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職場で一番嫌いな奴と、なんでか付き合うことになった話

ヘッッッタクソやなぁ、おい

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 さて日付をまたいで、本日のシフトはお休み。なんでか、同じく休みだった保志くんとカラオケに来ています。展開早すぎて、何が起こっているかよく分かりませんか?そうですね。俺自身も、一体何が起こっているのかよく理解出来ていないです。

 それでもまぁ、整理すると…。
 俺はあまり職場連中とカラオケ行くことはないけど、今回の仕事場では一度だけみんなと行く機会があったんですね。自分自身の歓迎会の、二次会ではあったし。俺自身も、だいぶん気を許していたので。
 そこで、一曲だけ歌を披露しました。ホモバレとオタバレを避けるため、無難にポ○ノ○ラ○テ○歌ってましたけどね。その時の歌唱力が、職場内にて評判になっていたそうです…。いや、褒めて頂けるのは本当に有り難いことですけれど。
 「だからって、流石にAquaちゃんはないでしょ。俺あそこまで声高くないし、歌もあんなに上手くないよ。歌い方のクセとかも、全然違うよね?ね?」
 「分かんないっスよ。最近は、加工で声の高さ変えられるし。歌い方だって、本当に上手い人って変えたり出来るでしょ。絵師だって、画力ある人は自分のタッチ変えられるもんだし」
 「そう言うもんかなぁ。これは、休みの日のヒトカラで培ったものですので…。本格的なボイトレとかは、受けてないよ。ってか、さっきから俺ばっか歌ってるじゃん。保志くん…。あ、くん付けしちゃった。いいよね。職場では先輩だけど、俺の方が年上だろうし。保志くんの歌声も、聞いてみたいなぁ?」
 そう言って促したが、彼はなかなか自分では歌おうとしない。これは何かあるなと思い、一計を案じ『マージナル・サーフ』のキャラソンを選曲した。しぶき君と渚くんのデュエット曲なので、無理やり一緒に歌わせることには成功したが…。
 「ヘッッッタクソやなぁ、おい!つい、本性出ちゃったけど!うん。歌うとか以前の問題として、音程そのものを理解していない」
 「うぅ、そこまで言います?これは、仕方ないんスよ。オレが小学生くらいの時から、家の中で色々モメてて。結局小中と、あんまり登校出来てなかったんスよね。何とか、卒業はしましたけど。音楽の授業とかまともに受けてなかったんで、そう言う基本が出来てないっつか…」
 「保志くん…。って、危うく同情する所やったけど騙されへんぞ。絵の方の才能は開花させて、今ではトゥイッターで○万人フォロワー付いてるよね。これは、どう説明するんよ」
 「おぉ、そこに気付くとは。流石は辻村さんっスね。いやまぁ、不登校だったり家出した時に友人の家に厄介になりまして。そこで色々と、漫画やらアニメ見せてもらったんスよね。キャラの絵を描いたらえらく評判が良かったんで、今に至ります」

 そうかそうか。と納得しかけたが、これもあまり無条件に信じることはできない。画力が上達するきっかけは、よく理解出来たけど…。今描いてるのが、『マージナル・サーフ』とか女の子向けの作品ばっかだよね?その手の薄い本とかにも、理解があるようだし。
 おそらくだけど、家出して厄介になったってのが女の子の家ばっかだったんじゃない?それも、ズバリ腐女子と見た。そこで、今のような素質を開花させた…?
 まぁ、想像でしかないんですけどね。
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