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第三章★
069:裏切り。
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■横浜駅_街中
(芹澤 恭二)
俺は立心館高校から抜け出しNightm@reの世界を見て回っている。
というのも、今回の2回戦目が終わったことによりNightm@reにしか存在しない公共施設やらが新オープンした情報を知り、気になったので向かっている。
俺は横浜駅西口の高島屋付近を歩いている。ちなみに立心館はここから3駅ほどのところにあったりする。
とあるところに向かっている。
向かいながら俺は昨日の戦闘を思い出す。
2人には言ってないけど、俺はこの世界が正直楽しい。
スリルを感じて生きていることを実感できる。どんなに闘いに優れていても少しの油断などで簡単に死の危険が訪れる。これは勉強とかスポーツでは味わえなかった感覚。
天王星との闘いでは楽しくなりすぎて冷静さを欠いていたと思う。でも力技でもあいつには勝てたな。まだまだ俺にも隠し球はあった。
だけど、予想以上のあいつの伸びには少し意識せざるを得ない。
真だ。あいつの刀はなんなんだ?とても異質だ。それにあの底なしの存在力。それもまだ伸び続けている。俺も沙也加も微増のみだというのに。
あいつには負けたくないなあ。
そのためにも効率の良いLv上げとか、技の取得条件なんかも知りたい。知るべきことはまだまだ沢山あるんだよな。
俺はある場所に到着する。
目の前には真っ黒な壁の建物があった。
ここは元いた世界にはなかったもの。
壁一面レンガでできていて、まるで西洋にありそうな煌びやかな外観をしている。
食料庫も真っ黒な外観だったから、真っ黒なデザインがこの世界独自の建物の共通カラーなのかも知れないな。
俺はそこに入る。
ここは、『Nightm@reインフォメンションセンター』。現在生き残っている学校の簡単な情報や個人ランキング、転校斡旋などのサービスがあるらしい。
中はそこそこ広くて3分の1はカウンタースペース。他には巨大なモニターやPC、紙媒体が置いてあるエリアもある。
何人かいるな…。他校生徒だろうな。休戦期間中だから個人的な戦闘は禁止されている。だから、誰も話しかけては来ない。
「……さてと、調べるか」
俺が見たかったのは、主に学校ランクと個人ランク。そしてこの世界について少しでも分かることあれば…といったところ。
70インチくらいあるモニターにはちょうど知りたかった個人ランクが表示されている。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
『個人|生徒ランキング』
ーーーーーーーーーーーーーーーー
3位 立心館高校 霜月零:Lv1071
4位 ・・・・
5位 ・・・
6位 ・・
7位 ・
━━━━━━━━━━━━━━━━━
おいおい、うちの会長ってこんなに高Lvなのかよ…。3位ってやばいだろ。
ランク1位と2位も確認する。
1位は須佐 命、2位には長戸 尊と表示されている。当然2人もLvは1000越えだった。
個人ランクを見た後は、学校ランクを見るが当然、立心館はランク外だった。聞いたことない学校ばかり。西日本が多い?
俺は紙媒体にも手を伸ばす。
少し厚めの冊子には、Nightm@re独自の公共施設の所在地や各施設情報が乗っている。
へー。まさかの鉄道なんかもあるのか。他にも鍛冶屋、教会、ギルドもある。
ギルドはなかなか興味深いな。
ここで仕事を受けることで大幅な経験値を稼ぐこともできる可能性があるらしい。最長でも一日だから休戦期間中とかでもいけるんだな。
俺はさらにペラペラとページを捲る。
結構色々な情報が載ってるんだな。
今更だが学校間大戦のルール説明なんかもある。MSPの利用方法や機能説明はありがたいな。一番衝撃なのはクチナワのインタビュー風記事があったことだ。
「ーーーーん?」
とあるページで俺は捲るのを止める。
支給武器についてのページ。
武器のランクはA~D。高ランクになるほど覚えれる技の数が多くなる。
俺の武器もAランクだからまだまだ伸び代があるんだな。良かった。
中でも超レア武器というのも存在するらしい。それは全部で3種類。名前までは書いていない。
そういやあいつの武器も変わってるよな。あれも確かAランクだったはず。
会長の武器とかはどのくらいなんだろう。そういや、技とか直接見たことないな。
話によると時を止めたり、分身したりと相当エグいらしいけど。
早く強くなりてぇ
もっと色んなやつと戦ってみたい。せっかくの世界だ。色々な奴に会ってみたい。
最近はだいぶ腹括ってきてはいるが、真の反応が普通なんだろうな。
俺ってやっぱり変わってるのかな?
とある昔のことが頭に蘇る。
それは特になんでもない記憶。
小学生の頃の自分が写っている。
場所は小学校の教室。時間は昼休み。
照りつける暑い日差し。
お昼ご飯を食べ終えた子供の殆どは外に遊び、サッカーなりドッチボールなり運動をする。もしくは教室で友達で話したりする。
だが、俺はそのどちらにも属さなかった。ボーと適当な本を読み、窓から外を見て黄昏る。そんな俺を先生は不思議な子供だと思っていたようだ。
俺は変わり者だった。何かで興奮したことも楽しいと感じたこともない。ボール蹴ったり投げたりして何が楽しいんだ?人と話して何が楽しいんだ?
長い長い人生のこの退屈な日々を俺はどうやって過ごして行こう…。
俺はやがて成長し高校生になる。
だが、俺は何も変わらなかった。
ただ、退屈だった。
真達とは……まあ、それなりに楽しんでたのかも知れないけど。
俺はインフォメンションセンター内をぼんやり歩き回っていた。
真や沙也加に出会い、俺は変わり始めてきたと思っていたがやっぱり何も変わってなかった。
つまらない日常になんて興味はない。正直、Nightm@reの世界に来た時、初めてワクワクした。興奮するということを初めて実感した。
俺はこの世界が好きだ。
ーーコツ…コツ
後ろから響いてくる足音。
それに俺は気付く。
振り返るとそこには2人の人物がいた。
実は知っていた。
立心館には裏切り者がいること。
星華高校戦の前にとある人物に俺は話しかけられていた。
真と知り合い。
大凶高校戦では共闘していたらしい。
そいつはLvを隠し、武器も隠しいつの間にか立心館高校に侵入をしていた。何の違和感もなくいたのだ。
そいつから転校システム等、提案をされて俺はそれに乗った。
真達といてもこの世界は存分には楽しめない。だから、一緒にいるのはここまでだ。
「こんにちは。芹澤君やっほー」
「これから宜しくね」
俺は笑みを浮かべていた。
………
……
…
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