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弟の連れてきた恋人が男子高校生だった話

下宿に帰ったら赤飯炊こう

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 さて、申し遅れました。アタシが今どこで話をしているかと言うと、高崎駅前のサイゼリ屋です。

 言った通り現在は東京で下宿しているのですが、土日の間に実家に帰って色々と用事を済ませていた訳ですね。どんな用事か?下宿に運び切れなかったBL本を持ってきたとか、色々です…。そこで弟から、「紹介したい人がいる」と言われ晩ごはんがてら店内で待っている次第ですね。
 正直、またかよって思いました。これで、何人目だよ…。わざわざ食事の場所に呼び出してってのは、これが初めてですけど。ってかここの料金、誰が持つの?弟の彼女に払う食事代なんざ、ビタ一文持ち合わせてないんだけどなぁ…。そう思っていると。
 「乙女姉ちゃん、お待たせ!オレの練習が、長引いちまって…。紹介するよ。二年生になって、新しく知り合ったクラスメートの…」
 ん?今、クラスメートって言った?あんた、高校は男子校だよね…?比喩表現でなく、最初は小さすぎて隣にいるのに気づかなかった。弟と比べ、あまりにも身長差があったから。女性としては大きめのアタシと比べても、随分と背が低い。160行っているか、行かないかと言ったところだろう。
 「加藤くんだよ。名前は、『ひとなり』君?『じんせい』君?未だに、教えてくんねーけど。新学期から、親しくお付き合いしてもらってる…。その、オレの恋人だよ」

 !?!?!?!?!?
 え?え?え?今、恋人っつった?
 つまり、弟が連れてきた恋人は男子高校生だったって事?うん。タイトルから、予想しないでもなかったわ。
 そうだよね。今はLGBTQへの理解も進んでいるから、こう言った報告も珍しくはないのかしら。大げさに驚く事でも、ないのかも知れない。でも、とりあえず…。

 「とりあえず、下宿に帰ったら赤飯炊こう!」
 「心の声!心の声、全部漏れ聞こえてっから!」
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