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6章ーMr.Freedom
50話
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大歓声と悲鳴であふれた客席の中、ルナは自分の許可証を見る。マネーの欄に長い数字の羅列が刻まれた。
「本当に5億ミラノ入ってる………………ってそれよりも、詩音さん、やはり勝ちましたね」
「うおおおおおおお!!! ルナぁ、アンタやっぱ最高だァ!!!!」
アンティが感激のあまりルナに抱き着いた。
「な、なにしてるんですか! はっ、離れてください!」
「おっとすまねえ。嬉しさのあまりについ。だがアンタいいギャンブラーだぜ。見事的中させちまうんだから!」
「別にそういうわけじゃ……」
「いいんだ謙遜しなくて。そうだ、お礼をさせてくれ。何がいい? 何でも言ってくれよ!」
「部屋を貸してくれるだけでいいんですけど……そうですねぇ」
「大方右京をここから出す為に何か手伝えって話だろ? 俺はいくらでも協力したいが、流石に無理だと思うぞ?」
「で、でも詩音さんは冤罪なんです! それにクレアさんたちもいますし、何とかるはずです!」
「クレア?」
「パーティーメンバーの一人です。クレア・バンガードっていう」
「バンガード!? なるほどなあ、確かにバンガード家ならまあ可能性はあるのか。だがそうなら尚更ルナにできることはねえ。お偉いさんに任せるんだな」
「そ、そうですか……クレアさん、クリスタさん……大丈夫でしょうか」
同刻、バンガード邸に帰ってきたクレアは隠居した父、マックロイを問いただしていた。
「詩音が拘束されコロッセオに連れていかれた件、父上がからんでいるのだろう?」
「証拠はあるのか、証拠は」
「いや、まだ見つかっていない。だが憲兵に問うた所、父上の名を出したら面白い反応をしたのでな」
「ふん、勝手なことを。証拠もないのに犯人だと決めつけるなたわけが」
「そ、それもそうだ。申し訳ありません、父上」
クレアはマックロイの自室を出る。そして廊下を歩きながら考えた。
「絶対父上が絡んでいるはずなのに、証拠がなければ何もできないな。……ルナやクリスタに連絡を取ってみるか」
その日の夜。クレアは通信魔法の書かれた紙を使い、ルナとクリスタにコンタクトを取った。
「あーあー。聞こえるか?」
「はい、聞こえてます」
「こちらも」
「よろしい。では報告会をしよう。まず私から。結果を先に言うと収穫無しだ。まあ、当然だな。思えば証拠が何一つなかった」
「何か調査をしてから行くのかと思えばそのまま言ったのですか? クレアさん、あなた頭の中筋肉で出来ているんです?」
「うるさいぞクリスタ」
「あ、あの。クレアさんが無いのであれば私が報告しますね。詩音さんは予想通りコロッセオで戦っていました」
「やはりか」
「はい。それと詩音さん連勝続きで相当人気みたいです」
「お、おお。まあ詩音が負けるはずないものな」
「それで今日詩音さんと別の連勝中の方との競技があったのですが、詩音さんに賭けて5億ミラノ勝ちました」
「何をやっているのだお前は…………」
クレアは呆れ、同時にルナもそこまで収穫が無かったのだと理解した。
「皆さん何遊んでるんですか。私は頑張っていたのに」
「おお、クリスタは何かわかったのか?」
「ええ、皆さんがぐだぐだしている間に証拠など集めておりました。私の兄妹が司法関係の職の方なので、いい収穫がありましたよ」
「でかした! 詳しく教えてくれ、明日また父に突き付けてくれよう」
「書類等もってそちらへ、向かうので1日待っていてください。何も持たずに行っても今日と同じですよ」
「ぐぬぬ……了解した。では明後日に行くとしよう。待っているぞ」
「ええ。おとなしくしていてくださいね。ルナさんもギャンブルはほどほどにお願いします」
「わ、分かってますよ!」
「では今日は解散としよう。皆、引き続きよろしく頼む」
クレアは回線を切った。そして軽くガッツポーズをする。
「これで父上に白状させることができるぞ!! ああ、明後日が楽しみだ!!」
2日後、クリスタがバンガード邸に到着した。
「ここから意外と近いのだな。クリスタの実家は」
「ええ。そんなことはいいです。早く行きましょうか」
「ああ」
2人はマックロイの元へ向かった。
扉の前で一呼吸深呼吸し気持ちを作る。そしてクレアは扉を叩いた。
「父上! いらっしゃいますか!」
「入って来なさい」
クレアとクリスタが部屋にはいる。そしてすぐに証拠の書類を見せつけた。
「父上、証拠を持ってきたぞ。これで言い逃れはできまい」
マックロイは書類に目を通す。そして一つ大きなため息をついた。
「よく調べたな。どうせ隣の小娘だろう?」
「クリスタです、この間はどうも。私、兄妹に司法関係の職に就いている方がおりますので。それにここに負けず劣らずの名家の出身でございます」
「なるほどな……ああ、その通りだ。これは私が仕組んだことだ。だが、だとしてどうする?」
「詩音をあそこから出してほしい」
「こんな証拠、出したところですぐにもみ消されるだろう。それに一度入ったら二度と出ることはかなわない、そういう所だ」
「父上が認めたということだけで満足だ。後は私たちが法廷で戦う」
「お前たちに何ができるというのだ。それと、私が仕組んだのは死刑にすることだったのだがな。恐らく裁判長が勝手に変えたのだろうよ」
「ほ、本当か!?」
クレアはクリスタの方を見る。だがクリスタは驚いた様子を全く見せなかった。
「ええ。それも裁判長に聞いてあります。理由は確か『最強の剣闘士、バルクと互角に渡り合える逸材、剣闘士にして戦わせなければ勿体ないから』でしたか」
「なんで先に言わないんだというツッコミは置いといて、これでは裁判長もあてにならんではないか!!」
「ですから私とバンガードの家柄でごり押して出所させるしかないんですよ。しかし、マックロイ様の自白とバンガードの後ろ盾がないとどうにもという状態ですね」
「では我が後ろ盾になろう」
背後のドアから鎧を着た男が入ってきた。
「兄上!」
「アーサー様。ごきげんよう」
「ああ。クリスタに話を聞いた時は驚いたが、父上、バンガードの名に泥を塗るような行為、許されません。現当主としてあなたを裁判に連れて行きます」
意外にもマックロイはあっさりとアーサーの言うことを聞き、アーサーの部下に連れて行かれた。
「これで後は準備を進め、詩音を出所させるのみだな」
「どうして話に乗ってくれたのだ?」
「クレアをここまで強くした師である右京とは一度しあってみたいからだ。コロッセオなんぞに居てはそれも叶わんだろう」
ともかく、詩音救出の目途が立ったと思った矢先、あまりよろしくないニュースがクレアたちのもとに届いた。
「アーサー様! ほかの皆様も、重要な情報が来ました!」
「なんだ、行ってみろ」
「ハッ! 先日、右京様が脱獄を試みたそうです!!!」
「本当に5億ミラノ入ってる………………ってそれよりも、詩音さん、やはり勝ちましたね」
「うおおおおおおお!!! ルナぁ、アンタやっぱ最高だァ!!!!」
アンティが感激のあまりルナに抱き着いた。
「な、なにしてるんですか! はっ、離れてください!」
「おっとすまねえ。嬉しさのあまりについ。だがアンタいいギャンブラーだぜ。見事的中させちまうんだから!」
「別にそういうわけじゃ……」
「いいんだ謙遜しなくて。そうだ、お礼をさせてくれ。何がいい? 何でも言ってくれよ!」
「部屋を貸してくれるだけでいいんですけど……そうですねぇ」
「大方右京をここから出す為に何か手伝えって話だろ? 俺はいくらでも協力したいが、流石に無理だと思うぞ?」
「で、でも詩音さんは冤罪なんです! それにクレアさんたちもいますし、何とかるはずです!」
「クレア?」
「パーティーメンバーの一人です。クレア・バンガードっていう」
「バンガード!? なるほどなあ、確かにバンガード家ならまあ可能性はあるのか。だがそうなら尚更ルナにできることはねえ。お偉いさんに任せるんだな」
「そ、そうですか……クレアさん、クリスタさん……大丈夫でしょうか」
同刻、バンガード邸に帰ってきたクレアは隠居した父、マックロイを問いただしていた。
「詩音が拘束されコロッセオに連れていかれた件、父上がからんでいるのだろう?」
「証拠はあるのか、証拠は」
「いや、まだ見つかっていない。だが憲兵に問うた所、父上の名を出したら面白い反応をしたのでな」
「ふん、勝手なことを。証拠もないのに犯人だと決めつけるなたわけが」
「そ、それもそうだ。申し訳ありません、父上」
クレアはマックロイの自室を出る。そして廊下を歩きながら考えた。
「絶対父上が絡んでいるはずなのに、証拠がなければ何もできないな。……ルナやクリスタに連絡を取ってみるか」
その日の夜。クレアは通信魔法の書かれた紙を使い、ルナとクリスタにコンタクトを取った。
「あーあー。聞こえるか?」
「はい、聞こえてます」
「こちらも」
「よろしい。では報告会をしよう。まず私から。結果を先に言うと収穫無しだ。まあ、当然だな。思えば証拠が何一つなかった」
「何か調査をしてから行くのかと思えばそのまま言ったのですか? クレアさん、あなた頭の中筋肉で出来ているんです?」
「うるさいぞクリスタ」
「あ、あの。クレアさんが無いのであれば私が報告しますね。詩音さんは予想通りコロッセオで戦っていました」
「やはりか」
「はい。それと詩音さん連勝続きで相当人気みたいです」
「お、おお。まあ詩音が負けるはずないものな」
「それで今日詩音さんと別の連勝中の方との競技があったのですが、詩音さんに賭けて5億ミラノ勝ちました」
「何をやっているのだお前は…………」
クレアは呆れ、同時にルナもそこまで収穫が無かったのだと理解した。
「皆さん何遊んでるんですか。私は頑張っていたのに」
「おお、クリスタは何かわかったのか?」
「ええ、皆さんがぐだぐだしている間に証拠など集めておりました。私の兄妹が司法関係の職の方なので、いい収穫がありましたよ」
「でかした! 詳しく教えてくれ、明日また父に突き付けてくれよう」
「書類等もってそちらへ、向かうので1日待っていてください。何も持たずに行っても今日と同じですよ」
「ぐぬぬ……了解した。では明後日に行くとしよう。待っているぞ」
「ええ。おとなしくしていてくださいね。ルナさんもギャンブルはほどほどにお願いします」
「わ、分かってますよ!」
「では今日は解散としよう。皆、引き続きよろしく頼む」
クレアは回線を切った。そして軽くガッツポーズをする。
「これで父上に白状させることができるぞ!! ああ、明後日が楽しみだ!!」
2日後、クリスタがバンガード邸に到着した。
「ここから意外と近いのだな。クリスタの実家は」
「ええ。そんなことはいいです。早く行きましょうか」
「ああ」
2人はマックロイの元へ向かった。
扉の前で一呼吸深呼吸し気持ちを作る。そしてクレアは扉を叩いた。
「父上! いらっしゃいますか!」
「入って来なさい」
クレアとクリスタが部屋にはいる。そしてすぐに証拠の書類を見せつけた。
「父上、証拠を持ってきたぞ。これで言い逃れはできまい」
マックロイは書類に目を通す。そして一つ大きなため息をついた。
「よく調べたな。どうせ隣の小娘だろう?」
「クリスタです、この間はどうも。私、兄妹に司法関係の職に就いている方がおりますので。それにここに負けず劣らずの名家の出身でございます」
「なるほどな……ああ、その通りだ。これは私が仕組んだことだ。だが、だとしてどうする?」
「詩音をあそこから出してほしい」
「こんな証拠、出したところですぐにもみ消されるだろう。それに一度入ったら二度と出ることはかなわない、そういう所だ」
「父上が認めたということだけで満足だ。後は私たちが法廷で戦う」
「お前たちに何ができるというのだ。それと、私が仕組んだのは死刑にすることだったのだがな。恐らく裁判長が勝手に変えたのだろうよ」
「ほ、本当か!?」
クレアはクリスタの方を見る。だがクリスタは驚いた様子を全く見せなかった。
「ええ。それも裁判長に聞いてあります。理由は確か『最強の剣闘士、バルクと互角に渡り合える逸材、剣闘士にして戦わせなければ勿体ないから』でしたか」
「なんで先に言わないんだというツッコミは置いといて、これでは裁判長もあてにならんではないか!!」
「ですから私とバンガードの家柄でごり押して出所させるしかないんですよ。しかし、マックロイ様の自白とバンガードの後ろ盾がないとどうにもという状態ですね」
「では我が後ろ盾になろう」
背後のドアから鎧を着た男が入ってきた。
「兄上!」
「アーサー様。ごきげんよう」
「ああ。クリスタに話を聞いた時は驚いたが、父上、バンガードの名に泥を塗るような行為、許されません。現当主としてあなたを裁判に連れて行きます」
意外にもマックロイはあっさりとアーサーの言うことを聞き、アーサーの部下に連れて行かれた。
「これで後は準備を進め、詩音を出所させるのみだな」
「どうして話に乗ってくれたのだ?」
「クレアをここまで強くした師である右京とは一度しあってみたいからだ。コロッセオなんぞに居てはそれも叶わんだろう」
ともかく、詩音救出の目途が立ったと思った矢先、あまりよろしくないニュースがクレアたちのもとに届いた。
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