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職場で一番嫌いな奴と、なんでか付き合うことになった話

人権を剥奪されたそうですよ

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 でもお客様に対し、全体的に挑みかかるような応対をしてるのが耐えられないなぁ…。これで、クレームに発展することが少ないってのが信じられない。

 あと若い人らしく敬語もメチャクチャですが、これはもう仕方ない。会社がわりと、そう言う所いい加減ですからね。本来はQT(品質管理)が言葉遣い等を是正すべきなんだろうけど、最近部署として置いてる会社が少なくなりました。不況の折から、とりあえず電話に出られる人がいればそれでいいって感じです。
 まぁここまでなら、ちょっとウザいヤンキーくらいで片付けられるんですけど。こないだ職場の休憩室で、「オレ、オカマ嫌いなんだよなー」とか大きな声で話してるのを聞きました。あれ絶対俺がいるの知ってて、わざと聞こえるように言ってやがったな?
 そうかそうか、君はつまりそう言う奴だったんだな。お前が、俺のような人種を嫌いでいるのは結構。俺だって、お前のことなんか大嫌いじゃい!つい本性が出ちゃったけど、つまりはそう言うこった!
 …しかし話変わるけど、最近の子って背高いよね。エレベーターで並んで立っていると、否が応でも身長差が目についてくる。元彼も身長が高い方ではあったけど、コイツは180cm超えてんじゃないかな。え、俺?170cmに満たないので、最近では人権を剥奪されたそうですよ…。
 まぁ身長と合わせて多少は顔もいいと思うけれど、前述のとおり一人の人間としてはカケラも好きになれる要素が見えない。断言しよう。例え彼がホモであろうと、こんな奴と付き合う機会は未来永劫あり得ないと!
 …そんなこと考えていたら、やっとこさエレベーターが目的の階に到着した。夜分なので地下にしか降りられないんだけど、それにしても長かった。ちゃんと「開」ボタンを押しといてやると、軽く一礼(したようなしなかったような)して彼が先に出る。
 あーあ、最後の最後に余計な気疲れをした。明日は休みだし、武市SVの仰るとおり自宅でゆっくりと静養しよう。そして、しぶき君があれやこれやされる薄い本を余すことなく堪能しよう…。そう思いながら、自身もエレベーターを出ようとした所。
 エレベーターの端の部分に、見事に蹴つまづいた。段差とかは無かったと思うんですけど、年取ったら色んな場所でつまづくんですよ。そしてエレベーターの出口に、見事に前のめりに倒れ込んだ。そして鞄が地面に落下してて、中に入っていた物をぶちまけた。そして通販で送られてきた包みが破れ、中に入っていた大量の薄い本を散逸させた…。

 「そうはならんやろ」って?実際に今現在、なっとるやろがい!…つい本性が出たけど、つまりはそう言うことです。
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