『Nightm@re』という異世界に召喚された学生達が学校間大戦とLevel上げで学校を発展させていく冒険譚。

なすか地上絵

文字の大きさ
57 / 85
第二章★

050:疑いの心。

しおりを挟む


――開戦から3時間が経過
■大凶高校_地下施設
 (霜月 零)


 私と植村は大凶高校の応接間から地下施設に続く階段を下る。

 階段には私達の足音が響いていた。

「やっぱり会長が向かっていたのは地下施設だったんですね」

「そうよ。気になることがあるのよ」

「海王星が言っていたことが気になってるんですか?」

 私は頷く。

「私のカンが正しければ、私に見せたくなかったものはここに関係してるはず」

 地下施設への扉が見えてくる。ペンキが剥がれていてやけに年季を感じる。

「海王星が隠したかったのってなんですか?」

 扉の前に付き、私は小さく答えた。

「おそらくスパイね」

 私は重い扉を開ける。
 中に入り、周りを見回す。

 目線の先には、白いシーツを被せた布団がそこらじゅうにあり、負傷者達が治療を受けていた。

 植村があたりを見回しながらある人物を見つけていた。

「…! 上杉さん! 」

 上杉も先程、帰還したのね。無事そうで良かったわ…。治療も終わったみたいね。

 私と植村は上杉の所に向かう。

「どうやら、勝ったみたいね」

「ああ、でも勝ったのは俺じゃないぜ」

 上杉が横を指すとアリスがいて、治療を受けている。

「おっ、会長じゃねーか。あと、植村か」

「アリスありがとね。あなたのおかげで星華高校をだいぶ、押してるわ」

「へっ、ちょろいぜ。パーフェクトボディ超絶美女のあたいにかかりゃこれから冥王星が来ようとイチコロよ」

「ありがとう。上杉を守ってくれて」

 私はアリスにお礼の言葉を言う。アリスは急にもじもじして照れ始める。この子本当に分かりやすい。根は良い子なのよね。

 アリスの隣にいる上杉さんの傍に植村は座り、話しかけていた。

 アリスも治療を終えたようで、治療してくれた女の子にお礼を言っていた。

「あなたは元大凶高校の生徒ね」

会長は少しくせ毛のある髪をしたほんわかした女の子に話しかける。

「そうですよー」

「確か、回復能力を持つ人はあなたを含めて今は三人よね? 」

 会長は女の子に聞く。

「はぅ、そうですよー。相坂ちゃんと私ともう一人です」

 彼女の回復アイテムは確か『治癒扇子』。擦過傷等の軽症を治すのに向いている。相坂の能力は『女神の高杯』で大怪我を治すのに向いているが、存在力は大量に消費してしまう。

「草壁達は帰ってきてるかしら? 」

 会長は回復組の女の子に聞く。
 女の子はさらに奥の方のエリアを指さす。

「はぅ、あそこは骨折などをしている人がいます。草壁さんは骨を折ってましたので多分あそこにいますよ」

「分かったわ。ありがと。じゃあ、上杉とアリスは安静してなさい。植村は来なさい」

 植村は少し、戸惑いを見せるが私ののあとにトコトコとついてくる。歩きながら私はは植村に言う。

「上杉と居たかったかしら? 」

「え? いや、でも、ふぇ!?」

「焦らなくていいわ。分かりやすいのね」

 私は少し笑ってしまう。
 植村は珍しいものでも見たように驚いている。確かに表情にあまり出ないけど私も人間なのよ。私はとりあえず言葉を返す。

「私はお面なんて付けてないわよ」

「え、エスパーですか? 」

 植村は自分の思考を読まれたことに焦っていた。

 私達は奥のエリアに到着する。すぐ奥には建設中の建物が変わらず鎮座している。あれもそろそろ完成させたいわね…。

 私は辺りを見渡す。
 ここにも怪我人が大勢いる。

「会長ですか……? 」

「草壁そこにいたのね」

 会長は治療中の草壁に近づき様子を見る。
安堵のため息をつく。

「その様子なら大丈夫そうね。良かったわ」

「はい。私は大丈夫です。ただ、由川が……」

 私はそれを知ったのはついさっき。MSPに通知が来ていたからだ。

「知ってるわ。あなたのせいじゃない。由川は本当に残念だったわ…」

「はい……」

 草壁は悔しそうに唇を噛んでいる。悔しいのは私も一緒。あの子も大切な大切な仲間であり友達なのだから。

 絶対に皆んなで生き残ってこの世界から出ていくって決めてたのに…。

「会長はどうされたんですか?私を心配してくれたんですか?」

「それもだし、一つ気になっていることがあるのよ。……相坂さんはどこかしら? 」

「相坂ですか? 」

「彼女がどこにいるか知らないかしら? 」

 草壁がお団子頭の女子生徒を教えてくれる。お団子頭の女子生徒は怪我人の治療をしている。

「彼女なら知ってるかと…」

「ありがと」

 私は植村を連れてお団子頭の女子生徒に話しかけにいく。

「あなた回復組の一人よね? 」

「あ、はい。そうよ」

 お団子頭の女の子は少し、私に対しておどおどしたように返事をする。私ってそんなに怖いのかしら。

 植村は私が女子生徒と話している間、草野が地下施設にも設置していたモニターを見ている。

 モニターには星華高校で戦闘中の真君、恭二君、沙也加さんの三人が天王星と戦っていた。

 その3人面白いでしょ。
 恭二君の天才的な飲み込みの良さと三島さんの上手いサポート。そして不思議な雰囲気を持つ真君。

 今の彼らなら正直、冥王星とも良い勝負はすると思う。特に真君の覚醒次第では…

 でも、まだ無理はさせたくない。
だから私はそろそろ向かうことにした。

「行くわよ。植村」

「えっ? は、はい!相坂さんがどこにいるか分かりましたか? 」

「分からずじまいね」

「相坂さんを探してるのはなんでなんですか? 」

「そうね…なんとなくね…嫌な予感がするのよ」

「……海王星の言っていた件ですよね。まさか愛花ちゃんが?」

「いえ……私の思い過ごしよきっと」

ーーたぶん、そんなことはない。

「植村?まだ戦えるかしら?」

「大丈夫です!かなり回復しました!これから冥王星と海王星を倒しに行くんですか? 」

「そうよ。もう皆も消耗してるし無理はさせたくないわ。私とあなたで攻め込むつもりだけどいけるかしら?」

「は、はい……。頑張ります! 」

私は感じていた。相坂がいないのは何かが匂う。得体の知れない何かが……近づいてきているようなそんな予感。

早くこの戦いを終わらせよう。

私は存在力を練り込み、植村に言う。

「じゃあ、行くわよ。捕まりなさい」

植村は返事をし、ピタッと私にくっつく。可愛いわねこの子。あの堅物そうな上杉も好きになるわけね。

植村が聞いてくる。

「どうやって星華高校まで行くんですか? 」

「私の能力よ」

私は力を込めると同時に私と植村の身体は光に包まれ、地下施設から消えた。

…………
……
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活

仙道
ファンタジー
 ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。  彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる

家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。 召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。 多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。 しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。 何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

貧弱の英雄

カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。 貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。 自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる―― ※修正要請のコメントは対処後に削除します。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...