『Nightm@re』という異世界に召喚された学生達が学校間大戦とLevel上げで学校を発展させていく冒険譚。

なすか地上絵

文字の大きさ
46 / 85
第二章★

042:ショタ男な火星と寡黙ノッポの土星。

しおりを挟む


――開戦から1時間が経過
■立心館高校_校庭
 (上杉昇)


 俺は既に息が切れ始めてきていた。
 次から次へと迫ってくる敵を斬り倒していくがきりがない。

「貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

「――ちっ! 」

 俺は刀でまた斬り倒す。そして日本刀から形状を光り輝くむちに変える。これは大凶高校のキタムラの武器…それをコピーし、その光の鞭で俺は追撃をする。

 横ではアリスが罵声を浴びせながら拳銃を乱射している。

「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねっ!」

「もう少し黙って戦えないのかアリス!」

「うるさい!あたいはもう疲れてんだ!声でアドレナリンを出してんだよ!」

「知るか!てかお前はまだ存在力は大丈夫なのかよ!?」

「あたいはまだ大丈夫!なめんなよ!でも植村は少しヤバそうだ!」

 俺は植村に目線を向ける。確かに植村は限界がかなり近そうだ。植村は身体を常に金属化させてないといけない。だから存在力の消費が激しいのかも知れない。
 俺は植村の方に向かう。

「一旦、植村は休め。存在力を温存しろ!」

「…でもウチはまだ戦えますっ!」

「違う。お前の力は後に必要なんだ。敵はこんな一般生徒だけじゃない」

 俺は迫り来る敵に指輪をロケットランチャーに変えて一気に吹き飛ばす。

「わ、分かりました。私は上杉さんの役に立ちたいです!」

「よし、頼むぜ!」

「おい上杉!なんか、敵の様子が変だ!」

 もうてんやわんやしている。そんな中、アリスが俺の方に駆け寄り叫ぶ。俺は校門の方に目線を向けた。確かになんか様子が変だ。攻撃を止め一歩引いている。一定の距離から動かない。

「あたいには分かるぜ。そろそろキツいのが来る」

 俺もそれを感じていた。ピリピリと緊張感が走る。

 やがて前方からは2つの影が見えてくる。ゆっくりと歩いてきているみたいだ。徐々に2つの影は近くなり、校庭のライトではっきりと姿を見えてくる。

「誰だお前は!」

 アリスが叫ぶ。

「へー、この学校は猛犬でも飼ってるの?」

 アリスに対して挑発するかのような一言。隣でブチッと血管の切れる音がする。否定はできないな。

「なんだとてめぇ!よし決めた。てめーはケツの穴を二つにしてやる!」

「品がないですね。この学校の生徒はまったく」

 もう一人の方も小さな声で呟く。一人の方は背は小さめで高校生にしては小さく感じだ。逆にもう一人の方は背が高く、大人びている。二人とも制服の上にローブを羽織っていた。

「あなた達は何者なんです?」

 植村が聞くと二人は微笑みながら答える。

「僕とこいつは土星と火星だよ」

 背の小さい方が火星で大きい方が土星みたいだ。

「植村! アリス!あの二人は敵の中枢に間違いない。気を付けろ!」

 二人は頷く。
 俺は指輪に一旦戻しまた青白く発光させる。再び形状は変わる。これは新しく生徒会に入った女の子と同じ武器だ。
 確か、三島 沙也加だったかな。恭二君と真君の友達だ。肩ぐらいまでの栗色の髪が特徴的。その子の持っている武器だ。この拳銃はかなり変わっていて、確か重力を操れるって聞いた。もっとも本人が発砲しているのを俺は見たことないが。

 アリスは土星に攻撃を仕掛ける。俺と植村は火星に攻撃を始めた。

――ガンッ…ガンッ

 俺は拳銃のトリガーを引き下げ、撃ち放つ。銃口からは青黒い球体の玉が火星に迫る。だが火星は簡単に見切り、余裕で攻撃を避ける。さらに手のひらを前に突き出す。同時だった。

「……! 」

 火星の手から炎の玉が放たれ、俺と植村に向かってくる。

「植村! 横に転がれ! 」

「――は、はい! 」

 俺と植村は横に転がり、避けて体勢を立て直した。生徒会用の白い制服は砂で汚れる。強化制服を着ているとはいえ、あんなのを喰らったら人溜まりもない。普通なら大ケガは免れない。

――ドゴォォォンッ

 後方では避けた火炎玉が地面と接触し、爆発音がする。砂埃が立っていて地面が砕かれ焦がれ、抉られていた。

「植村、あれはお前の金属化で防げるか? 」

「む、無理です。金属化はレベルの差があるほど無力化していきますから」

 大凶高校のキタムラだとそこまでレベル差があったわけじゃないんだな。今なら大凶高校の猛者が可愛く見えてくるな。

「植村は俺がやばくなったら援護をしてくれ」

「でも……一緒に戦った方が良いと思います」

「いや、お前は今後、必要になるし、全身の金属化は存在力の消費が激しい。だから技で援護してくれ」

「分かりました。あと、上杉さん……」

 植村は俺を真剣に見つめながら言う。

「……無理はしないで下さい」

「大丈夫だ!ありがとな植村」

 まだ存在力はあるし大凶校戦の時よりも俺は成長した。

 俺は一気に火星に向かい駆け出す。相手は小出しに火炎玉を発してくる。俺は横にずれたりと走りながら避け、一気に接近する。俺は軽く跳躍し、火星の真上に行く。軽く飛んだつもりだがかなり高くなっちまった。だか丁度いい。俺はまた指輪の形状を変更し草壁さんのランスに変える。

「喰らえガキ! 」

 俺はランスを降り下ろしたが、火星が火炎玉を乱発してくる。おかげでランスの軌道がずらされてしまう。空中でバランスを失った俺は図らずとも無防備になる。

「いただき!ます! 」

 火星はチャンスを逃さず火炎玉を放ってくる。俺は咄嗟に身体を捻ることで火炎玉を避ける。だがさらに放たれてた火炎玉を完全に避けることができず身体に衝撃が走る。

「……なっ! ?」

 俺は弾き飛ばされ、地面に受け身も取れずに落下する。だが、すぐに立ち上がる。

 俺は相手と再び対峙する。隙は見せれない。じりじりと移動し少しずつ円を描いていた。俺は校舎を背に、火星は校門を背にする形になる。相手は俺の様子を伺っているようだ。

 殺那、相手は走りだす。

 相手は炎の剣を作り出していたので、俺もただの日本刀に変えて応戦する。剣を交え、攻撃をお互い休めない。剣術を教わっているのか太刀が早い。俺は刀同士の接近戦は不利だと察し、距離をおく。

 そろそろ俺が成長したことを見せる時だ。

「…何をする気だい? 」

「さーな。これからのお楽しみだ」

 俺の指輪が今までにない輝きを放ち始めた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活

仙道
ファンタジー
 ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。  彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる

家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。 召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。 多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。 しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。 何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

貧弱の英雄

カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。 貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。 自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる―― ※修正要請のコメントは対処後に削除します。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...