俺の武術は異世界でも最強だと証明してやる!

ぽりまー

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跡継ぎ選別

36話

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 その後の試合展開は圧倒的だった。最初こそベディビエールの何段階も各上な剣技が炸裂していたが、ガウェインの圧倒的な魔力量と魔法剣技に圧倒されていた。

「ガウェインって、結構やるんだなぁ」
「ああ。予想はしていたが、悪い意味で予想を裏切る」
「なによりもガウェインは聖剣召喚を使ってない」

 詩音たちの間に気まずい雰囲気が流れる。クレアの選別で優勝したいという目標をいとも簡単にぶち壊してしまう存在が現れたからだ。しかし、そんな状況であるはずなのに、詩音とクレアは笑っていた。

「ガウェインさんは確実にすべての試合を勝ち抜いてくるでしょうし、クレアさんがガウェインさんに勝利出来ないと……って、クレアさん? 詩音さんもなんで笑ってるんですか? もしかしてなにか勝算が!?」

 詩音はすごく羨ましそうな表情をする。

「いいなぁクレア。ジェラシー感じちゃうよ」
「そういうな、詩音。今回は私の試合だ」
「…………え? 何ですかその反応」

 ルナは予想外の詩音たちの反応に困惑していた。

「だってそうだろ。あんな面白そうなやつとやれるなんてよぉ」
「今すぐにでもしたいな。ああ、兄上と当たるのが楽しみだ……!」
「クレアさんも詩音さんに染まっちゃいましたねぇ。ルナさんは染まらなくていいんですか?」
「え!? わ、私は別に………… でも詩音さんに染まる のも悪くないかも
「しっかりしないと手遅れになっちゃいますよ?」
「というか気づいてたんですかクリスタさん!!?」

 そのとき、司会者が叫んだ。

「第四回戦! モードレッド対クレア。両者、前へ!!」

「呼ばれたぞ」
「ああ。では、行ってくる」

 クレアは試合会場へ向かった。一回目の時と比べて更に自信にあふれた背中を詩音たちに向けて。



 モードレッド・バンガード。彼女は賞金首の捕獲、討伐を生業としているいわゆる賞金稼ぎである。最初は王国騎士など名誉ある職に就くことを期待されていたため、相当反対された。しかし、彼女の正義感と大物賞金首を討ちとった実績で認めさせた。盗賊、海賊は、強奪の計画を立てる際、まず彼女の名前が襲撃目標の半径25キロの地域にないかを調べるのがセオリーとなっている。そして存在がないことを確認した後も、常に彼女と鉢合わせたことをシミュレートしながら計画を練るそうだ。

 そんなモードレッド・バンガードだが、最初、今回の選別には興味が無かった。賞金稼ぎの仕事をして自分の正義を遂行できればそれでよかったからだ。しかし、クレアの参加を知って気が変わった。兄妹一の出来損ないが次期頭首の座を狙っているからだ。全く興味が無かった自分も大概だが、無能であるがために両親に迷惑をかけ続けたクレアが更に両親の顔に泥を塗ろうとしていることに怒りを覚えたからだtった。



 第四試合の選手が入場する。クレアの活躍を見た観客は、またやってくれるだろうという期待で歓声に力が入る。

「まさか姉上が参加するとは。こういうのに興味がないものだと思っていました」
「あなたがこの選別に挑むなんて、選別始まって以来の冒涜。絶対に許せない」
「なるほど」

「試合、始めッ!!!!!」

 開始の合図が叫ばれた。

 開始早々にモードレッドが詠唱を開始する。

「この感じ、もう聖剣召喚を!?」
「王の器は我の他無し。クラレント」

 それは彼女の性格のように実にシンプルで、そして彼女の言葉とは矛盾する傲慢な詠唱だった。

 その後に剣が赤い光を発しながら変形していく。そして完成した剣は、血の池のように禍々しく、しかしどこか神々しかった。

「この剣は王であることを象徴する剣だ」
「姉上自身選別に興味が無いのに、そのような剣を使うのですか? 王では無いのに使うから、酷く醜い光を放ってますが」
「いや、これで良い。私の悪に対する憎悪が、怒りが剣のあり方を変えた。この血の色も、醜い形状も、今の私には合っている」

 モードレッドは剣を構える。

「私はお前に憎悪と怒りを感じている。だからこの剣はお前を殺すために最大の力を発揮するだろう。自分の愚かさを噛み締めながら死ね」

 モードレッドが突っ込んでくる。スピードは他と大差ないが、その剣の威圧感で体感が物凄いことになっていた。

 クレアは圧に飲まれないように一呼吸置いた。

 モードレッドが剣を振り下ろす。その華奢な体からは想像できない程の威力であった。

 クレアは刀で受けようとする。しかし、瞬間で刀ごと叩き切られると理解した。

 しかし、クレアはそれでもなお刀で受けるつもりだった。

 クラレントと清光が接触する。力の差でクラレントが押し込む。クレアはそれに反発するのではなく、逆らわなかった。一歩後ろに引きながら、力の流れに乗る。そして次の瞬間、モードレッドは顔面から地面に落ちていた。

 どうなったのか、どうやったのかはクレアと詩音以外、誰も知るところではない。ただ、その見たままを伝えるとするならばこうだろう。

 クレアは、刀で合気をした。……………………と。

 にわかに信じがたいし、そもそもどうやったのか全く分からない。しかし、審判、観客の誰からもそう見えたのだ。一人の観客は後にこう語っている。

「最初、ほんとに何が起こったかわからなかった。だってそうだろ? 剣と剣がぶつかったらつばぜり合いになるって、こんな当たり前のこと誰だってわかる。けどさっきのはそんなんじゃなかったんだ。剣がぶつかった瞬間。物の一瞬でモードレッド様が地面へダイブしたんだから。モードレッド様は普通はそんなことするような方じゃないってのは分かるだろ? 真面目な方だ、あんな自分から地面へダイブするなんてふざけたことしないし、ハンデもあげないようなお方だ。だからそりゃクレア様が何かしたってふつう思うだろ。そしてあの光景と合わせると、何回考えても剣で合気をやったとしか言えないんだよ。あ、その顔、嘘こけ、みたいな顔してる。お前さんの気持ちもわかるし、俺だってあほだろって思うさ。でもよ、目の前でやられちゃあ、納得するしかねぇよ」








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