少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部

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芸能界編

CM撮影 4

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「カットーっ!」

 監督の声で俺たちは我に返る。

「ご、ごめん!2人とも!俺なんかが頭を撫でてしまって!」
「き、気にしなくていいよ!まだ撫で続けてほしいくらいだったし」
「そ、そうです!ウチも足りないくらいでした!」
「こ、こんな俺に優しい言葉をかけてくれるなんて……」

 台本通りに動けなかった俺のフォローだけでなく、優しい言葉までかけてくれる。
 そんな2人の優しさに心打たれる。

「お疲れ!3人とも!」

 監督から声をかけられ、俺たちは監督の方を向く。

「すみません。台本通りに動けなくて」

 そして俺はすぐに頭を下げて謝る。
 しかし、俺の想像していた返答は返って来なかった。

「うん!これはこれでとても良かったよ!」
「………え?」
「まさかシロさんが女の子の扱いに慣れてないシャイボーイを演じてくれるとは思わなかったよ!シロさんの照れた顔、とても良かったよ!その証拠に見て、周りのスタッフを!」

 とのことで俺は周囲を見渡す。

「う、嘘でしょ。シロ様の照れた表情……すごく萌えるっ!」
「イケメンの照れ顔最高っ!今日、撮影を見れて良かったーっ!」
「シロ様めっちゃ可愛いっ!」
「イケメンと可愛さを兼ね備えてるとか無敵ですか!?」

 言葉までは聞こえないが、興奮していることだけは伝わってきた。

「周りからの評価は文句なしだ。だから俺は修正をしない。たくさん練習したんだろ?」
「そ、そんなことありませんよ。あそこまで良い演技ができたのは涼宮さんとミレーユさんのおかげですから」

 実際、動けなかった俺をサポートしてくれたのは涼宮さんとミレーユさん。
 共演者が2人じゃなかったら、こんな演技はできなかっただろう。

「そうだな、シロさんの言う通りだ。涼宮さん、ミレーユさん。2人の演技も最高だったよ」
「「ありがとうございます!」」

 監督に褒められて2人が嬉しそうに答える。

「じゃあ俺は撮れたものを確認してくるから少し待機してて!」

 とのことで監督が移動する。

「2人とも本当にありがとう」
「いえいえ!」
「こちらこそありがとうございます!シロ様のおかげで監督から褒められちゃいました!しかも1発目の撮影で!」
「だね!まさかあの監督から褒められるなんて思ってなかったから嬉しいよ!」

 どうやらこの監督は何度も撮り直すことで有名らしく、妥協は許さないことに加え、滅多に褒めることはないようだ。

「だからシロくん!ありがとう!私のことを褒めてくれて!」
「ウチ、シロ様の人柄を尊敬します!自分が褒められてるのに私たちにも気遣ってくれるなんて!」
「当たり前だ、俺は本気で2人のおかげだと思ってるんだから」
「シロくん……」
「シロ様……」

 2人が少し顔を赤らめる。
 そのタイミングで監督が戻ってきた。

「よし!今日の撮影は終了だ!あのまま放送させてもらうよ!また3人にはオファーするから、その時は快く引き受けてくれると嬉しいな!」
「「「はいっ!ありがとうございました!」」」

 こうしてサンドイッチのCM撮影が終わった。



 その後、涼宮さんたちと共に、撮影を見学していた桜たちと合流。
 そして一緒に控え室へ向かう。
 その道中、神野さんが俺たちに向けて話しかけてきた。

「3人とも素晴らしい演技でした!しかも、あの監督から「また声をかける」って言われましたね!」
「そうなんです!あの監督からそのように言われる方は少ないって聞いてたので嬉しいです!」
「ウチもそう聞いてます!」
「だよね!だから私、今ものすごく嬉しいよ!」
「これもシロ様のおかげです!ありがとうございます!シロ様!」
「ありがと!シロくん!」

 なぜか2人から絶賛される。

「いやいや、俺のおかげじゃないよ。俺の演技に合わせつつ、俺のフォローまでしてくれた2人の方がすごいから」

 2人に見惚れて固まったり撫でるのを躊躇ったりと、カッコ悪いところばかりだったため、俺のおかげで褒められたとは微塵も思ってない。
 そのため本心で2人のことを褒めるが何故か全く伝わっておらず、2人がキラキラした目で口を開く。

「や、やっぱりシロ様はすごく優しいです!」
「だね!監督が私たちよりもシロくんのことを褒めていたのに、少しも自分のおかげとは思ってないなんて!」
「そりゃ、俺は2人の足を引っ張っただけ――」
「あ、私はここを曲がるからお別れだね!」
「ウチもここでお別れです!」
「あの、だから俺は――」
「またね!シロくん!今日はありがとー!」
「シロ様!今日はありがとうございました!また一緒にお仕事しましょう!」

 そう言って2人が立ち去る。

「あの、だから俺は――」

 と、2人へ説明しようとするが、2人の背中はあっという間に見えなくなる。

「…………」

(否定できなかったぁぁぁぁ!!!!)

 心の中で高らかに叫んだ。
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