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第二章★
035:夕焼け小焼け。
しおりを挟む――16時過ぎ
■校舎外
(上杉 昇)
俺は開戦までやることがなくボーと校舎の外を歩いていた。
校庭に向かってのんびり歩いている。
校庭は現実世界では放課後はいつも部活とかが使っていたが今は寂しい秋の風が吹いていた。今では大凶高校だった校庭もくっついていて広さは倍以上ある。俺は校庭の端にある花壇の縁石に腰を下ろしボーとしていた。
今、自分の身に起きていることが夢のような気がしてならない。でも非現実的な武器や間近で見る人の死。全てが戦わなければならないといつの間にか納得している。
それが怖い。
慣れてきている自分が怖い。他校の奴等も自分が死にたくないから戦うんだ。きっと戦いを放棄したら、始めに蛇人間に見せられた人の変死のように俺達も死ぬんだろうな。いや、どこかで戦いを放棄した人もいるかもな。
ボーと黄昏ていると不意に横に人の気配がした。
「……上杉さん」
「ああ、植村か? 」
植村は俺の隣にゆっくり上品に座り横に並ぶ。特徴であるツインテールは本当によく似合う。ツインテールはもしや彼女のためにある髪型ではなかろうか。
「植村は他の奴みたいに休んだりしないのか? 」
「はい。なんか落ち着かなくて。だから外を歩いてたら上杉さんを見つけたんです」
「ああ……なるほどな。といっても俺も黄昏てるだけだぞ」
「ウチも黄昏たいです。ご一緒してもいいですか?」
俺は頷く。植村と俺はボーと夕日に染められた空を見る。Nightm@reにも夕日があるんだな。
「上杉さんって何年生ですか? 」
「俺か?一応、三年生だよ。お前は二年生だったっけ? 」
「そうですよー。部活は何かしてますか? 」
「部活?俺はサッカーだな。小さい頃からサッカーだけには自信あるんだ」
「上杉さん色黒なのはそれだからですか?」
「そうだよ。そういえば…お前の一人称が『ウチ』ってなんかいいな」
「よく友達にも言われます。我が家はお父さん以外は皆、一人称が『ウチ』なんです。だから自然とこうなっちゃったんです」
「へー。でもなんかいいな」
「えへへー。そんなお父さんやお母さんが妙に懐かしくて会いたいです」
「俺もだよ。親父なんて止める人がいないと酒飲んでばかりだから心配だ。母ちゃんよく勝手に旅に出るし」
「ふふふ。面白い家族ですね」
「まあな。植村には負けるけどな」
植村は『ウチは面白くないです! 』と否定してくる。植村の特徴でもあるツインテールが揺れる。植村は一通り、否定し終わると俺に尋ねてきた。
「そういえば上杉さんの名前って少し昔に人気だったWANDSのボーカルの人と名前が同じですねー」
「ああ……母ちゃんが大好きだからな。たまたま苗字が上杉だったもんでね、俺の名前もこれにしたらしい。まったくいい迷惑だ」
「ウチのお母さんも好きですよ。台所で歌う世界が終るまでは…はハンパないです!」
「はは。なんかシュールだな」
「上杉さん……」
唐突に植村がなにか緊張したような顔つきになる。
「なんだ植村? 」
「上杉さんって彼女はいるんですか? 」
「俺か? いるわけないだろ。俺は見た目は怖いみたいだし無愛想だし。サッカー一筋で生きてきたし」
「上杉さん優しいですよ。それに全然無愛想なんかじゃないですよ」
植村はにっこりと微笑みながら言う。
この笑顔で落ちない男はいないだろうなあ。
「しかし、なんでそんなことを聞いてきたんだ?」
俺は気になり聞いてみる。
植村に質問をした。植村は小さな声で呟く。
「べべべ、別に良いじゃないですか。女の子は恋話とか好きですから!」
「へー。まあ確かにそうだよな」
俺と植村は束の間の安息を夕日を見ながら感じていた。でも俺は夕日はあまり好きじゃなかったりする。
だって一日の終わりって感じがして寂しく感じるからだ。
だけど…今、この時間は好きだった。
こんな平和な時間が永遠に続いてほしいんだがきっと…もう無理な願いなんだろうな
………
……
…
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