髪を切った俺が『読者モデル』の表紙を飾った結果がコチラです。

昼寝部

文字の大きさ
146 / 169
7章 凛くん争奪戦

立花香帆との撮影 1

しおりを挟む
 立花さんとの会話を終え、川端さんのもとへ向かう。

「では立花さんとの撮影を始めます」

 カメラが回り始め、撮影が始まる。
 俺は事前に伝えられた台本を読み、カメラに向けて撮影内容を話す。
 立花さんから始め、桃ちゃん、美奈、浜崎さんと続き、最後に真奈美と撮ること。
 この撮影内容で『日本の果てまでイッテ来い』の夏目ガールが決まること。
 そして夏目ガールの仕事が課題クリアのために旅をする俺のサポートであることを説明する。

「それで今からの課題は何だ?」
「私との課題は南青葉小学校に行くことよ」
「南青葉小学校?聞いたことないな」

 当然と言えば当然だが、全く知らない学校が出てきた。

「凛はこの課題をクリアするため、スマホを使わず地域の人たちからの聞き込みだけで目指さなければならないわ。撮影時間の関係上、ここから遠くない場所にあるけど知らない人は多いと思うわよ」

 本当は『~市にある~を見つけろ』など全国区で行う課題だが、今日は5人と撮影を行うため、課題の内容は近場となる。
 しかし一筋縄ではいかない課題のようだ。

「まぁ、何とかなるだろ。じゃあ早速行ってくるよ」
「えぇ。お供するわ」

 とのことで、俺は立花さんと街へ繰り出した。



 公園を出発し街へ向かう。
 その間、立花さんは俺の話し相手となってくれるため、簡単な話を行う。

「立花さんはどれくらい演技の練習をしてるんだ?」
「どんなに忙しくても3時間は練習するようにしてるわ。それと演技の練習以外にも他の女優や俳優の演技をチェックしてるわ。特に凛の演技は何度も見返してるわ」
「何度も見るほどの演技力はないと思うが……そう言われると嬉しいな。俺も立花さんの演技は逐一確認してるし、参考にさせてもらう所もあるからな」
「……凛が私の演技を参考に?」
「あぁ。立花さんは優秀な女優だからな。俺、立花さんのこと同じ役者として尊敬してるし」
「っ!ふ、ふんっ!べ、別に凛から褒められても嬉しくないんだからね!」

 そう言ってそっぽを向く立花さん。
 撮影前、「凛のこと嫌ってなんかないわよ」と言われたが、対応は全く変わってない。
 そのことに心が折れそうになるが今日の俺は寧々のアドバイス通り、少しだけ立花さんに踏み込んでみる。

「本心で思ってることだからな。俺なんかに褒められても嬉しくはないだろうが立花さんの演技力はすごい。だからこれからも参考にさせてもらうよ」

 いつもの俺なら会話を切り上げるところだが、寧々のアドバイスを活かし、今度は笑顔で褒めてみる。
 すると立花さんが顔を赤くしながら右手で自分の髪の毛を触る。

 そして…

「そ、そう……その……ありがとう」

 何故か嬉しそうに照れながら感謝の言葉を告げた。

「っ!」

 その様子に俺の心臓が“ドキっ!”と跳ねる。

(待って!その反応は聞いてないっ!)

 唐突に可愛い反応を見せられ、俺は立花さんの顔を見て固まる。

「なっ、なによ?」
「あ、いや。その……な、なんでもないよ」

 俺は慌てて立花さんから視線を逸らし、話題を変えるため無理矢理周囲に視線を配る。

「そっ、そろそろ人通りの多いところに到着するから、着いたらどんどん話しかけるぞー!」

 立花さんに見惚れてたことを誤魔化すため、急足で歩く。

 そして公園から歩いて数分ほどで街中へ辿り着いた俺は、早速課題達成に向け、周りの人たちに話しかけようとすると…

「見て!リン様よ!」
「きゃぁぁっ!生のリン様初めて見た!」
「おいっ、あそこにいるのって立花香帆だろ!?」
「やばっ!真奈美ちゃんがいたら『生徒会長は告らせたい』の生徒会メンバー勢揃いかよ!」

 等々、俺たちを見て周囲の人たちが盛り上がる。
 しかし何かの撮影ということは理解しているようで、俺たちのことを遠くから見てるだけ話しかける人はいない。

「じゃあ早速話しかけてみるか」

 そう思い、俺は1番近くにいた大学生くらい女の子2人に話しかける。

「すみません、少し聞きたいことがあるのですが……」
「「は、はいっ!」」

 俺に話しかけられるとは思わなかったのか、驚きながら返事をする2人。
 心なしか2人とも顔が赤い気がするが、俺は気にせず話しかける。

「南青葉小学校に行きたいのですがどこにあるか知ってますか?」
「い、いえ。私は知りません」
「私も聞いたことないです。ここには旅行で来ましたから」

 現時刻は朝の9時なので活動するには早いと思っていたが、どうやら2人とも旅行中のようだ。

「そうだったんですね。すみません、旅行中に話しかけてしまい。2人の旅行がとても良いものになることを願ってますね」

 そう言って2人に笑顔を向ける。

「「はぅ~~っ」」

 すると目の前の2人が“ボッ!”と顔を真っ赤にして俺の方へ倒れてくる。

「ちょっ!」

 俺は慌てて2人を支え、何とか怪我をさせずに済む。

「……またこのパターンかよ」

 幾度となく経験してきたパターンに俺は頭を抱えた。
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部
キャラ文芸
 俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。  その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。  とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。  まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。  これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

髪を切った俺が芸能界デビューした結果がコチラです。

昼寝部
キャラ文芸
 妹の策略で『読者モデル』の表紙を飾った主人公が、昔諦めた夢を叶えるため、髪を切って芸能界で頑張るお話。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

処理中です...