『Nightm@re』という異世界に召喚された学生達が学校間大戦とLevel上げで学校を発展させていく冒険譚。

なすか地上絵

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第二章★

053:海王星と冥王星の登場。

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ーー同時刻
■星華高校_教室
(霜月零)

 どこかの教室のようね。
 私と植村は整理整頓された綺麗な教室に立っている。教室前方には黒板ではなくモニター。机や椅子の備品も綺麗。床や壁には全然傷がなくまるで新築。

 それに星華高校の教室はきちんと規則正しく机、椅子が並べられている。まるでごく普通の放課後の夜の学校だ。

「教室ですね」

 植村の呟きに会長が頷く。

「そのようね。私の移動能力はあまり精度が良くないから少しずれたみたいね」

 私は辺りを観察しながら答える。室内を少し歩き回る。

 そして、私は植村に手招きをし、の合図を送る。私と植村は廊下に出て警戒をしながら歩く。

「行くわよ」

「敵の居場所は分かるんですか?」

 植村が聞いてくる。

「ええ。ある程度わね」

 なんせ大きな存在力を上の方から私は感じていた。それに向かって歩く。

「なんか変ですね。思ってたより静かです。一般生徒に全然出くわさないですね」

「この戦いも終盤だからね。きっと敵も早くケリをつけたいのよ」

 それに私に向かわせてもあまり意味がないと思っているんでしょうね。

「植村。もう着くわ。準備だけしといて」

 私は階段を登る前に植村に指示を出す。

「もしかして上にいるんですか?」

「ええ。屋上ね」

 私と植村は階段を駆け上がる。階段が終わり、重たそうで少し錆びついた黄色い鉄の扉があった。

「じゃあ、開けるわよ」

 私は扉の取っ手を握り、一気に開ける。扉を開け、私と植村は屋上に出る。

「きゃっ、足が冷たいですっ!」

 床には水溜まりがいくつもあり、床も少しザラザラとした素材になっている。てっきりすぐ夜空の下かと思いきや、まだ室内で少し歩くと出口になっている。

 目の前には部屋があり更衣室とかかれている。奥には広いシャワーと消毒用プールがある。同時に塩素の匂い。屋上にプール設備があるのね…。

「進むわよ。どうやら敵はこの向こうでお待ちかねみたいだから」

 更に進み、出口を出ると景色が開ける。真上には夜空。眼前には巨大なプールが広がっていた。

 プールの向こう側に人影が2つあった。

「素敵なプールね」

 私は反対側のプールサイドに立つ人影に声をかけると、二人とも反応した。

「ようこそ、立心館高校、学校代表の霜月 零さん」

「こんな素敵な場所にご招待してもらえるなんて感謝するわ。素敵な学校ね」

「アハハ。僕タチ二勝ッタラアゲルネ。

 一人はまだ初対面だから分からないけど、もう一人は間違いなく海王星だった。

「あなたは海王星ね。先程はどうも。だとするともう一人は冥王星かしら?」

「その通りさ。私は冥王星。星華高校の学校代表だよ」

 冥王星の髪型はソフトモヒカン。かなり日焼けしているのと細身の筋肉質できっとアスリートだろう。性別は男。

 植村が隣で驚いていた。私も確かに見覚えがあった。きっとニュースとかで見たのかしら。

「あなたの顔、見たことあります!確か、陸上競技界の期待のエースってニュースで流れてました! 」

「照れますね。まあ、この世界Naitm@reないとめあに有名人もなにもありませんが」

 冥王星は笑っていた。制服の上に着ていたコートを脱ぎ捨てる。

「さて、戦闘を始めようか?せっかく遠くから出向いてくれたんだしさ」

「ええ、そうよ」

 私は右手に力を込める。
 青白く発光すると同時に八蛇の鏡が眩い光に包まれながら現れる。

 植村は足元が発光し、金属靴に履き変わる。

「二人で戦うわよ。いけるわね?」

「はい!」

 プールの向こう岸から冥王星は微笑んでいた。私は足に力を込め、一気に跳躍する。

「――っほう……」

 空中で八蛇の鏡から私は結晶のようなつるぎを取りだし、一気に冥王星に向けて降り下ろす。

 冥王星は最小限の動きで剣を避け、殴りかかってくる。それを私は見切り簡単に避ける。というか当てる気がなかった。

「わざと外してくれるなんて、優しいのね」

「いえいえ、美しい顔を一発で潰すのが忍びないので」

 植村には後で金属靴の他にもう一つ新しい武器を召喚していた。あれは私が生徒会室を出る前に事前に渡していたもの。大凶高校戦で、倒した誰かのモノだった支給品。

 渡した武器はだ。近世ヨーロッパの主流武器。刀身が細身で先端が鋭い。軽いし扱いやすいはず。Bランク武器。

 植村の金属鎧と相性もいいと思い私は渡していた。

「――ッオラ!」

 海王星が私達二人に向かって大量のナイフを召喚させ、突っ込ませる。

 私は剣で全てなんなく払う。
 植村は既に金属化し、避けることなく海王星に迫る。

「オオ!スゴイ!君ッテコンナニ防御力ガアッタンダネ!ナラバ、コレハドウカナ!」

 海王星は植村をロックオンしている。

「会長!海王星は任してください!」

 海王星のLvは121。植村のLvは少し上がったようで今は60まで上がっている。とはいえLv差は倍もある。

 正直かなり植村には荷が重い相手である。だけど、今回の敵の特徴を考えると相性は良い。

「ええ。もし厳しくなったら私をすぐに呼びなさい」

「頑張ります!」

「イイネエ。イイネエ。コウイウ熱イ展開大好物サ」

 海王星は今度は小刀やクナイ、手榴弾を手に持っている。植村はレイピアを片手に突進していく。

 私も冥王星と対峙し、一気に攻める。

 剣術は昔、練習したわね。まさかその時の経験がこうやって活きてくるとは人生わからないわね。

 でも、冥王星も私の攻撃を上手く避けるわね。そもそもの動体視力が凄いみたい。私の攻撃ほとんど見えてる?

 それも衝撃なのが剣に対して、拳で応戦してくる。

「あなた、素手で良いのかしら?」

「あはは。素手じゃないよ。よく見てみなよ」

 冥王星が拳を前に突きだし、見せてくる。手には鉄で出来た何かを固定していた。

「メリケンサックね」

「まあ、こいつの能力は全然こんなモンじゃないんだけどね」

 冥王星がメリケンサックに存在力を注ぎ始めた。プールの水面が揺れ、波を打ち始めた。

「…!? 」

 冥王星がいきなり、拳を突きだし、会長はその殺那、吹き飛ぶ。

 会長の身体はプールの水面に飛ばされ、水飛沫が飛ぶ。

「ふふふ、まだまだっ!」

 冥王星が何度も拳を突きだし、水面が凹み、水飛沫を上げる。

「か、会長!?」

 植村が心配して声を上げているのが遠くから聞こえる。

「この程度で当然、殺られてなんかいないよね?」

 私は存在力を解放すると周辺の水が吹き飛ぶ。同時にハイジャンプをし、プールサイドに着地をする。

「まったく、レディに水を被せるだなんてセクハラね」

「あんた、そんなこと気にするキャラじゃないだろ? 」

 あらら。下着が透けちゃってるわね。
 少しだけ恥ずかしい。

「ええ、そうね」

私の八蛇の鏡は妖しく発光していた。
いつもの無機質な機械音が流れる。

━━━━━━━━━━━
※技発動!
ーーーーーーーーー
★合わせ鏡の残像
━━━━━━━━━━━

 これはかなり強力な技。「明鏡止水」程ではないけど。

 私の目の前には私そっくりなガラス人形が現れる。こうやって客観的に見ると私ってけっこう綺麗なのね。モデルのスカウトが来るのもなんか分かると我ながら感心していた。

 でも理想としては植村さんとか沙也加さんみたいな可愛い女の子になりたいけど。

 そんなことを考えながら、私は私にそっくりなガラス人形を動かす。私ともう一人の私は挟み込むように冥王星に迫る。

 冥王星は跳躍し、頭上から私とガラス人形にメリケンサックの衝撃派を放つ。

ガラス人形は吹き飛び、プールの水面に叩きつけられる。

「まだ本物のほうがいるわよ? 」

 私は冥王星に迫り、ありったけの力を込めた拳を冥王星の鳩尾に叩き込む。

「…ぐっ」

 冥王星は身体を反転させ、ダメージを和らげる。さらに私は容赦なく2発目3発目を打ち込む。

 冥王星は一瞬動きが止まるが、すぐに私から距離を取り、体制を立て直す。

「やっぱり、あんたはすんごい強いねえ」

「あら、褒めてくれてありがとう」

「さすが有名人なだけある」

「それはあなたもでしょ?」

「俺はただ、現実世界ではそこそこ有名な選手だったってだけだよ。あなたはこの世界での有名人だからね」

冥王星が何やら雰囲気が変わる。
同時に無機質な機械の音声が流れる。

━━━━━━━━━━━
※技発動!
ーーーーーーーーーー
殴打威瑠おうだいる
━━━━━━━━━━━

私は一瞬目の前が真っ暗になった。
少し遅れて衝撃が右腕に伝わる。

これ…やばい…
……………
……
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