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第二章★
042:ショタ男な火星と寡黙ノッポの土星。
しおりを挟む――開戦から1時間が経過
■立心館高校_校庭
(上杉昇)
俺は既に息が切れ始めてきていた。
次から次へと迫ってくる敵を斬り倒していくがきりがない。
「貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「――ちっ! 」
俺は刀でまた斬り倒す。そして日本刀から形状を光り輝く鞭に変える。これは大凶高校のキタムラの武器…それをコピーし、その光の鞭で俺は追撃をする。
横ではアリスが罵声を浴びせながら拳銃を乱射している。
「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねっ!」
「もう少し黙って戦えないのかアリス!」
「うるさい!あたいはもう疲れてんだ!声でアドレナリンを出してんだよ!」
「知るか!てかお前はまだ存在力は大丈夫なのかよ!?」
「あたいはまだ大丈夫!なめんなよ!でも植村は少しヤバそうだ!」
俺は植村に目線を向ける。確かに植村は限界がかなり近そうだ。植村は身体を常に金属化させてないといけない。だから存在力の消費が激しいのかも知れない。
俺は植村の方に向かう。
「一旦、植村は休め。存在力を温存しろ!」
「…でもウチはまだ戦えますっ!」
「違う。お前の力は後に必要なんだ。敵はこんな一般生徒だけじゃない」
俺は迫り来る敵に指輪をロケットランチャーに変えて一気に吹き飛ばす。
「わ、分かりました。私は上杉さんの役に立ちたいです!」
「よし、頼むぜ!」
「おい上杉!なんか、敵の様子が変だ!」
もうてんやわんやしている。そんな中、アリスが俺の方に駆け寄り叫ぶ。俺は校門の方に目線を向けた。確かになんか様子が変だ。攻撃を止め一歩引いている。一定の距離から動かない。
「あたいには分かるぜ。そろそろキツいのが来る」
俺もそれを感じていた。ピリピリと緊張感が走る。
やがて前方からは2つの影が見えてくる。ゆっくりと歩いてきているみたいだ。徐々に2つの影は近くなり、校庭のライトではっきりと姿を見えてくる。
「誰だお前は!」
アリスが叫ぶ。
「へー、この学校は猛犬でも飼ってるの?」
アリスに対して挑発するかのような一言。隣でブチッと血管の切れる音がする。否定はできないな。
「なんだとてめぇ!よし決めた。てめーはケツの穴を二つにしてやる!」
「品がないですね。この学校の生徒はまったく」
もう一人の方も小さな声で呟く。一人の方は背は小さめで高校生にしては小さく感じだ。逆にもう一人の方は背が高く、大人びている。二人とも制服の上にローブを羽織っていた。
「あなた達は何者なんです?」
植村が聞くと二人は微笑みながら答える。
「僕とこいつは土星と火星だよ」
背の小さい方が火星で大きい方が土星みたいだ。
「植村! アリス!あの二人は敵の中枢に間違いない。気を付けろ!」
二人は頷く。
俺は指輪に一旦戻しまた青白く発光させる。再び形状は変わる。これは新しく生徒会に入った女の子と同じ武器だ。
確か、三島 沙也加だったかな。恭二君と真君の友達だ。肩ぐらいまでの栗色の髪が特徴的。その子の持っている武器だ。この拳銃はかなり変わっていて、確か重力を操れるって聞いた。もっとも本人が発砲しているのを俺は見たことないが。
アリスは土星に攻撃を仕掛ける。俺と植村は火星に攻撃を始めた。
――ガンッ…ガンッ
俺は拳銃のトリガーを引き下げ、撃ち放つ。銃口からは青黒い球体の玉が火星に迫る。だが火星は簡単に見切り、余裕で攻撃を避ける。さらに手のひらを前に突き出す。同時だった。
「……! 」
火星の手から炎の玉が放たれ、俺と植村に向かってくる。
「植村! 横に転がれ! 」
「――は、はい! 」
俺と植村は横に転がり、避けて体勢を立て直した。生徒会用の白い制服は砂で汚れる。強化制服を着ているとはいえ、あんなのを喰らったら人溜まりもない。普通なら大ケガは免れない。
――ドゴォォォンッ
後方では避けた火炎玉が地面と接触し、爆発音がする。砂埃が立っていて地面が砕かれ焦がれ、抉られていた。
「植村、あれはお前の金属化で防げるか? 」
「む、無理です。金属化はレベルの差があるほど無力化していきますから」
大凶高校のキタムラだとそこまでレベル差があったわけじゃないんだな。今なら大凶高校の猛者が可愛く見えてくるな。
「植村は俺がやばくなったら援護をしてくれ」
「でも……一緒に戦った方が良いと思います」
「いや、お前は今後、必要になるし、全身の金属化は存在力の消費が激しい。だから技で援護してくれ」
「分かりました。あと、上杉さん……」
植村は俺を真剣に見つめながら言う。
「……無理はしないで下さい」
「大丈夫だ!ありがとな植村」
まだ存在力はあるし大凶校戦の時よりも俺は成長した。
俺は一気に火星に向かい駆け出す。相手は小出しに火炎玉を発してくる。俺は横にずれたりと走りながら避け、一気に接近する。俺は軽く跳躍し、火星の真上に行く。軽く飛んだつもりだがかなり高くなっちまった。だか丁度いい。俺はまた指輪の形状を変更し草壁さんのランスに変える。
「喰らえガキ! 」
俺はランスを降り下ろしたが、火星が火炎玉を乱発してくる。おかげでランスの軌道がずらされてしまう。空中でバランスを失った俺は図らずとも無防備になる。
「いただき!ます! 」
火星はチャンスを逃さず火炎玉を放ってくる。俺は咄嗟に身体を捻ることで火炎玉を避ける。だがさらに放たれてた火炎玉を完全に避けることができず身体に衝撃が走る。
「……なっ! ?」
俺は弾き飛ばされ、地面に受け身も取れずに落下する。だが、すぐに立ち上がる。
俺は相手と再び対峙する。隙は見せれない。じりじりと移動し少しずつ円を描いていた。俺は校舎を背に、火星は校門を背にする形になる。相手は俺の様子を伺っているようだ。
殺那、相手は走りだす。
相手は炎の剣を作り出していたので、俺もただの日本刀に変えて応戦する。剣を交え、攻撃をお互い休めない。剣術を教わっているのか太刀が早い。俺は刀同士の接近戦は不利だと察し、距離をおく。
そろそろ俺が成長したことを見せる時だ。
「…何をする気だい? 」
「さーな。これからのお楽しみだ」
俺の指輪が今までにない輝きを放ち始めた。
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