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いま、何でもするって言ったよね
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みなさんこんにちは、七原梢8歳です。
小学二年生になりました。憧れの雪兎兄ちゃんは卒業しちゃったけど、家が近いのでちょいちょい顔は合わせています。
卒業で思い出したけど、卒業生代表として答辞読んだんですよ彼。小学生って普通、ほとんどの生徒が声を合わせて「ぼくたちは今日、卒業します」「卒業します!」じゃないですか。そう言うのとは別に、壇上に上がって自作の文章読んでました。めちゃくちゃ落ち着いてて、堂に入ってましたよ。しょっちゅう作文コンクールとかで表彰されてたから、場慣れしてたんでしょうね。俺も年齢が年齢なら、ペンライトとうちわを掲げて盛大に応援していたと思います。
さて、前置きが長くなった。低学年なのでまだまだ下校が早いんですけど、たまたまテスト期間で早帰りだった雪兎兄ちゃんと出くわしたんですよ。歩いていたら、後ろから自転車に乗ったお兄ちゃんに呼びかけられました。地元の市立なのでそんな遠くもないけど、中学生になってからは自転車通学してるんですよね。
中学生と言えば、制服で学ラン着るようになったんだけど…。今思えば、絶望的に似合ってなかったなぁ。高校のブレザー(現在の俺が着てるやつね)の方が、100倍似合ってたと思う。この時は「大人だなぁ」って憧れもあって、そんな気にならなかったけどね。
積もる話もそこそこに、雪兎兄ちゃんの家にお邪魔する流れとなった。一年間学校でお世話になってたけど、家に招待されるのは初めて。二つ返事で、承諾しましたとも。話には聞いていたけど、割と絵に描いたような大豪邸でした。あんまり豪華なので、逆に友達誘いにくいんですって。気持ちは、分からなくもないかなぁ…。いや、やっぱ分かんない。
何度か会った事のある、雪兎くんの母親と挨拶しました。息子ばっかり四人も産んだとは思えない、若くて美しい女性です。どっかの女優さんで、こう言う人いそうだ。この日は、手作りだとか言うチェリーパイをご馳走になりました。これまた、店で買って食うみたいな絶品だった。
お部屋で遊ぶ事になって、二階に上がりました。その時、廊下ですれ違ったのが…。伊勢嶋トミさん。雪兎くんの、お祖母ちゃんですね。この頃はまだ、自宅内を歩くくらいは出来ていたんだ。これまた、丁寧に挨拶してもらいました。本当に優しくて、いいお祖母ちゃんだったなぁ。
さて、雪兎くんとお部屋に通されました。幼心に、何だかいけない事をしているような気がして緊張する。まるで、彼女と初めてお部屋デートするみたいな?彼女も何も、近所の年上のお兄ちゃんに部屋通されたってだけですが。
お母さんやお手伝いさんがこまめに掃除してるらしくて、部屋自体は綺麗にしてましたよ。ただ本人に整頓能力はないらしく、読んだ本はそこらへんに散らかされていました。漫画とか含め、年間の読書量半端ないらしいよ。そしてオタクゆえ、蔵書量も半端なかった。壁一面の本棚に、漫画や小説がギッチリと。参考書や問題集の類が一切見当たらないけど、いつ勉強してるんだろうこの人。
飲み物持ってくるから、って事でそのまま部屋で待たされました。ついさっき、たっぷり紅茶もご馳走になったばかりだけど…。まぁ、せっかく気を使ってくれるんだし。
一人残されて、床に散らばった漫画たちを眺めていると…。中に一冊、気になる本を見つけた。表紙に描かれたキャラクターは、「プリティ・ラジエーション」通称「プリラジ」。当時アニメ化もされて、人気だった少年漫画だ。だけど、どう見てもその絵柄は作者のものではない。公式の、ファンブックか何かだろうか?
気になって、中を広げてみた。表紙とは、また違う絵柄の漫画が何作か収録されている。何人かの作家の、共同執筆であるらしい。後に、「アンソロジー」と言う言葉を知った。内容は、「プリラジ」の主人公とライバルが…。あるいは、主人公と脇役が。はたまた、脇役と脇役が。無作為に登場しては、抱き合ったりキスをしている。ちなみに男子水泳部の話なので、登場人物は全員男だよ。
これは…何かが変だと、幼心に感じた。それと同時に、何か新しい感情が幼い胸に芽生えた気がした。それが何と言う名前の感情か、この頃は知らない。続きが気になって、次々にページを読み進めていると…。
「梢くん、お待たせーってうぉおあ!?だ、駄目だよ梢くん。これは、君のように純粋なお子様が見るような代物では…」
「…じゅんすいだと、見れない本って?」
「そこ、気にする?いいじゃない、何だってさ。この本は、君が見るには早いよ。ってかむしろ、一生見なくていいよ。その方が、人生幸せだ」
「エロ本?」
「どこで覚えたの、そんな言葉!?それ、よそで言っちゃ駄目だよ!?えーと。これは全年齢向けだから、エロ本って訳じゃ…。って、そう言う問題じゃない!その、ちょっと特殊な嗜好の方々向けの本だよ。自分が書く小説のため、資料として購入したんだ。内容には、カケラの興味もないんだけどね(ウソ)」
「そうなんだ。ゆきとお兄ちゃん、小説書いてるんだねぇ。こんど見せて。ってか『しりょう』だか何だか知らないけど、もう読んじゃった。『プリラジ』の、マヒロとミカがキスしてた。何だか、変なきもち。おれ、『じゅんすい』じゃなくなっちゃったの?」
「うぅ。適当に読んだ本散らかしてた、俺の責任だ。謝って済む問題じゃないけど、お詫びのためなら何でもするから…。あ。あと、出来たら親御さんには言わないで」
「ん?いま、何でもするって言ったよね?分かった。いますぐじゃないけど、何してもらうか考えとくから。かくごしといて」
「うぅ…。俺だって、(腐っても)男だ。男に二言はないよ。だけど出来れば、お手柔らかにね」
「分かった。ところで、この本に出てた『ドライ』ってどういう意味?」
「君、分かって聞いてるんじゃないよね!?」
小学二年生になりました。憧れの雪兎兄ちゃんは卒業しちゃったけど、家が近いのでちょいちょい顔は合わせています。
卒業で思い出したけど、卒業生代表として答辞読んだんですよ彼。小学生って普通、ほとんどの生徒が声を合わせて「ぼくたちは今日、卒業します」「卒業します!」じゃないですか。そう言うのとは別に、壇上に上がって自作の文章読んでました。めちゃくちゃ落ち着いてて、堂に入ってましたよ。しょっちゅう作文コンクールとかで表彰されてたから、場慣れしてたんでしょうね。俺も年齢が年齢なら、ペンライトとうちわを掲げて盛大に応援していたと思います。
さて、前置きが長くなった。低学年なのでまだまだ下校が早いんですけど、たまたまテスト期間で早帰りだった雪兎兄ちゃんと出くわしたんですよ。歩いていたら、後ろから自転車に乗ったお兄ちゃんに呼びかけられました。地元の市立なのでそんな遠くもないけど、中学生になってからは自転車通学してるんですよね。
中学生と言えば、制服で学ラン着るようになったんだけど…。今思えば、絶望的に似合ってなかったなぁ。高校のブレザー(現在の俺が着てるやつね)の方が、100倍似合ってたと思う。この時は「大人だなぁ」って憧れもあって、そんな気にならなかったけどね。
積もる話もそこそこに、雪兎兄ちゃんの家にお邪魔する流れとなった。一年間学校でお世話になってたけど、家に招待されるのは初めて。二つ返事で、承諾しましたとも。話には聞いていたけど、割と絵に描いたような大豪邸でした。あんまり豪華なので、逆に友達誘いにくいんですって。気持ちは、分からなくもないかなぁ…。いや、やっぱ分かんない。
何度か会った事のある、雪兎くんの母親と挨拶しました。息子ばっかり四人も産んだとは思えない、若くて美しい女性です。どっかの女優さんで、こう言う人いそうだ。この日は、手作りだとか言うチェリーパイをご馳走になりました。これまた、店で買って食うみたいな絶品だった。
お部屋で遊ぶ事になって、二階に上がりました。その時、廊下ですれ違ったのが…。伊勢嶋トミさん。雪兎くんの、お祖母ちゃんですね。この頃はまだ、自宅内を歩くくらいは出来ていたんだ。これまた、丁寧に挨拶してもらいました。本当に優しくて、いいお祖母ちゃんだったなぁ。
さて、雪兎くんとお部屋に通されました。幼心に、何だかいけない事をしているような気がして緊張する。まるで、彼女と初めてお部屋デートするみたいな?彼女も何も、近所の年上のお兄ちゃんに部屋通されたってだけですが。
お母さんやお手伝いさんがこまめに掃除してるらしくて、部屋自体は綺麗にしてましたよ。ただ本人に整頓能力はないらしく、読んだ本はそこらへんに散らかされていました。漫画とか含め、年間の読書量半端ないらしいよ。そしてオタクゆえ、蔵書量も半端なかった。壁一面の本棚に、漫画や小説がギッチリと。参考書や問題集の類が一切見当たらないけど、いつ勉強してるんだろうこの人。
飲み物持ってくるから、って事でそのまま部屋で待たされました。ついさっき、たっぷり紅茶もご馳走になったばかりだけど…。まぁ、せっかく気を使ってくれるんだし。
一人残されて、床に散らばった漫画たちを眺めていると…。中に一冊、気になる本を見つけた。表紙に描かれたキャラクターは、「プリティ・ラジエーション」通称「プリラジ」。当時アニメ化もされて、人気だった少年漫画だ。だけど、どう見てもその絵柄は作者のものではない。公式の、ファンブックか何かだろうか?
気になって、中を広げてみた。表紙とは、また違う絵柄の漫画が何作か収録されている。何人かの作家の、共同執筆であるらしい。後に、「アンソロジー」と言う言葉を知った。内容は、「プリラジ」の主人公とライバルが…。あるいは、主人公と脇役が。はたまた、脇役と脇役が。無作為に登場しては、抱き合ったりキスをしている。ちなみに男子水泳部の話なので、登場人物は全員男だよ。
これは…何かが変だと、幼心に感じた。それと同時に、何か新しい感情が幼い胸に芽生えた気がした。それが何と言う名前の感情か、この頃は知らない。続きが気になって、次々にページを読み進めていると…。
「梢くん、お待たせーってうぉおあ!?だ、駄目だよ梢くん。これは、君のように純粋なお子様が見るような代物では…」
「…じゅんすいだと、見れない本って?」
「そこ、気にする?いいじゃない、何だってさ。この本は、君が見るには早いよ。ってかむしろ、一生見なくていいよ。その方が、人生幸せだ」
「エロ本?」
「どこで覚えたの、そんな言葉!?それ、よそで言っちゃ駄目だよ!?えーと。これは全年齢向けだから、エロ本って訳じゃ…。って、そう言う問題じゃない!その、ちょっと特殊な嗜好の方々向けの本だよ。自分が書く小説のため、資料として購入したんだ。内容には、カケラの興味もないんだけどね(ウソ)」
「そうなんだ。ゆきとお兄ちゃん、小説書いてるんだねぇ。こんど見せて。ってか『しりょう』だか何だか知らないけど、もう読んじゃった。『プリラジ』の、マヒロとミカがキスしてた。何だか、変なきもち。おれ、『じゅんすい』じゃなくなっちゃったの?」
「うぅ。適当に読んだ本散らかしてた、俺の責任だ。謝って済む問題じゃないけど、お詫びのためなら何でもするから…。あ。あと、出来たら親御さんには言わないで」
「ん?いま、何でもするって言ったよね?分かった。いますぐじゃないけど、何してもらうか考えとくから。かくごしといて」
「うぅ…。俺だって、(腐っても)男だ。男に二言はないよ。だけど出来れば、お手柔らかにね」
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「君、分かって聞いてるんじゃないよね!?」
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