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第三章★
073:Nightm@reの夜汽車と3人組。
しおりを挟む――同時刻
■東京駅
(芹澤 恭二)
俺は東京駅のレンガでできた駅校舎を見つめている。無人なのにライトアップされているのが実に不思議だなあ。
現実世界なら利用者人口が多く、人通りが激しい場所だ。丸の内のビルが立ち並ぶ。とても綺麗でデートスポットとしても有名。
だがナイトメアではやはり東京駅でさえもゴーストタウンみたくなっていた。立ち並ぶオフィスビルには明かりはない。日がほぼ落ちているためかなり辺りは暗くなっている。
風が吹く。空き缶がカラカラと音を立て転がっている。
俺達は駅に入り、人のいない構内を歩く。やがてホームに辿り着く。
「どこに向かっているんだ?」
「僕達の学校を目指してるのさ 」
「その学校とやらはどこにあるんだ? 」
「それは着いてからの楽しみにしようかなって思ってるんだけど」
タケルは楽しそうだ。相坂は隣であくびをしている。ポニーテールがふわふわと揺れている。
駅のホームのベンチに座り、しばらく俺達はのんびりとしていた。タケルは近くの自販機で飲み物を買っている。
相坂は元立心館の生徒らしい。だけどタケルは立心館の生徒でもないとのこと。タケルはまったく別の学校の生徒だと言っていた。だけど、そんなやつが何故わざわざうちのような学校に潜入してたのかは謎。
というか教えてくれない。
今はまだ内緒ってはぐらかされる。
まあ、そんなのはどうでも良いが、タケルはかなり自由に動き回り、引き抜きみたいなことをしたくて転々としているらしい。全国で高Lvを集めたいらしい。
タケルはこの世界に本当に詳しい。
俺なんて初戦は目の前のことしか頭になかったのにいきなり他校に潜入しているから相当だ…それに…まさかな。
俺はボーと駅のホームを見上げてため息をつく。疲れたなあー。朝早くから動き回っていたから流石に疲れた。
ホームは明かりが点いているが、当然無人なので静か。なんか誰もいない駅のホームって結構怖いなあ。なんか出てきそうだ。
「あと、3分だからもうそろそろ来るよー」
「あーい」
相坂がやる気のない返事をする。
かなり眠そう。
そういや、相坂はなんでタケルに着いていくって決めたんだろう。まあ、俺も人のこと言えないけど。
そんな時、急に遠くの方から汽笛の音がする。さらに小さな光の点が徐々に大きくなってくる。ガタンゴトンと大きな音を立てながらホームに入ってくる。
真っ黒でレトロな車体。汽車だ。
これがNightm@reに新しくできた公共施設か。なかなか雰囲気あるなあ。
徐々にスピードが落ちやがて停車をする。
「さっ乗ろう。ここから少し長旅になるよ」
相坂はもう寝る気満々で首枕を装着し、アイマスクまで片手に持ち準備万端って感じ。
タケルから汽車に乗り込み、俺達は続く。
車内を移動し、座席を探すが全部空席だからかえって選びにくいなあ。適当に窓側でいいかな?
俺達は椅子を回し、向かい合わせする。
4名席ができ、そこに座る。
やがてNightm@re鉄道は汽笛を鳴らし、ゆっくりと動き始めた。夜になった大都会の中を静かに力強く。
窓からの景色はなかなかだった。
車内が薄暗いので夜景が綺麗に流れていく。
車内の座席は木製で固く、お尻を痛めそうな感じはするが、相坂がどこからかクッションを取り出し俺たちにもくれる。
汽車内は揺れるたびにギシギシと音を奏でる。どこか心地よかった。
「ふふふ、少し寂しい?」
タケルが俺の様子を見て、聞いてくる。
「いや、別に。ただなんかな……」
「真君や三島さんを裏切った罪悪感かな?君の表情からしてそんな感じが伺えるよ」
「別に…。今まであいつらとはいつも一緒だったからだ。でもどうせいつまでも一緒にいられるわけじゃないんだし」
俺は肘をつき、窓の外に目を向けた。相坂は既に爆睡。隣からスースーと寝息が聞こえる。
「そっか。まあこれからは相坂と僕と恭二の三人で行動することになるよ。よろしくね」
「ああ。そうだな」
沙也加の代わりに相坂。真の代わりにタケル。なんか、不思議な気分だ。
性格は違うのにたまにタケルと真が重なって見える。似てるところがあるのかも知れないな。
汽車は汽笛を鳴らし、速度を上げる。
窓から見える景色の流れがさらに速くなる。
三人を乗せて走り続けてる。
俺はわくわくしていたからか眠るまで少し時間がかかった。
…………
……
…
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