恋愛ゲームの世界に転生して、親友♂を全力で落としてみました

あきら

文字の大きさ
16 / 33
二年生・二学期

鬼○の刃シャン○リー

しおりを挟む
 12月24日 カラオケボックス 晴れ

 メリークリスマス!進藤まひろよ。今年は体調管理をしっかりして、ちゃんとクリスマスパーティーに参加したわ。二年続けて、自宅で看病されるなんて嫌だものね…。
 カラオケボックスの一室を借りて、内々でパーティーを行う事となったの。メンバーは、あまねと水無月さんと腐女子のみなさん。海イベントからこっち、いつも通りの面々と言えるわね。
 ひとしきり、みんなで歌い合った。あまねの歌唱力が並外れているのは、すでに申し上げた通りね。水無月さんの歌声も、なかなかに見事なものよ。こちらはゲーム内で聴く機会があるので、よく知っていた。何せ、中の人が花○○菜さんだからね…。
 本来は渋る彼女にお願いして、無理やり歌って頂くイベントよ。今は誰に頼まれるでもなく、ノリノリで歌い切っている。また選曲自体も、えらくオタク臭いものになっている。この周回では、腐女子と化した影響ね…。彼女にとっていい事なのかどうか、それは誰にも分からない。
 え?アタシ自身の歌唱力は、どうかって?そもそも、声優が設定されていなくてよ。ゲームのキャラ達には、テキストが流れるだけでアタシの声が聞こえているお約束ね。逆にみなさんは、お好きな声優を当てはめて脳内補完して頂ければいいわ。
 現実世界のアタシは、どうだったのかって…?うん。音楽って、副教科なので受験とは関係ないわよね。つまりは、そう言う事よ。
 ひとしきりみんなで歌いきって、プレゼント交換の時間になったわ。アタシの方に回ってきたのは、ラッピングですでに察していたけど…。当然と言うか、あまねのプレゼントだったわ。出来レースぽいけど、やっぱり嬉しいものね。って言うか腐女子だらけなので、本当に出来レースだったかも知れない。
 中身は、手編みのマフラーだったわ。プレゼントが女の子に渡ってもいいよう、可愛らしいデザインになっている。お小遣いが足りないからって、休み時間とかにせっせと編んでいたのは知っていたわ…。本当に、女子力の化身かよこいつ。
 宴もたけなわ、アタシはちょっとお手洗いのため席を外した。戻ると、あまねがえらく高いテンションで絡んできたわ。また、その顔はどう見ても真っ赤なような…。えっ誰か、こいつに飲ませたの?ってかそもそも、お酒持ってきたの?今のアタシ含めて、みんな高校生でしょうあんたら。
 「安心して。アルコール度数0の、お子様シャンパンだから。いえね。ちょっとした冗談で、『本物のシャンパンと間違えた!』って言ったのよ。そうしたら、実際に酔った気分になったらしくてこの始末。私ったら、催眠術師の素質があるのかしら…」
 水無月さんが言ったわ。それって、薄い本とかでビタミン剤を媚薬って言って飲ませる展開じゃない?あまね相手にやったら、本当に発情しちゃったりするのかしら。それはそれで、ちょっと見てみたいわね…。
 飲ませたシャンパンは、「鬼○の刃シャン○リー」だったようね。商標だったようなので、伏せ字が多くてごめんあそばせ。言っていた通り、アルコール度数0のお子様シャンパンよ。下手したら、パンとかの発酵食品に含まれるアルコールの方が強いわ。
 だけどどう見ても顔は真っ赤だし、心なし息も酒臭いような。体内で、アルコールが醸造されたとでも言うの?暗示の力って、すごいものね…。媚薬って言って騙す展開、今度ぜひ試してみなければ。



 「まひろ~。何だよいつも暗い顔で、ゴチャゴチャと考え事して。ちゃんとパーティー、楽しんでるぅ?」
 「ハイハイ、うるさいなぁ。ちゃんと、楽しんでるわよ…。じゃない、楽しんでるよ」
 いけない。しばらく主人公として話す機会がなかったので、本来の女口調が出ちゃったわ。幸い酔ってるので、あまり気にはしなかったみたいね…。
 「まひろよぅ!俺は、ずっとお前に伝えたかった事がある。俺はなぁ。入学式の日からずっと、お前の事を…」
 え?まだ、出会って一年半よ?卒業式を待たずして、すでに告白イベントが発生するとでも言うの…?アタシを含め、周りの腐女子たちも固唾を飲んで次の言葉を待ったわ。
 「俺は、俺はお前の事を…。唯一無二の、親友だと思って…」
 それだけ言って、アタシの方に倒れ込んできたわ。あぁ、そう言うオチなのね…。あまねはアタシの懐で、すぅすぅと寝息を立てている。これはこれで、腐女子的には有り難い展開だったけれど…。いつまでも、このままにさせておく訳には行かない。
 水無月さんは、「チャンスね。この機に乗じ、ラブホにでも連れ込んで致してしまいなさい!」なんて言ったけれど…。致さないわよ!こちとら、紳士(淑女)なの。送り狼に、なってたまるもんですか。そう言うのは、両者合意のもとに行うもんなの…。ってかあんた、しれっと本物のシャンパン飲ませたりしてないわね?
 結局、タクシーを呼んで彼を送り届ける事にした。バイト代があるので、お金は惜しくなかったけれど…。親御さんへの言い訳、一体どうしたもんかしら。タクシーの車内でふと見上げると、辺りには粉雪が舞い降りていた。
 「素敵…ホワイトクリスマスね」
 本当は、もうちょいロマンチックな状況で言いたかった台詞ね。実際には、タクシーの車内で酔っ払い送り届けてる最中だものね。ってかこれ、下手したら運ちゃんに追求されないかしら…。あまねの方を向くと、少し目が覚めたらしくこちらを見守っていた。嫌だわ。さっきの女口調も、聞かれやしなかったかしら。
 「…まひろ。俺、パーティー会場で気を失って…。今、送ってもらってるのか?うぅ。修学旅行の時もだけど、いつもいつも助けてもらって…」
 「気にしないで。こちらこそ、いつもお世話になってるから。プレゼントのマフラー、すごく嬉しかった。あまねの家までもう少しあるから、ゆっくり休んでいれば」
 「マフラー…そうだ。まひろには、他にもプレゼントがあったんだ。パーティーでは、確実に渡せるか分からなかったから…」
 そう言って、鞄から新たな包みを取り出した。了承を得て、ラッピングを剥がさせてもらう。これは…。
 「手袋?すごい、これも手編みなの?サイズも、俺にピッタリだ」
 「手の大きさは、俺と同じくらいだから。マフラーもだけど、まひろに渡せて良かった。会場でも言ったけど…俺、お前の事を」
 「一番の親友だっけ?嬉しいよ、でもちょっと気恥ずかしいかな…」
 「そうだな。でも、ただの親友ってだけじゃなくて。本当は、ちょっとだけ…」
 そこまで言って力尽きたらしく、再び寝息を立てて寝始めた。え?え?今の何?ちょっとだけ…何なのよ!いい所で、勝手に力尽きないで!

 あとタクシーの運ちゃんがめっちゃニヤニヤしながら見てる気がするけど、気のせいかしらね…。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

悲報、転生したらギャルゲーの主人公だったのに、悪友も一緒に転生してきたせいで開幕即終了のお知らせ

椿谷あずる
BL
平凡な高校生だった俺は、ある日事故で命を落としギャルゲーの世界に主人公としてに転生した――はずだった。薔薇色のハーレムライフを望んだ俺の前に、なぜか一緒に事故に巻き込まれた悪友・野里レンまで転生してきて!?「お前だけハーレムなんて、絶対ズルいだろ?」っておい、俺のハーレム計画はどうなるんだ?ヒロインじゃなく、男とばかりフラグが立ってしまうギャルゲー世界。俺のハーレム計画、開幕十分で即終了のお知らせ……!

劣等アルファは最強王子から逃げられない

BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。 ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。

転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。

星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。 前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。 だが図書室の記録が冤罪を覆す。 そしてレイは知る。 聖女ディーンの本当の名はアキラ。 同じ日本から来た存在だった。 帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。 秘密を共有した二人は、友達になる。 人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

悪役令息ですが破滅回避で主人公を無視したら、高潔な態度だと勘違いされて聖人認定。なぜか溺愛ルートに入りました

水凪しおん
BL
BL小説『銀の瞳の聖者』の悪役令息ルシアンに転生してしまった俺。 原作通りなら、主人公ノエルをいじめ抜き、最後は断罪されて野垂れ死ぬ運命だ。 「そんなの絶対にお断りだ! 俺は平和に長生きしたい!」 破滅フラグを回避するため、俺は決意した。 主人公ノエルを徹底的に避け、関わらず、空気のように生きることを。 しかし、俺の「無視」や「無関心」は、なぜかノエルにポジティブに変換されていく。 「他の人のように欲望の目で見ないなんて、なんて高潔な方なんだ……!」 いじめっ子を視線だけで追い払えば「影から守ってくれた」、雨の日に「臭いから近寄るな」と上着を投げつければ「不器用な優しさ」!? 全力で嫌われようとすればするほど、主人公からの好感度が爆上がりして、聖人認定されてしまう勘違いラブコメディ! 小心者の悪役令息×健気なポジティブ主人公の、すれ違い溺愛ファンタジー、ここに開幕!

転生したら親指王子?小さな僕を助けてくれたのは可愛いものが好きな強面騎士様だった。

音無野ウサギ
BL
目覚めたら親指姫サイズになっていた僕。親切なチョウチョさんに助けられたけど童話の世界みたいな展開についていけない。 親切なチョウチョを食べたヒキガエルに攫われてこのままヒキガエルのもとでシンデレラのようにこき使われるの?と思ったらヒキガエルの飼い主である悪い魔法使いを倒した強面騎士様に拾われて人形用のお家に住まわせてもらうことになった。夜の間に元のサイズに戻れるんだけど騎士様に幽霊と思われて…… 可愛いもの好きの強面騎士様と異世界転生して親指姫サイズになった僕のほのぼの日常BL

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

処理中です...