と付き合ってる事を打ち明けちゃいました。ついでに、ずっと昔から男性が好きだった事も。大して、驚きもしてませんでしたよ。おれと縁の仲の良さが尋常ではないので、だいたい察していたのだそうで。
そうかぁ。上手く隠していたつもりだったけど、母親ってそんなものかなぁ…。あ。噂をすれば、彼です。
こうやって、『独白』としてお話するのは初めましてですね。みなさんこんばんは。笹川縁16歳です。
他ならぬ、ハヤテちゃん…。ソウスケさんの手によって、浴衣を着付けてもらいました。『男前が、いっそう際立ったの!デート、めいっぱい楽しんでおいで。トオイの事、絶対に落として来るんじゃぞ~』だそうです。
お互い軽口を叩いてましたが、何となくこれでもう会う事はないと察していました。不思議です。洪水のように哀しみが押し寄せてくるのに、同じ勢いで彼への執心が消えて行く自分が分かる。これは彼自身が言うように、存在が希薄になっているためかそれとも…。
とりあえずは、今ここに浴衣姿をした愛らしいトオイがいます。オレは、彼の分まで全身全霊込めてトオイを愛し抜くと誓いました。さようなら。みんながあなたの事を忘れたとしても、オレだけは絶対に忘れない。
「お待たせ。それじゃあ、行こうか。トオイ…」
みなさんこんにちは。かつて、辻村颯であった者じゃぞい。ひ孫のトオイが、想い人の彼に手を引かれて行きおった。良かった、良かった。これでもう、思い残す事はないわい。老兵は語らず、ただ消え行くのみじゃ…。
だけど…。ワシの目からは、どうして涙が溢れて止まる事がないんじゃろう。どうしてワシの胸は、こんなにも張り裂けそうに痛むのじゃろう。ワシは一体、どちらに対して嫉妬をしておるんじゃ?
堪えきれず駆け出した所、目の前が真っ赤に染まるのが分かった。およそ、比喩表現はナシじゃ。これは、ワシが若返った時と同じ…。ワシはこれから、どうなるんじゃろう。何度も考えたように、元に戻るのかそれとも…。
どっちでも、えぇわい。ワシにはもう、思い残す事は何もないのじゃから。のう…。と話しかけた相手が、いづみであったか七夜であったか。
昼の間に、母親と会って話し合いをしてきました。彼女、仙台でいい人を見つけて再婚するのだそうで…。うん。お互いにとって、これが一番いい事なのだと思います。少し寂しいけど、今のおれには愛する人がいますから。それに、ずっとおれの事を見守ってくれるひい爺ちゃんも…。
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そうかぁ。上手く隠していたつもりだったけど、母親ってそんなものかなぁ…。あ。噂をすれば、彼です。
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お互い軽口を叩いてましたが、何となくこれでもう会う事はないと察していました。不思議です。洪水のように哀しみが押し寄せてくるのに、同じ勢いで彼への執心が消えて行く自分が分かる。これは彼自身が言うように、存在が希薄になっているためかそれとも…。
とりあえずは、今ここに浴衣姿をした愛らしいトオイがいます。オレは、彼の分まで全身全霊込めてトオイを愛し抜くと誓いました。さようなら。みんながあなたの事を忘れたとしても、オレだけは絶対に忘れない。
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