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第二章★
054:謎の男。
しおりを挟む――開戦から4時間経過
■立心館_地下施設
(上杉 昇)
地下施設にはかなりの生徒が戻ってきている。戦いも終盤。布団などは治療をしてもらった生徒達が休んでいる。地下施設にはあらゆる箇所に巨大スクリーンが取り付けられ戦況を見守ることができるようになっている。
スクリーンを俺と草野とアリスで見ていた。会長と植村を俺達は見守る。
植村あいつ…いつの間にあんな頼もしくなったんだ?レイピアを巧みに使いこなし、かなりのLv差がある海王星と善戦している。すげえ…。
今回むしろ心配なのは会長のほうな気がしていた。いつもより心なしかキレがないような……。もしかして由川さんのことをすごい気にしているのか。そんな気がする。
昔からの親友の一人って草壁さんから俺は聞いていた。
会長は鉄面皮でいつも表情には出ないから分からないけど、やっぱり辛いよな…
草野さんも隣で心配そうに見ている。
「……会長があれぐらいでやられるとは思えないが、無傷では済まないな」
「あたいは芹澤 恭二の状態が気になる」
助けに行きたいが、俺もアリスもかなり存在力の限界が近い。草野さんはまだ動けるだろうけど、ここの役割がある。
怪我は治るけど存在力はすぐには回復できない。俺もアリスも徐々に自然回復するのを待つしか方法はない。
「アリスは寝てなくて大丈夫なのか?」
「戦況が気になるんだよ。寝てられっか」
「存在力がほとんど残ってないのに大丈夫なのか?立ってるのがやっとだろ?草壁さんでさえ今は休んでるんだぞ」
俺が心配そうに聞くとアリスは言う。
「仲間が心配なんだよ。分かるだろ? 」
俺ははアリスの言葉に少しほっこりする。口は恐ろしく悪いが、根は本当に良い子なのだろう。草壁さんが聞いたら、喜びそうだと俺はふと思う。
「……でも、無理は良くない。アリスの存在力は495だけど、今は30ぐらいしかないみたいだ」
「ああ、分かってるよエロゲの主人公。でも30もあれば草壁の寝首くらいはかけるぜ」
元気そうでよろしい。
俺は隣にいる草野に話しかける。
「会長が少し心配だな」
「……助けに行きたいけど、現状難しいだろう。俺達は見守るしかないと思う」
「そうだよな……力使い果たした俺たちが行ってもな…」
俺たちには見守ることしかできねえ。だけど、徐々に立心館が押してきている。そんな気がしてきていた。
あの三人組は少し不安要素はあるもののなかなかやってくれる。きっと勝つだろう。
植村も海王星と相性の良さを活かして上手に戦っている。
会長もきっと勝つだろう。あの人が負けるところは一切想像ができない。
ただ、俺はなんか上手く行き過ぎているようなそんな気がしていた。何か裏で大変なことが起き始めているような。
まるで嵐の前の静けさのようなものをこの時の俺だけは感じていた。
ただの思い過ごしだといいんだが
……………
……
…
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