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第二章★
034:作戦会議。
しおりを挟む――休戦期間最終日 正午
■生徒会_会議室
(大和 真)
ついに休戦期間が今日で終わる。
星華高校戦の前日に生徒会では最終の作戦会議を行い内容を詰めている。
「星華高校のレベルとの差は明らかよ。だから私達は今回は戦い方を変えようと思うの」
会長が会議室で俺達に向き合って話す。生徒会のメンバーは椅子に座り、俺は恭二と沙也加に挟まれるように座っている。
「戦い方は星華高校のプレイヤーを私達の高校まで誘導し、こっちのテリトリーで戦うように仕向けるわ」
会長が綺麗な長い黒髪を後ろに払う。いつもの透き通るような声で俺達に話す。まだ高校生なのに就活生も驚くほど要点をまとめ、ハキハキと抑揚をつけて分かりやすく話してくれる。同じ高校生とは思えない。
「異議ありだ。あたいは乗り込みてえ!星華高校だっけか?全部蜂の巣にしてやる!」
アリスは相変わらずトリガーハーピーなようだ。どうやったらこんな女の子に育つのだろう。
「それができれば苦労しないわ。戦力的にも立地的にもきついわね」
「じゃあ、また上杉さんの指輪の力で上空から奇襲をかけるのはどうですか? 」
大人しそうな植村さんが会長に提案をした。
「無理よ。今回の相手にそれは通用しないわ。ここまで高Lvが揃っていると優秀なサーチ能力がある生徒がいると思ってまず間違いないわ。その方法よりも防衛を固め、敵を向かい入れ一網打尽にする方が勝率が上がるわ」
会長は腕を組ながら、植村さんに言う。皆も反論がなくなったのか会長の言葉を待っていた。
「じゃあ、作戦を具体的に説明するわ。まずはこれが現在の私達の立心館の校舎の見取り図ね」
校舎はU字型で半分が大凶高校の施設だ。校庭は倍になっていた。
「私がまた大きなバリアを張るわ。だから校庭に一般生徒を含む一番隊を設置してできる限りそこで戦い食い止めてもらうわ」
会長は上杉さんと植村さんとアリスを見て言う。
「あなたたちがそこのリーダーよ」
三人は頷く。今度は回復などに優れている相坂さんを見た。
「あなたは大凶校戦の時と同じように治療をお願いするわ。ただし今回は場所を変えて大凶高校の地下施設にするわ」
なるほど……。確かに大凶高校の地下施設はなかなかいい。見つけずらい場所にあるし地下だから外からの攻撃の影響もない。便利だ。そのためにも合併させたのかもしれない。
「モニターの草野も大凶高校の地下で相坂さんをサポートよ」
会長は今度は俺や沙也加、恭二を見る。
「あなた達は私達生徒会役員と一緒に生徒会室に待機よ。これが今回の戦い方よ。理解したかしら? 」
皆は作戦を理解したみたいだ。会長の言葉に頷く。
「じゃあ、星華高校戦は今日の深夜0時からだからその一時間前までは自由行動してよいわ。修行するなり休むなりして」
会長は立ち上がり、会議室から出ていく。その後、皆もそれぞれ出ていき、恭二と俺だけが残っていた。
「…………」
「どうするんだ真?開戦まで休むのか? 」
「いや、生徒会室でこのまま休もうと思う」
「そうか。なら俺もそうする 」
俺は頷く。
「てかよ。話は変わるけど真は沙也加と何かあったのか? 」
「……へ? 」
恭二は少し考えているような表情な気がする。
「言葉そのままの意味だ。沙也加の様子がおかしかったからな。原因は真しかありえない」
その決めつけは納得行かないけど、心当たりはある。でも、あれは沙也加自身が応援の意味を込めてのキスならしいし。きっと沙也加は外国人の文化を取り入れているんだ。そうに違いない。
「まあ、予想というかカンというか……なんとなく想像はつくけどな」
俺は立ち止まり、恭二に振り向いた。
「想像ってなんだよ?」
「真は鈍いからなー。可哀想に」
恭二は呆れたように俺を見て、溜め息をつく。
「失礼な。俺はむしろ鋭い」
「なら気付いてるか?沙也加はどう見てもお前が好きだぞ 」
恭二は呆れながら言う。沙也加が俺のこと好きなの?いやいや、ザ平凡なこの俺だぞ。それと比べて沙也加は誰もが可愛い可愛いというほどの女の子だ。どう考えても釣り合ってないし……あれ?自分で考えてて悲しくなってきた。
「一年生の時のことに対する感謝が恋愛感情になったといったところだろうな」
俺は黙り考える。恭二の言うことを聞く。
「間違いねーよ。まあ…お前の気持ちは知らねーけど考えておいとけよ」
俺はいまいち頭の整理はつかない。しばらく俺は沙也加のことばかりを考えていた。
………
……
…
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