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第二章★
031:朝焼け色の約束。
しおりを挟む――早朝
■生徒会_仮眠室
(大和 真)
休戦期間になってから二日目の朝。清々しい澄んだ空気とまぶしい朝日に俺は起こされる。
俺、恭二、沙也加は昨日から会長や副会長にみっちり鍛えられている。
俺の寝床は教室から生徒会室に変えられた。生徒会室はかなり広く、メインの部屋の両サイドに部屋が1つずつある。合計で3室。うち一室が今いる仮眠室だ。仮眠室とはいえ、しっかり二段ベッドが置いてあり、部屋には加湿器やら暖房機器やらウォークインクローゼット、テーブルとかなりの充実具合。ちなみにもう一室は倉庫らしい。
庶務の由川さんが昨日、俺らの荷物を運んでくれてたみたいで部屋には荷物が置いてあった。由川さんとは巨乳のお嬢様っぽい人だ。巨乳巨乳ばかり言ってるって?文字通り大きな特徴だからね。
恭二や上杉さん達はまだグースカと寝ている。俺は一人起き上がり、着替え、寝室から出る。まだ6時くらいで起きるのには早いがまた眠れそうにない。だから俺は部屋から出て廊下にでる。そして階段を降りる。朝御飯を食べようと食堂へ足は向かう。
ナイトメアに常設されている食料庫から大量に食料を取ってきて保存してあるらしい。昨日も沙也加達が夕食に行っていたみたい。アリスが喜んでたから覚えている。アリスは元、大凶高校の幹部で金髪に碧眼のハーフ女。口調や態度はヤクザより酷い。
他にも女の子はいて、一人は植村さん。彼女はクワガタのようなツインテールが特徴。実はクラスメートだ。後一人は、相坂さんで、ポニーテールで活発な女の子。ただ植村さんいわく中身はおっさんで下ネタを連発するらしい。回復の能力がずば抜けてる。
生徒会が随分と賑わってきている。もっとも俺と沙也加は恭二のおまけ。
生徒会を増やしたのにも理由は他にも色々あるんだろう。会長は色々と考えているらしいが、俺にはわからない。綺麗なんだけど、怖い。遠くから見るだけで良い。美人は遠くから見るのが賢い判断だ。
俺は食堂に向かって歩く。廊下は静かでシーンとしている。食堂も当然ガランとしていた。テーブルが沢山あり、普段はかなり賑わっている。俺はカウンターに行く。おにぎりでも貰おうとした。
カウンターに行くと女の子達が何人かいる。おそらく調理部の人達だろう。
「おにぎりいい? 」
「はーい。良いですよ。生徒会メンバーさんですか?」
女の子は乗りだし俺の身体を見回す。
ああ白い制服だから簡単に分かっちゃうみたいだ。
「頑張ってくださいね。私達は応援しかできませんが」
「あ…ああ。頑張ります」
俺はおにぎりを受け取り適当なテーブルを探す。ふと人影が目に入る。その人物を見つめた。あの栗色の髪の綺麗な髪はどうみても沙也加だ。
「あっ、真だー! 」
「おはよう。沙也加も起きてたんだね」
沙也加もどうやら朝御飯みたいでパンを食べていた。
「一緒に食べてもいい?」
「やだーいつから許可制になったのよ真ったらー。なんなら私の膝の上はどうだい?」
絶対嫌だ。男が女の子膝の上の乗るってどういう状況だよ。俺は向かいに座わり、沙也加を見る。
「沙也加は疲れとれた? 」
「まだ朝早いからちょっと眠いかなー。ぼーっとしてるかな」
沙也加の明るさは本当に癒される。ナイトメアに来てからはどこか元気がなかったがそれも今は大丈夫になったみたいだ。沙也加はいつもの笑顔を見せている。
「真は大丈夫?Lvを上げるために色々修行してるって聞いたよ」
「まあね。意外とLv上がってきたよ。そういえば沙也加は最近アリスとよくいるけど…大丈夫そう?」
「うーん。言葉遣いは荒いけど良い子だよー」
沙也加は楽しそうに笑い飲み物を飲む。
「草壁さんもアリスは言葉遣い以外は意外と常識ある普通の女の子って言ってたね」
「草壁さんってあの優しそうで爽やかな副会長さんでしょー」
沙也加も少しずつ生徒会のメンツを把握しているみたいだ。
「でも私は真が私の知ってる人の中では一番優しいよ」
沙也加は机に前屈みになり俺を見る。ニッコリと俺に笑いかける。普段は家の中ではジャージでポテチ食べててお笑いが好きで最近はBL小説にはまっているのを俺は知っている。だから、ドキッとしたのは気のせいだと思う。
「や、優しいって俺が?別に普通だよ?」
「優しいじゃん。――だって……ねっ」
「ねっ……て言われても」
「まあまあ、それはさておき」
沙也加は一気に飲み物を飲み干し、ゴミをまとめる。俺も食べ終わる。
話していると意外と時間が経つのが早い。
ふと沙也加が言う。
「真。もし、現実世界に帰れたら二人でどこかで遊ぼうね」
まあ、確かに現実世界に帰れたら遊びたいが何故二人なんだろうか。
俺と沙也加は席から立ち上がり食堂を後にする。
また生徒会室に戻ることにした。
『約束だからね』と念を押してきたのは何故だろうか。
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