75 / 85
第三章★
068:仲間が増えました!
しおりを挟むーーAM11:00
■立心館_校庭
(大和 真)
立心館高校の校庭の敷地は広い。
それもそうだ。
大凶高校の敷地がくっついたおかげでほぼ2倍の広さになっている。
どういう技術なのかは分からないけど立心館高校の真横に大凶高校の校舎と校庭がそのまま違和感なくくっついている。
もちろん。元々立心館と大凶高校はお隣さんではない。
敷地が広くなるのは嬉しいけどこんだけ広いとまじで迷子になる。
そんな広い校庭を最大限に活かして俺達はLv上げの真っ最中。
「そういえば、天王星の本名って聞いてなかった気がする」
沙也加が唐突に聞く。
そういや知らない。
「俺の名前ですか?名前は飛鳥ですよ」
なんか、確かに飛鳥っぽい顔をしている。天王星…飛鳥は賢そうな見た目をしている。銀縁メガネがよく似合っている。
「飛鳥って呼んでもいい?」
「もちろん。ありがとうございます」
「じゃあ、俺も飛鳥と呼ぶね。修行の相手、ありがと」
飛鳥は本当に昨日まで敵だったのか疑うほど馴染んでいた。昨日の敵は今日の友…だっけ?忘れた。なんかそんな感じ。
もちろん最初は飛鳥で思うところはあったのかもしれないけど。
学校間大戦なんかせずに皆、仲間になっていけば良いのにと俺は思うけどそういう簡単な話ではない。
ふと、飛鳥は聞いてくる。
「いえいえ。そういえば二人はどんな関係なんです?」
「「ふぇ? 」」
「……反応の仕方まで息がピッタリですね」
飛鳥は笑っている。どんな関係って仲の良い友達だけど。多分。どうしよう。友達と思われてなかったら。流石に寝込む。
でもこの前、沙也加にキスされたけど、どうなんだろう?恭二は沙也加が俺のこと好きなんじゃないか?と言っていた。だけど、普段の態度とかからはそんな気配はないし。
「……真とは友達よ。たぶん……ぃまのところ」
たぶん…らしい。泣きそうです。何か聞き逃した気はするけど。
沙也加は何故か後ろを向き、顔を反らしていた。
「あはは。仲良いですね」
ふと、飛鳥が寂しげな表情をする。
「なんか、恭二君を含むあなた達三人組を見ていると皆がまだ生きていた頃を思い出します」
「皆って? 」
沙也加が飛鳥に聞く。
「友達ですよ。男が1人、女の子1人の同じ3人組です。オレはその2人とは幼馴染みだったんですよ」
飛鳥は唇を噛み、悔しそうななんとも言えない表情をしていた。
「オレのいた星華高校は一回戦目は陽牙高校という学校だったんですが、そこで友達はほぼ全員消えました」
「そんなに強い学校だったの?」
沙也加が少し気まずそうに聞くと飛鳥は答える。
「いえ、団結力もなかったので正直、圧勝できる思ってました」
「何があったんだ?」
飛鳥は畳で座り直し、答えてくれる。苦い思い出を吐き出すかのように。
「――1人だけ高Lvが出たんです。多分、あなた達の会長かそれ以上の…」
「「――!!」」
「ちなみに何かしらの経緯があってその人物は星華高校の生徒になってます。オレは直接の面識はないんですけどね」
「じゃあ、今はこの立心館の生徒になっているってこと?」
「うーん。それは分からないですね。ちなみに真君と沙也加さんは【転校システム】というのは知ってます?」
「転校ってあの転校のこと?」
沙也加が聞く。
「ええ、その通りです。MSPに転校システムっていう登録フォームがあるんですけど、今現在、在籍している学校の退学申請をタップするとそのまま、転校先を申請する流れになるんです。転校先の代表者が5分以内に承認をすると転校が完了します。その条件をこなせるなら簡単に転校ができるんですよね」
沙也加が目をぱちくりさせている。
俺は少し想像をしてみる。
「その機能を使って大きい学校に転校しようとする人もたくさん出てくるんじゃない?」
「今のところはまだメジャーではないシステムですけどね。それに5分以内に承認をもらうというのは事前に話を通しておくとかが必要ですし、想像ですけどヘッドハンティング的な要素が強いのかなって思ってます」
転校って方法もあったんだ。知ったところで転校する気はもちろんないけど。
「話の流れでいくとその人物は既にまた転校をしているかもしれないってこと?」
「ええ。星華高校に在籍はしていたものの殆どうちにはいなかったですし、謎の多い人物って聞いてます」
そんな人もいるんだ…。なんか得体の知れない感じ。
仮にそんな高Lvの人が俺達の前に現れたら俺は沙也加を守れるのだろうか。
これまでは正直、運が良かっただけだし。
この世界で生きて行くためにはLvを上げて強くなることで立心館高校、そして生徒会の皆と共に生き残っていける確率が上がることは間違いない。
まだ足引っ張っている側だけど…。
もっと強くなりたい。
草薙刀を握る俺の手に力がこもる。
俺達は雑談が終わると再びLv上げるべく模擬戦を再開した。
0
あなたにおすすめの小説
チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活
仙道
ファンタジー
ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。
彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる
家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。
召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。
多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。
しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。
何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる