『Nightm@re』という異世界に召喚された学生達が学校間大戦とLevel上げで学校を発展させていく冒険譚。

なすか地上絵

文字の大きさ
51 / 85
第二章★

045:とんでもない作戦③

しおりを挟む


――生徒会室をでてから15分後
■街中
 (大和 真)


 俺達は星華高校に向かっていた。

 星華高校は山の上にあるけど、山の下には都会な街並みが広がっている。現実世界の星華高校は駅近でもあることからアクセスも良いと評判が良かった。

 俺達は都内を走り抜けながら星華高校に向かっている。

「沙也加。星華高校はあとどれくらいだ? 」

「あと、ニキロだよー!」

「ならすぐに着くな。よーし気合いを入れていこう」

 俺のすぐ後ろを恭二が走っている。そのすぐ隣に沙也加がついてきている。

 Lvが上がったこともあり俺達三人の身体能力、基礎体力は格段に向上している。計ってないけど50メートル走したら見たことないような記録が出せそう。現実世界で走っていても感じたことないような向かい風を感じる。

「会長が何でそのハンマーを渡したのかは分かるのか?」

「そのハンマーって恭二が戦った敵から得た戦利品だったよね? 」

「そうだぞ。物理拒否とかいう能力があってなかなか厄介だった。おかげで大ダメージを食らったんだ」

「このハンマーを使えば壁とか通り抜けられるってことだよね?」

 恭二が俺に頷く。徐々に前方には小さくだが、星華高校の聳え立つ山が見えている。ただ、俺は一つ気になっていることがある。俺達だけで敵の本陣に奇襲をかけたところで相手になるのか?

 会長は凄まじい洞察力を持っているけど、何を考えているか分からないことがある。会長が上杉さんに応援を送らないのは分かる。送らないのではなく送れないのだ。生徒が足らないし、護衛を残さなければならないからだ。

 だが、俺達が星華高校に乗り込んだところでまともに戦えるのか?恭二に相当の期待をしているってことだろうか。いや、今は星華高校の校舎に侵入することだけを考えよう。

 星華高校のもう、目の前まで来ていた。星華高校の売りの一つでもある綺麗な芝生の丘を俺達は登る。ここを登れば、すぐに校舎になる。現実世界では部活動に疲れた生徒達や放課後の読書の場所として使われてたらしい。

「そろそろ着きそうだね」

 やがて俺達は校舎を囲む大きな壁の前に辿り着く。

「よし、これを越えれば敵校の敷地内だな」

「さっそくそのハンマーの出番だね」

 俺は恭二の右手にある大きなハンマーに視線を移す。恭二はハンマーを掲げる。

「会長って本当に頭がいいんだね!ハンマー渡された時はびっくりしたけど」

「侵入のことを考えて念を入れて渡してくれたんだろうね」

「よし、じゃあ、俺に掴まれ。俺なら一応、このハンマーの使い方も大体わかるし」

 恭二が存在力を練っている。俺たちはと沙也加は恭二に捕まる。

「よし…じゃあ、侵入するぞ」

 恭二は白い大きな外壁に向かって歩み出した。身体に不思議な感覚が走る。まるでゼリー状の中を通ってる感触だ。気づけば外壁は後ろにあり、俺達は星華高校の敷地内の侵入に成功していた。

 辺りを見回すと目の前にはでかい校舎がそびえ建っていた。

「わー!でかい校舎ー!」

「沙也加、静かにしたほうがいい。俺達はお尋ね者なんだぞ。見張りだっているかも知れない」

 恭二が沙也加に言う。俺達は静かにその場から離れようとしていた。

 そんな時だった。

「貴様ら!!そこで何をしてる!? 」

「……!? 」

 少し遠いが星華高校の生徒と思われるような男がいた。当然制服が違うので俺達が余所者なのは分かるようだ。

「お前ら…立心館高校の生徒だな?」

 男はMSPを制服のポッケから取りだしなんかのボタンを押していた。学校中に警報が鳴り響く。これやばいヤツじゃね?

「ちっ…逃げるぞ真! 沙也加! 」

 俺と沙也加は頷く。恭二に続くように走り出す。恭二は校舎の開いている窓から校舎内に入る。それに俺と沙也加も続いて校舎に入る。

「ど、どうする恭二? いきなり侵入がバレちゃったよ」

「いや問題ない。それよりも学校代表を探そう!」

「学校代表と戦う気なの!?無茶だよー 」

 沙也加は恭二に言うが恭二は首を横に振る。

「俺達は今の戦局は明らか不利このままじゃ負ける。だからこそ行くんだよ」

 恭二は走りだし俺も続く。沙也加も一応、気持ちに整理はついてないみたいだが走り出す。廊下には電気が点いていて見渡しやすかった。

「……きゃっ! 」

「どうした沙也加? 」

 俺が後ろを振り返ると沙也加が廊下に転んでいた。

「大丈夫か……っ!! 」

 後方には人影がいて沙也加の足元の廊下が抉れていた。

「沙也加は大丈夫!?」

「大丈夫。怪我はないよ!早く逃げよ!」

「まずい。囲まれた」

「えっ? 」

 恭二の言葉に前方に視線を移すと敵がわんさかといた。ぱっと見、強そうなのはいないがそれにしても数が多い。汗が額を流れる。

「どうする恭二!? 」

「しかたないな。戦うしか……」

「待って。私に任せて!! 」

 沙也加が後ろから俺と恭二に言う。振り返ると沙也加は少し得意顔になっている。

「私の拳銃なら足止めできるよ。任せて」

「どういうこと沙也加? 」

 俺が尋ねると沙也加はグラビティガンを前に突きだし、躊躇いなく発砲する。

「…! ?」

 銃口からは青黒い球体が発射される。

 追っ手達は逃げようとするが人数が多すぎて動けない。かなりのスピードで敵に迫る。そして直撃する。

「な、なんだ? なんか重っつ!?」

 追っ手の身体がいきなり廊下に押し潰される。

「へー、会長が言ってたがここまで良い拳銃だとは……」

 名前の通りだった。おそらく銃口から出た青黒い弾丸、あれは重力の大きさ、向きなどを変えてしまうのだろう。

「よーし、後は反対側の追っ手を行動不能にすれば良いんだっけ?」

「頼んだ! 沙也加! 」

 俺は沙也加に言い沙也加はまた重力球を連続発射した。

 沙也加のグラビティガンに救われ、俺達はまた、星華高校の校舎を走り始めた。

…………
……
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活

仙道
ファンタジー
 ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。  彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる

家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。 召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。 多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。 しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。 何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

貧弱の英雄

カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。 貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。 自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる―― ※修正要請のコメントは対処後に削除します。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...