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6章ーMr.Freedom
45話
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詩音が連行されて行ってから1週間が経った。だが詩音は帰ってこず、なんの連絡もないことにルナ、クレア、クリスタの三人は焦っていた。
「大丈夫なのでしょうか………………」
「詩音のことだから死んではいないと思うが……」
「憲兵に連行されてから帰ってこないですし、心配ですね……」
「でも、詩音さん何か捕まるような事しましたっけ?」
「さあ。心当たりのある話はないが」
「私もです」
三人ともどうしようもない状況にため息をついた。
すると、ルナが突然立ち上がり拳を握りしめ言った。
「だったら私たちで探せばいいんですよ!!」
「なるほど。いつも私たちが助けられているばかりだし、今度は私たちで詩音を救おうということだな!」
「でもどうやって探すんです?」
「憲兵に連行されたんですから、まずはやはり憲兵に聞くのがいいでしょう」
「となると……憲兵所に行けばいいな。ここが王都で助かったな。憲兵所の本部がある」
「では早速行ってみましょうか」
「「「おーーー!!」」」
三人は憲兵所へ向かった。
憲兵所。そこは憲兵のいる役所で、大小さまざまなものがある。日本でいえば交番から警視庁本部庁舎までをひとくくりに言った感じだ。
入ってすぐの受付窓口では、受付の女性憲兵が対応していた。
「いらっしゃいませ。いかがいたしましたか?」
「あの、調べてほしいことがあって」
「右京詩音という男が憲兵に連行されたまま所在が分からないのだ」
「なのでいまどこに居るのか調べて貰えませんか?」
女性憲兵は不思議な顔をした。
「本当に行方が分からないのですか?」
「はい」
「ですが本来ならご親族やその他関係者様には知らせが行くようになっているんですが」
「だが本当に何も知らされていないのだ」
「分かりました。念のため右京様の特徴を教えてもらってもよろしいですか?」
そういわれると、ルナとクレアは少し前のめりになる。
「そうですねぇ。まず身長が高くて、たくましい体つきで、顔も綺麗ですごくかっこいいです!!」
「後はそうだな、やはり強さということに対して真っ直ぐな姿勢もいい。なんでも一生懸命で夢中になって、だが凄く仲間思いで優しい一面もあるいい男だ。詩音はそういうやつだから犯罪なんてするはずないんだ!」
「他人の前で惚気ないでください、迷惑です。すみませんうちのバカどもが」
「誰がバカだ!」
「誰がバカです!」
「あはははは………………」
女性憲兵は苦笑いするしかなかった。
「で、では、その特約があてになるか分かりませんが、調べてまいりますね。少々お待ちください」
そういうと、奥へ行ってしまった。
30分後、女性憲兵ではなく、中年の男性憲兵がやってきた。
「お待たせしました。右京詩音さんでしたっけ。そのような方は拘束されておりません」
瞬間、三人は驚き思わず立ちあがった。
「そんなはずはない! 目の前で連れていかれるのを見たのだ!!」
「しかし、いないものはいないのです。さ、ほかのお客様の迷惑になりますのでお帰りください」
三人はあっという間に外へ追い出されてしまった。
「なんなんですかあれ!!」
帰り道、ルナは怒り、地団太を踏んでいた。
「それに詩音がいないというのもおかしいぞ」
「女性の方でなく、男性の憲兵が代わりに出てきたのも怪しいですね」
「あの男は上司だろうか」
「おそらくそうだと思います。何か下手に部下に任せられないことだったのでしょうか」
黙ってついてきていたクリスタが立ち止まった。
「どうしたんだ?」
「………………隠蔽?」
「え?」
「いえ、何か詩音さんのことを隠そうとしているのかなと思いまして」
「いや、あるかもしれんぞ」
「私もそう思います。この1週間の詩音さんの音信不通、憲兵に掛け合っても知らないの一点張りで相手にされない。まだ確証だとは言えませんが可能性は十分にあると思います」
「だがそうなると探すのはなかなか難しくなるぞ」
「ギルドに掛け合って見るのは?」
「やめた方がいいですね。恐らく相当な権力者が関わっていますから、巻き込むのは危険です」
クレアはルナの発言でひらめく。
「権力者か。ならばこちらも権力者をぶつければいい。私はクレア・バンガードだ。バンガードの名前は大陸でもなかなかのビッグネームだし、私もこの前の選別で名を上げたからな。有効だろう」
「であれば私も強力します」
「クリスタが?」
「あら、知りませんでしたっけ?私、こう見えても貴族ですよ?」
「初耳だが!?」
「初耳です!?」
クレアとルナは驚愕の事実に目を丸くした。
「まあ、あまり家を使いたくはありませんが、詩音さんの為に、今回は特別です」
「ま、まあいい。では早速行動に移すとしよう。私はまた憲兵所に掛け合ってみよう。今度はバンガードの名を出してな」
「私は実家に手紙を書きます。今回の件の援助をしてもらえるかお父様に聞いてみますね」
「私は魔法で探知でもしてみます。家柄で役に立てませんから、魔法で頑張ります!」
「よし、みんなやることは決まったな!」
クレアは手の甲を上に向けて差し出す。それに続いてクリスタとルナも手をクレアの手の上に重ねる。
「円陣なんて久しぶりです」
「こんな事する意味ないでしょ」
「でもなんだかんだ言って重ねてくれてるではないか。よし、では行くぞ! 詩音捜索大作戦! 頑張るぞーーー」
「「「おーーー!!!」」」
「大丈夫なのでしょうか………………」
「詩音のことだから死んではいないと思うが……」
「憲兵に連行されてから帰ってこないですし、心配ですね……」
「でも、詩音さん何か捕まるような事しましたっけ?」
「さあ。心当たりのある話はないが」
「私もです」
三人ともどうしようもない状況にため息をついた。
すると、ルナが突然立ち上がり拳を握りしめ言った。
「だったら私たちで探せばいいんですよ!!」
「なるほど。いつも私たちが助けられているばかりだし、今度は私たちで詩音を救おうということだな!」
「でもどうやって探すんです?」
「憲兵に連行されたんですから、まずはやはり憲兵に聞くのがいいでしょう」
「となると……憲兵所に行けばいいな。ここが王都で助かったな。憲兵所の本部がある」
「では早速行ってみましょうか」
「「「おーーー!!」」」
三人は憲兵所へ向かった。
憲兵所。そこは憲兵のいる役所で、大小さまざまなものがある。日本でいえば交番から警視庁本部庁舎までをひとくくりに言った感じだ。
入ってすぐの受付窓口では、受付の女性憲兵が対応していた。
「いらっしゃいませ。いかがいたしましたか?」
「あの、調べてほしいことがあって」
「右京詩音という男が憲兵に連行されたまま所在が分からないのだ」
「なのでいまどこに居るのか調べて貰えませんか?」
女性憲兵は不思議な顔をした。
「本当に行方が分からないのですか?」
「はい」
「ですが本来ならご親族やその他関係者様には知らせが行くようになっているんですが」
「だが本当に何も知らされていないのだ」
「分かりました。念のため右京様の特徴を教えてもらってもよろしいですか?」
そういわれると、ルナとクレアは少し前のめりになる。
「そうですねぇ。まず身長が高くて、たくましい体つきで、顔も綺麗ですごくかっこいいです!!」
「後はそうだな、やはり強さということに対して真っ直ぐな姿勢もいい。なんでも一生懸命で夢中になって、だが凄く仲間思いで優しい一面もあるいい男だ。詩音はそういうやつだから犯罪なんてするはずないんだ!」
「他人の前で惚気ないでください、迷惑です。すみませんうちのバカどもが」
「誰がバカだ!」
「誰がバカです!」
「あはははは………………」
女性憲兵は苦笑いするしかなかった。
「で、では、その特約があてになるか分かりませんが、調べてまいりますね。少々お待ちください」
そういうと、奥へ行ってしまった。
30分後、女性憲兵ではなく、中年の男性憲兵がやってきた。
「お待たせしました。右京詩音さんでしたっけ。そのような方は拘束されておりません」
瞬間、三人は驚き思わず立ちあがった。
「そんなはずはない! 目の前で連れていかれるのを見たのだ!!」
「しかし、いないものはいないのです。さ、ほかのお客様の迷惑になりますのでお帰りください」
三人はあっという間に外へ追い出されてしまった。
「なんなんですかあれ!!」
帰り道、ルナは怒り、地団太を踏んでいた。
「それに詩音がいないというのもおかしいぞ」
「女性の方でなく、男性の憲兵が代わりに出てきたのも怪しいですね」
「あの男は上司だろうか」
「おそらくそうだと思います。何か下手に部下に任せられないことだったのでしょうか」
黙ってついてきていたクリスタが立ち止まった。
「どうしたんだ?」
「………………隠蔽?」
「え?」
「いえ、何か詩音さんのことを隠そうとしているのかなと思いまして」
「いや、あるかもしれんぞ」
「私もそう思います。この1週間の詩音さんの音信不通、憲兵に掛け合っても知らないの一点張りで相手にされない。まだ確証だとは言えませんが可能性は十分にあると思います」
「だがそうなると探すのはなかなか難しくなるぞ」
「ギルドに掛け合って見るのは?」
「やめた方がいいですね。恐らく相当な権力者が関わっていますから、巻き込むのは危険です」
クレアはルナの発言でひらめく。
「権力者か。ならばこちらも権力者をぶつければいい。私はクレア・バンガードだ。バンガードの名前は大陸でもなかなかのビッグネームだし、私もこの前の選別で名を上げたからな。有効だろう」
「であれば私も強力します」
「クリスタが?」
「あら、知りませんでしたっけ?私、こう見えても貴族ですよ?」
「初耳だが!?」
「初耳です!?」
クレアとルナは驚愕の事実に目を丸くした。
「まあ、あまり家を使いたくはありませんが、詩音さんの為に、今回は特別です」
「ま、まあいい。では早速行動に移すとしよう。私はまた憲兵所に掛け合ってみよう。今度はバンガードの名を出してな」
「私は実家に手紙を書きます。今回の件の援助をしてもらえるかお父様に聞いてみますね」
「私は魔法で探知でもしてみます。家柄で役に立てませんから、魔法で頑張ります!」
「よし、みんなやることは決まったな!」
クレアは手の甲を上に向けて差し出す。それに続いてクリスタとルナも手をクレアの手の上に重ねる。
「円陣なんて久しぶりです」
「こんな事する意味ないでしょ」
「でもなんだかんだ言って重ねてくれてるではないか。よし、では行くぞ! 詩音捜索大作戦! 頑張るぞーーー」
「「「おーーー!!!」」」
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