167 / 169
7章 凛くん争奪戦
修羅場が家までやって来る 5
しおりを挟む
皆んながケーキを食べ終え、王様ゲームが再開する。
「王様だーれだ!」
「次は俺が王様だ」
みんなに『王』の文字が書かれた棒を見せる。
「そうだな……よし!2番の人は王様ゲームが終わるまで語尾に『にゃ』を付けろ」
「えー!」
真奈美が大きな声を上げる。
「お、真奈美か。じゃあさっそく始めてみようか。返事は?」
「うぅ~、凛くんが私をいじめてくるよ~」
「あれ?語尾に何かついてないけど……王様の命令は絶対じゃないのか?」
俺は涙目になってる真奈美に追撃する。
「わかった……にゃ」
「ん?聞こえないんだけど?」
「わかったにゃ!」
「よろしい!」
「凛くん、後で覚えとくにゃ」
「はいはい」
「うぅ~!」
(やべぇ、ちょっと楽しいかも。もっと『にゃ』って言わせたいけど……後が怖いからこれ以上は辞めておこう)
顔を赤くして涙目になってる真奈美を見ながらそう思った。
棒を回収し、ゲームを再開する。
「王様だーれだ!」
「私だよ!」
寧々が勢いよく手を挙げる。
そして皆んなを見渡しながら王様ゲーム開始前に用意した紙のクジをポケットから取り出す。
「……何に使うんだ?」
「ふふん!見てのお楽しみだよ!」
そう言いながらクジを引く。
「ふむふむ、5番ね。5番は確か……よしっ!距離を縮めてもらおう!」
そんなことを呟いた後、寧々が口を開く。
「じゃあ、4番の人が5番の人に壁ドンしながら5番の人を褒めまくって!」
「「はぁ!?」」
俺と香帆の声が被る。
「お兄ちゃんと香帆ちゃんだったんだ。じゃあ、お兄ちゃんが香帆ちゃんを壁ドンしてね!あ、お兄ちゃんはしっかり香帆ちゃんのことを褒めるんだよ!私が止めって言うまでね!」
「ちょっと待て!」
俺は立ち上がって抗議しようとするが…
「お兄ちゃん。私は今、お兄ちゃんよりも立場が上だよ?妹様だよ?妹様の言うことは絶対なんだよ?」
謎の造語を作ってマウントを取ってくる。
(その通りだが香帆に壁ドンだぞ?絶対、アウトだと思うんだが……)
そう思い動けないでいると香帆が俺の袖を掴む。
「お、王様の命令なら仕方ないわ。だから……し、仕方なく。ものすごく仕方なく壁ドンされてあげるわ」
空いてる手で髪をイジりながら香帆が呟く。
「そ、そうか。香帆が文句ないなら……」
俺も覚悟を決めて香帆の方を向く。
「ちなみにお兄ちゃんが恥ずかしがってたらダメ出しするからねー!」
「アイツ……」
王様ということでやりたい放題だ。
(仕方ない。これが王様ゲームだ)
そう思い、俺は役者モードに入る。
まずは壁まで距離があるため、香帆を壁まで追いやる。
「香帆」
「な、なによ」
ジリジリと詰め寄る俺に対して、香帆が後ろに下がる。
そして香帆が壁まで到着し、これ以上下がれなくなる。
「香帆」
そのタイミングで名前を呼ぶと同時に“ドンっ!”と壁を叩き、いわゆる壁ドンというヤツをやる。
「っ!な、なによ?」
「香帆は頑張り屋さんで努力家だ。いつも尊敬してるよ」
「ふ、ふん!凛に追いつくために頑張ってるだけよ!凛に褒められるために頑張ってるわけじゃないわ!」
顔を赤く染めつつも俺から目を逸らさずに言う。
(……はい、この程度じゃダメなんですね)
寧々から「止めっ!」の声が聞こえないので続行する。
「香帆は周りのことをよく見てる。一緒に仕事をした時はいつも香帆に助けられてるよ」
「そ、そんなに大したことはしてないわよ」
と言いつつも髪をクルクルイジりながら顔を赤くして照れている。
「他にも色々あるが、香帆は俺にとって自慢の友達だ」
「っ!そ、その……あ、ありがとう……」
先ほどよりも真っ赤になった香帆が、可愛い顔をしながら上目遣いをみせる。
「っ!」
(可愛いっ!)
照れた香帆がレアすぎることに加え、壁ドンをしてることで至近距離から香帆の顔を見ることとなり、俺の心臓が“ドキっ!”と跳ねる。
そのため、思っていたことをポロッと口に出してしまう。
「そ、それとその……きょ、今日も可愛いぞ」
「~~~~っ!」
“ぼっ!”という音が聞こえるくらい一瞬で顔を真っ赤に染める。
「終了ー!」
そのタイミングで寧々の声が響き渡る。
(お、終わった……)
何とか寧々から合格をもらい、俺は心の中で一息つきながら壁ドンを終了する。
「香帆、大丈夫か?俺なんかに壁ドンされて嫌だっただろ?」
「そっ、そんなことないわよ」
とは言うものの、俺とは目を合わせず距離を取りながら香帆が言う。
(また嫌われたぁぁぁっ!)
香帆からの友好度的なものがどんどん下がってる気がする。
(寧々よ。命令を下す前に「距離を縮めてもらおう」とか言っていたが、距離が遠くなった気がするぞ)
そう思い、俺は心の中で沈む。
そのため…
「り、凛が今日も可愛いって……いつも私のこと可愛いって思ってたんだ……」
嬉しそうな顔でニヤニヤしている香帆に気づかず…
「はぁ。絶対、変な勘違いをしてるよ。相変わらずお兄ちゃんが鈍すぎる」
「むぅ、香帆ちゃんが羨ましいにゃ」
「私もリン様に壁ドンされたいです」
「立花さんだけ褒めるのは間違ってると思います!」
「浜崎さんの言う通りです!なので私にも壁ドンを所望します!」
等々の外野の声も俺の耳に届かなかった。
「王様だーれだ!」
「次は俺が王様だ」
みんなに『王』の文字が書かれた棒を見せる。
「そうだな……よし!2番の人は王様ゲームが終わるまで語尾に『にゃ』を付けろ」
「えー!」
真奈美が大きな声を上げる。
「お、真奈美か。じゃあさっそく始めてみようか。返事は?」
「うぅ~、凛くんが私をいじめてくるよ~」
「あれ?語尾に何かついてないけど……王様の命令は絶対じゃないのか?」
俺は涙目になってる真奈美に追撃する。
「わかった……にゃ」
「ん?聞こえないんだけど?」
「わかったにゃ!」
「よろしい!」
「凛くん、後で覚えとくにゃ」
「はいはい」
「うぅ~!」
(やべぇ、ちょっと楽しいかも。もっと『にゃ』って言わせたいけど……後が怖いからこれ以上は辞めておこう)
顔を赤くして涙目になってる真奈美を見ながらそう思った。
棒を回収し、ゲームを再開する。
「王様だーれだ!」
「私だよ!」
寧々が勢いよく手を挙げる。
そして皆んなを見渡しながら王様ゲーム開始前に用意した紙のクジをポケットから取り出す。
「……何に使うんだ?」
「ふふん!見てのお楽しみだよ!」
そう言いながらクジを引く。
「ふむふむ、5番ね。5番は確か……よしっ!距離を縮めてもらおう!」
そんなことを呟いた後、寧々が口を開く。
「じゃあ、4番の人が5番の人に壁ドンしながら5番の人を褒めまくって!」
「「はぁ!?」」
俺と香帆の声が被る。
「お兄ちゃんと香帆ちゃんだったんだ。じゃあ、お兄ちゃんが香帆ちゃんを壁ドンしてね!あ、お兄ちゃんはしっかり香帆ちゃんのことを褒めるんだよ!私が止めって言うまでね!」
「ちょっと待て!」
俺は立ち上がって抗議しようとするが…
「お兄ちゃん。私は今、お兄ちゃんよりも立場が上だよ?妹様だよ?妹様の言うことは絶対なんだよ?」
謎の造語を作ってマウントを取ってくる。
(その通りだが香帆に壁ドンだぞ?絶対、アウトだと思うんだが……)
そう思い動けないでいると香帆が俺の袖を掴む。
「お、王様の命令なら仕方ないわ。だから……し、仕方なく。ものすごく仕方なく壁ドンされてあげるわ」
空いてる手で髪をイジりながら香帆が呟く。
「そ、そうか。香帆が文句ないなら……」
俺も覚悟を決めて香帆の方を向く。
「ちなみにお兄ちゃんが恥ずかしがってたらダメ出しするからねー!」
「アイツ……」
王様ということでやりたい放題だ。
(仕方ない。これが王様ゲームだ)
そう思い、俺は役者モードに入る。
まずは壁まで距離があるため、香帆を壁まで追いやる。
「香帆」
「な、なによ」
ジリジリと詰め寄る俺に対して、香帆が後ろに下がる。
そして香帆が壁まで到着し、これ以上下がれなくなる。
「香帆」
そのタイミングで名前を呼ぶと同時に“ドンっ!”と壁を叩き、いわゆる壁ドンというヤツをやる。
「っ!な、なによ?」
「香帆は頑張り屋さんで努力家だ。いつも尊敬してるよ」
「ふ、ふん!凛に追いつくために頑張ってるだけよ!凛に褒められるために頑張ってるわけじゃないわ!」
顔を赤く染めつつも俺から目を逸らさずに言う。
(……はい、この程度じゃダメなんですね)
寧々から「止めっ!」の声が聞こえないので続行する。
「香帆は周りのことをよく見てる。一緒に仕事をした時はいつも香帆に助けられてるよ」
「そ、そんなに大したことはしてないわよ」
と言いつつも髪をクルクルイジりながら顔を赤くして照れている。
「他にも色々あるが、香帆は俺にとって自慢の友達だ」
「っ!そ、その……あ、ありがとう……」
先ほどよりも真っ赤になった香帆が、可愛い顔をしながら上目遣いをみせる。
「っ!」
(可愛いっ!)
照れた香帆がレアすぎることに加え、壁ドンをしてることで至近距離から香帆の顔を見ることとなり、俺の心臓が“ドキっ!”と跳ねる。
そのため、思っていたことをポロッと口に出してしまう。
「そ、それとその……きょ、今日も可愛いぞ」
「~~~~っ!」
“ぼっ!”という音が聞こえるくらい一瞬で顔を真っ赤に染める。
「終了ー!」
そのタイミングで寧々の声が響き渡る。
(お、終わった……)
何とか寧々から合格をもらい、俺は心の中で一息つきながら壁ドンを終了する。
「香帆、大丈夫か?俺なんかに壁ドンされて嫌だっただろ?」
「そっ、そんなことないわよ」
とは言うものの、俺とは目を合わせず距離を取りながら香帆が言う。
(また嫌われたぁぁぁっ!)
香帆からの友好度的なものがどんどん下がってる気がする。
(寧々よ。命令を下す前に「距離を縮めてもらおう」とか言っていたが、距離が遠くなった気がするぞ)
そう思い、俺は心の中で沈む。
そのため…
「り、凛が今日も可愛いって……いつも私のこと可愛いって思ってたんだ……」
嬉しそうな顔でニヤニヤしている香帆に気づかず…
「はぁ。絶対、変な勘違いをしてるよ。相変わらずお兄ちゃんが鈍すぎる」
「むぅ、香帆ちゃんが羨ましいにゃ」
「私もリン様に壁ドンされたいです」
「立花さんだけ褒めるのは間違ってると思います!」
「浜崎さんの言う通りです!なので私にも壁ドンを所望します!」
等々の外野の声も俺の耳に届かなかった。
94
あなたにおすすめの小説
少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。
昼寝部
キャラ文芸
俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。
その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。
とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。
まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。
これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる