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6章ーMr.Freedom
49話
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詩音は今回の相手であるハヤスイについて、ロイロから話を聞いていた。噂では武器をなんでも使いこなし、応用の効いた戦い方をする相手だそうだ。
そう聞いてはいたが、どうだ。ハヤスイの武器の数々。剣、槍、弓、鎖鎌、投げ物と多すぎる。だが装備の多さの割には機敏に動けているようだった。
「貴様が右京か。どんな男が出てくるのかと思えば若造じゃないか」
「そういうハヤスイさんはそんな武器の量で動きづらくないんすか?」
「御託はいい。やってみれば我が活殺術の恐ろしさが分かる」
「面白そうだぜこりゃあ」
開始の合図が出された。詩音は様子をうかがって間合いを保つ。対するハヤスイは剣を抜く。そのまま大きく足を踏み出した。詩音は仕掛けに来ると予測し、身構える。
しかし、詩音の予想は外れた。なんと剣を投げたのだ。剣は回転しながら高速で詩音に襲い掛かる。
予想の外を突かれた詩音は一瞬反応が遅れる。避けるには時間が足りない。詩音は両手を前に構える。
「島原流、廻旋受流」
回転する剣の側面に手の甲を添えて受流し、一瞬で回転力を自分の手中に収める。みるみる回転力と推進力が無くなり、詩音の手に収まった。
「いきなりそれかよぉ………………!!」
「今のを受けきるとは、奇襲は失敗に終わったわけか」
「今度はこっちから行くぜ」
詩音は一瞬で距離を詰める。間合いに入ったが、ハヤスイは完全に反応しきれてない。
「島原流、閃拳」
光速の拳が炸裂する。鳩尾をえぐり、後方へ1メートルほど吹き飛ばした。
「ごふッ………………!!!」
「こっちの奇襲は成功だな」
たまらずハヤスイは詩音から距離を取る。
腰の鎖鎌を取り出し、左手に鎌、右手に寸胴付きの鎖を振り回す。
「活殺術鎖鎌の威力、とくと見よ!!」
鎖を大きく回し、詩音に向かって投げる。抜群のコントロールで詩音の腕に巻き付かせた。
そのまま鎖を強く引っ張る。詩音もつられて引っ張られ、前のめりになり態勢を崩す。
対するハヤスイは引っ張った力を利用して詩音に迫る。そして態勢の崩れた詩音に鎌で切りかかった。
詩音は引っ張る力に抗う……のではなく、寧ろ自分から倒れこんだ。
両手で着地し、体をねじりながら回転して蹴りを繰り出す。倒れてほとんど逆立ちの状態からのハイキック。崩したところを斬りつけるつもりだったハヤスイには意識の外の攻撃だ。躱せるはずもなく、側頭部を強打した。
脳震盪でふらつく。その隙に詩音は回転をそのまま使って立て直し、両足で着地。そして今度は詩音が鎖を引く。
ハヤスイは成すすべなく詩音の元へ引っ張られる。そこへ後ろ回し蹴りを顔面に叩きこむ。引っ張られた時の速度と蹴りの速度の相対速度のせいで威力が増加している分強力な一撃だ。この反動で鎖が引きちぎれた。
ハヤスイは地面に倒れる。しかし、詩音は更なる追撃をしなかった。
「こんなもんじゃないんだろ? オイ」
「この痺れ、この感覚、懐かしい。儂をここまで追い詰めるとは大したものだ…………そうだな、ならばこちらも活殺術の本領を見せようか」
ハヤスイは倒れたまま、詩音を見る。そしていきなり地面の砂を詩音に投げつけた。
「うおっ!」
詩音はたまらず顔を手で覆う。しかし、目に砂が入り視界が奪われた。
ハヤスイが蹴りを繰り出す。何も見えない詩音は無防備にその蹴りを食らった。腹部にかかとが食い込み、重い一撃を与える。
そして背中の槍を取り出し、勢いよく詩音に叩きつけた。柄が詩音の頭部に直撃し大きな音を立てる。詩音はこの二連撃にふらつきはするも決定打にはなっていないようだった。
少しして、詩音の視力が回復してきた。そしてすぐにハヤスイの姿を探した。しかし、いくら探しても見つからない。
「どこだ、どこ行った!?」
突然、背中に蹴りを入れられた。完全に身構えていなかった詩音には普段の倍以上の効果があった。それも痛みだけではなく、見えない敵からの攻撃による恐怖と混乱を植え付ける効果もあった。
ハヤスイは詩音の目が見えていない間に、大量の発汗で濡らした体に土をつけ、更に地面を這うように進むことで土煙の煙幕を張り完全に地面と同化していた。更に詩音の死角を活用し念には念を入れたカモフラージュだった。
「活殺術は環境を利用する術、つまりここにあるものすべて我が武器なのだ!!!」
「なるほど、見えないんだったら、目に頼るのは悪手か。だったら」
詩音は脱力して構えると、目を閉じた。
「自分から視力を手放すとは諦めたか!?」
詩音は集中する。音を聞き、風を読み、気配を探る。詩音の感覚はどんどん鋭くなっていく。そして。
「ここッ!!!!」
詩音は何もない所へローキックを放つ。誰もいない場所なのに、手ごたえがあった。吹き飛び地面にバウンドした時の音だけが鳴り、何もない所から血が飛んだ。そう、詩音のローキックがハヤスイに直撃したのである。
「な、何故だ。気配だけで儂の居場所を特定できたというのか!?」
「それだけじゃない。音、風、様々なものが俺にアンタの居場所を教えてくれたのさ。目にばっかり頼ってきた修行しかしてない奴には到底理解できないことだろうが、ここは情報だらけなんだよ」
「な、なんだと…………」
「もう終わりにしようか。ハヤスイさんの実力は分かったから」
「お、終わりにするだと? な、なめるなよ童が!!!」
ハヤスイが感情に任せて突進してくる。詩音はもう一度ローキックを放った。今度はハヤスイの頸椎めがけてだ。ローキックが頸椎を折り、即座に絶命させた。
もうハヤスイが起き上がってくることは無かった。どこに居るのか分からないが、音がしなくなったのだからもう決着はついたのだろう。
「し、勝者、右京!!!!!!!」
直後、大歓声と阿鼻叫喚が同時に会場を埋め尽くした。
「今日はいつもより歓声も悲鳴も大きいな。なんかあったんかなぁ」
とか思いつつも、詩音は特に気にする様子もなく入場門へ戻っていくのだった。
そう聞いてはいたが、どうだ。ハヤスイの武器の数々。剣、槍、弓、鎖鎌、投げ物と多すぎる。だが装備の多さの割には機敏に動けているようだった。
「貴様が右京か。どんな男が出てくるのかと思えば若造じゃないか」
「そういうハヤスイさんはそんな武器の量で動きづらくないんすか?」
「御託はいい。やってみれば我が活殺術の恐ろしさが分かる」
「面白そうだぜこりゃあ」
開始の合図が出された。詩音は様子をうかがって間合いを保つ。対するハヤスイは剣を抜く。そのまま大きく足を踏み出した。詩音は仕掛けに来ると予測し、身構える。
しかし、詩音の予想は外れた。なんと剣を投げたのだ。剣は回転しながら高速で詩音に襲い掛かる。
予想の外を突かれた詩音は一瞬反応が遅れる。避けるには時間が足りない。詩音は両手を前に構える。
「島原流、廻旋受流」
回転する剣の側面に手の甲を添えて受流し、一瞬で回転力を自分の手中に収める。みるみる回転力と推進力が無くなり、詩音の手に収まった。
「いきなりそれかよぉ………………!!」
「今のを受けきるとは、奇襲は失敗に終わったわけか」
「今度はこっちから行くぜ」
詩音は一瞬で距離を詰める。間合いに入ったが、ハヤスイは完全に反応しきれてない。
「島原流、閃拳」
光速の拳が炸裂する。鳩尾をえぐり、後方へ1メートルほど吹き飛ばした。
「ごふッ………………!!!」
「こっちの奇襲は成功だな」
たまらずハヤスイは詩音から距離を取る。
腰の鎖鎌を取り出し、左手に鎌、右手に寸胴付きの鎖を振り回す。
「活殺術鎖鎌の威力、とくと見よ!!」
鎖を大きく回し、詩音に向かって投げる。抜群のコントロールで詩音の腕に巻き付かせた。
そのまま鎖を強く引っ張る。詩音もつられて引っ張られ、前のめりになり態勢を崩す。
対するハヤスイは引っ張った力を利用して詩音に迫る。そして態勢の崩れた詩音に鎌で切りかかった。
詩音は引っ張る力に抗う……のではなく、寧ろ自分から倒れこんだ。
両手で着地し、体をねじりながら回転して蹴りを繰り出す。倒れてほとんど逆立ちの状態からのハイキック。崩したところを斬りつけるつもりだったハヤスイには意識の外の攻撃だ。躱せるはずもなく、側頭部を強打した。
脳震盪でふらつく。その隙に詩音は回転をそのまま使って立て直し、両足で着地。そして今度は詩音が鎖を引く。
ハヤスイは成すすべなく詩音の元へ引っ張られる。そこへ後ろ回し蹴りを顔面に叩きこむ。引っ張られた時の速度と蹴りの速度の相対速度のせいで威力が増加している分強力な一撃だ。この反動で鎖が引きちぎれた。
ハヤスイは地面に倒れる。しかし、詩音は更なる追撃をしなかった。
「こんなもんじゃないんだろ? オイ」
「この痺れ、この感覚、懐かしい。儂をここまで追い詰めるとは大したものだ…………そうだな、ならばこちらも活殺術の本領を見せようか」
ハヤスイは倒れたまま、詩音を見る。そしていきなり地面の砂を詩音に投げつけた。
「うおっ!」
詩音はたまらず顔を手で覆う。しかし、目に砂が入り視界が奪われた。
ハヤスイが蹴りを繰り出す。何も見えない詩音は無防備にその蹴りを食らった。腹部にかかとが食い込み、重い一撃を与える。
そして背中の槍を取り出し、勢いよく詩音に叩きつけた。柄が詩音の頭部に直撃し大きな音を立てる。詩音はこの二連撃にふらつきはするも決定打にはなっていないようだった。
少しして、詩音の視力が回復してきた。そしてすぐにハヤスイの姿を探した。しかし、いくら探しても見つからない。
「どこだ、どこ行った!?」
突然、背中に蹴りを入れられた。完全に身構えていなかった詩音には普段の倍以上の効果があった。それも痛みだけではなく、見えない敵からの攻撃による恐怖と混乱を植え付ける効果もあった。
ハヤスイは詩音の目が見えていない間に、大量の発汗で濡らした体に土をつけ、更に地面を這うように進むことで土煙の煙幕を張り完全に地面と同化していた。更に詩音の死角を活用し念には念を入れたカモフラージュだった。
「活殺術は環境を利用する術、つまりここにあるものすべて我が武器なのだ!!!」
「なるほど、見えないんだったら、目に頼るのは悪手か。だったら」
詩音は脱力して構えると、目を閉じた。
「自分から視力を手放すとは諦めたか!?」
詩音は集中する。音を聞き、風を読み、気配を探る。詩音の感覚はどんどん鋭くなっていく。そして。
「ここッ!!!!」
詩音は何もない所へローキックを放つ。誰もいない場所なのに、手ごたえがあった。吹き飛び地面にバウンドした時の音だけが鳴り、何もない所から血が飛んだ。そう、詩音のローキックがハヤスイに直撃したのである。
「な、何故だ。気配だけで儂の居場所を特定できたというのか!?」
「それだけじゃない。音、風、様々なものが俺にアンタの居場所を教えてくれたのさ。目にばっかり頼ってきた修行しかしてない奴には到底理解できないことだろうが、ここは情報だらけなんだよ」
「な、なんだと…………」
「もう終わりにしようか。ハヤスイさんの実力は分かったから」
「お、終わりにするだと? な、なめるなよ童が!!!」
ハヤスイが感情に任せて突進してくる。詩音はもう一度ローキックを放った。今度はハヤスイの頸椎めがけてだ。ローキックが頸椎を折り、即座に絶命させた。
もうハヤスイが起き上がってくることは無かった。どこに居るのか分からないが、音がしなくなったのだからもう決着はついたのだろう。
「し、勝者、右京!!!!!!!」
直後、大歓声と阿鼻叫喚が同時に会場を埋め尽くした。
「今日はいつもより歓声も悲鳴も大きいな。なんかあったんかなぁ」
とか思いつつも、詩音は特に気にする様子もなく入場門へ戻っていくのだった。
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