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第二章★
065:生徒会室の沈黙
しおりを挟むーー大戦終了から1時間半後
■立心館_生徒会室
(大和 真)
生徒会室の窓の外からはまだ少し弱いけど明るく温かい朝日が差し込んでいる。
全校生徒も治療が終わり、今は皆教室に戻り寝ている。校舎はとても静かだ。
会長はいつもの椅子に座り、重い表情で呟く。
「……被害が酷すぎるわね。生徒会でも死者は2人」
「上杉さんや由川さんは本当に死んじゃったんですか?」
「そうよ……。由川は金星にやられたの。上杉は彗星という謎の人物にやられたわ。学校全体でも三分の一は戦死よ…」
生徒会室に重い沈黙が走る。
会議に使うテーブルには生徒会メンバーの遺品が並んでいる。上杉さんの指輪、由川さんの弓矢。ただ、指輪は破損していてもう使えなさそう。他にもメリケンサックや勾玉が5種類など置かれている。
「アリスちゃんはどこにいるんですか? 」
俺の横に座る沙也加が会長に聞く。
恭二は反対側に座っている。
「アリスは草壁の看病よ。もう怪我は治っているけど目を覚さないから心配みたい」
植村さんは向かいっ側に座っているが上杉さんのことがショックでずっと顔は下を向いている。
上杉さんのことを慕っていていつもピッタリくっついているイメージだった。彼女の精神面が凄く心配だ。
「皆、大戦お疲れ様。色々とあったけど今はとにかく休んで欲しいわ。ここからは起きてからやってほしいことを伝える」
皆は無言でうなづく。
「草野、あなたは全国の高校の状況等を調べて。2回戦目の終了に伴って解禁される情報も多いはず」
いつも草野さんはクールで静かなイメージ。今はずっと泣いている。それもそうだ。由川さんと草野さんは幼馴染って聞いた。由川さんの奇行に振り回されてはいたけどその時の草野さんは少し楽しそうにしている印象だった。
草野さんは静かに頷く。
「あと、芹澤君とアリス、植村さんには武器の回収をお願いするわ」
「分かった」
「あの会長?俺と沙也加は何をすれば良いですか? 」
「単刀直入にいうと生徒会メンバーに入れそうな生徒を探して欲しい。立心館でも元星華高校の生徒でもいいわ」
会長は続ける。
「今回での戦死した人の数は相当なのは分かるわね?」
「はい…」
「私達は勝ち進んだおかげで県内でも生き残り10校ぐらいのところに入ったわ。ここからはさらなる熾烈な戦いになるでしょうね。戦力はいくらあっても足りないわ」
星華高校戦が終えてからまだ数時間しか経っていないのに調べるのが早い。
「それなら元、天王星がいますよ」
天王星は俺達がトドメを刺さなかったのだ。
「確かにその元天王星が有力な候補ってところね…」
分かったわと会長が呟く。
もちろん天王星以外の戦力も探す予定。
会長がふと話題を変える。
「ここからが本題なんだけど、あなたは【彗星】という人物の話は聞いたかしら?」
彗星って確か、草壁さんを重症にし、上杉さんを倒した人物。詳しくは聞けていないから俺は分からないが。
「彗星って確か、上杉さんを倒した人物ですよね?」
「ええ、そうよ」
会長は何かを考えているようで顔を歪ませていた。
「その彗星がどうかしたんですか?上杉さんを倒すような人だから強いのは分かるけど…」
「その彗星なんだけど、存在しないのよ」
「えっ、どういうことなの会長?」
沙也加が首を傾げながら会長に聞く。
意味が理解できない。在籍してないってこと。じゃあ、彗星はどこの高校の生徒なんだろう。
会長は腕を組み、溜め息をつくと深く腰をかける。
「あくまで推測よ。彗星と名乗っていた人物は星華高校の助っ人みたいなもの。在籍は違う高校なのかもしれないわ」
そんなことができるんだ……。
裏技か何かでそういうことができるのだろうか。
「まあ、いいわ。あなた達も今日はゆっくり寝なさい。あなた達も疲れてるでしょ。今後については明日、皆が回復してから会議をしましょう」
会長はそう言い、椅子から立ち上がり、部屋の電気を消す。俺達生徒会メンバーも休むことにし、ぞろぞろと生徒会室の隣の仮眠室に向かう。
男性女性で当然部屋は別れているので、それぞれの部屋に入る。横になると俺はすぐに深い眠りに落ちていった。
…………
……
…
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