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第二章★
045:とんでもない作戦③
しおりを挟む――生徒会室をでてから15分後
■街中
(大和 真)
俺達は星華高校に向かっていた。
星華高校は山の上にあるけど、山の下には都会な街並みが広がっている。現実世界の星華高校は駅近でもあることからアクセスも良いと評判が良かった。
俺達は都内を走り抜けながら星華高校に向かっている。
「沙也加。星華高校はあとどれくらいだ? 」
「あと、ニキロだよー!」
「ならすぐに着くな。よーし気合いを入れていこう」
俺のすぐ後ろを恭二が走っている。そのすぐ隣に沙也加がついてきている。
Lvが上がったこともあり俺達三人の身体能力、基礎体力は格段に向上している。計ってないけど50メートル走したら見たことないような記録が出せそう。現実世界で走っていても感じたことないような向かい風を感じる。
「会長が何でそのハンマーを渡したのかは分かるのか?」
「そのハンマーって恭二が戦った敵から得た戦利品だったよね? 」
「そうだぞ。物理拒否とかいう能力があってなかなか厄介だった。おかげで大ダメージを食らったんだ」
「このハンマーを使えば壁とか通り抜けられるってことだよね?」
恭二が俺に頷く。徐々に前方には小さくだが、星華高校の聳え立つ山が見えている。ただ、俺は一つ気になっていることがある。俺達だけで敵の本陣に奇襲をかけたところで相手になるのか?
会長は凄まじい洞察力を持っているけど、何を考えているか分からないことがある。会長が上杉さんに応援を送らないのは分かる。送らないのではなく送れないのだ。生徒が足らないし、護衛を残さなければならないからだ。
だが、俺達が星華高校に乗り込んだところでまともに戦えるのか?恭二に相当の期待をしているってことだろうか。いや、今は星華高校の校舎に侵入することだけを考えよう。
星華高校のもう、目の前まで来ていた。星華高校の売りの一つでもある綺麗な芝生の丘を俺達は登る。ここを登れば、すぐに校舎になる。現実世界では部活動に疲れた生徒達や放課後の読書の場所として使われてたらしい。
「そろそろ着きそうだね」
やがて俺達は校舎を囲む大きな壁の前に辿り着く。
「よし、これを越えれば敵校の敷地内だな」
「さっそくそのハンマーの出番だね」
俺は恭二の右手にある大きなハンマーに視線を移す。恭二はハンマーを掲げる。
「会長って本当に頭がいいんだね!ハンマー渡された時はびっくりしたけど」
「侵入のことを考えて念を入れて渡してくれたんだろうね」
「よし、じゃあ、俺に掴まれ。俺なら一応、このハンマーの使い方も大体わかるし」
恭二が存在力を練っている。俺たちはと沙也加は恭二に捕まる。
「よし…じゃあ、侵入するぞ」
恭二は白い大きな外壁に向かって歩み出した。身体に不思議な感覚が走る。まるでゼリー状の中を通ってる感触だ。気づけば外壁は後ろにあり、俺達は星華高校の敷地内の侵入に成功していた。
辺りを見回すと目の前にはでかい校舎がそびえ建っていた。
「わー!でかい校舎ー!」
「沙也加、静かにしたほうがいい。俺達はお尋ね者なんだぞ。見張りだっているかも知れない」
恭二が沙也加に言う。俺達は静かにその場から離れようとしていた。
そんな時だった。
「貴様ら!!そこで何をしてる!? 」
「……!? 」
少し遠いが星華高校の生徒と思われるような男がいた。当然制服が違うので俺達が余所者なのは分かるようだ。
「お前ら…立心館高校の生徒だな?」
男はMSPを制服のポッケから取りだしなんかのボタンを押していた。学校中に警報が鳴り響く。これやばいヤツじゃね?
「ちっ…逃げるぞ真! 沙也加! 」
俺と沙也加は頷く。恭二に続くように走り出す。恭二は校舎の開いている窓から校舎内に入る。それに俺と沙也加も続いて校舎に入る。
「ど、どうする恭二? いきなり侵入がバレちゃったよ」
「いや問題ない。それよりも学校代表を探そう!」
「学校代表と戦う気なの!?無茶だよー 」
沙也加は恭二に言うが恭二は首を横に振る。
「俺達は今の戦局は明らか不利このままじゃ負ける。だからこそ行くんだよ」
恭二は走りだし俺も続く。沙也加も一応、気持ちに整理はついてないみたいだが走り出す。廊下には電気が点いていて見渡しやすかった。
「……きゃっ! 」
「どうした沙也加? 」
俺が後ろを振り返ると沙也加が廊下に転んでいた。
「大丈夫か……っ!! 」
後方には人影がいて沙也加の足元の廊下が抉れていた。
「沙也加は大丈夫!?」
「大丈夫。怪我はないよ!早く逃げよ!」
「まずい。囲まれた」
「えっ? 」
恭二の言葉に前方に視線を移すと敵がわんさかといた。ぱっと見、強そうなのはいないがそれにしても数が多い。汗が額を流れる。
「どうする恭二!? 」
「しかたないな。戦うしか……」
「待って。私に任せて!! 」
沙也加が後ろから俺と恭二に言う。振り返ると沙也加は少し得意顔になっている。
「私の拳銃なら足止めできるよ。任せて」
「どういうこと沙也加? 」
俺が尋ねると沙也加はグラビティガンを前に突きだし、躊躇いなく発砲する。
「…! ?」
銃口からは青黒い球体が発射される。
追っ手達は逃げようとするが人数が多すぎて動けない。かなりのスピードで敵に迫る。そして直撃する。
「な、なんだ? なんか重っつ!?」
追っ手の身体がいきなり廊下に押し潰される。
「へー、会長が言ってたがここまで良い拳銃だとは……」
名前の通りだった。おそらく銃口から出た青黒い弾丸、あれは重力の大きさ、向きなどを変えてしまうのだろう。
「よーし、後は反対側の追っ手を行動不能にすれば良いんだっけ?」
「頼んだ! 沙也加! 」
俺は沙也加に言い沙也加はまた重力球を連続発射した。
沙也加のグラビティガンに救われ、俺達はまた、星華高校の校舎を走り始めた。
…………
……
…
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