少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部

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芸能界編

歌の練習 1

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 涼宮さんと約束した土曜日となる。
 今日は涼宮さんから歌のアドバイスをもらうこととなっており、駅前で涼宮さんの到着を待っている。
 前髪を全て下ろした格好で。
 一応、涼宮さんには俺が髪を下ろしてシロだとわからないようにしていることは伝えてある。

(伝えた時「わかったー!多分大丈夫だよー!」と言ってたから、大丈夫なんだろう)

 そんなことを思いつつ涼宮さんを待っていると、一台の車が俺の前で停まる。

「……シロくんだよね?」
「あぁ。お疲れ、涼宮さん」

 俺は涼宮さんだけに見えるよう、前髪を上げて素顔を見せる。

「っ!」

 その瞬間、涼宮さんの顔が一瞬で真っ赤になる。

「ど、どうした?」
「なっ、なんでもないよ!」

 そう言って「すーはー」と深呼吸を始める。

 その様子に首を傾げていると、落ち着きを取り戻した涼宮さんが話しかける。

「違う人じゃなくて良かったよ。お疲れ、シロくん!」

 サングラスにマスク姿の涼宮さんが挨拶をする。

「ごめんね。遅くなってしまって」
「全然待ってないから大丈夫だ。後ろに乗っていいか?」
「うん!」

 俺は到着した車に乗り込む。

「迎えありがと、涼宮さん。それと今日はビシバシとお願いします」
「いえいえ!あ、今日は私のグループが練習で使う場所を借りることができたから、そこを使うよ!」
「えっ、そんなところ使っていいのか?」
「うん!私以外のメンバー4人にも了承を得てるから大丈夫だよ!」
「おー!ありがとう!」

 涼宮さんは5人組アイドルグループ『スノーエンジェル』のメンバーなので、他4人から了承を得ているなら問題はないだろう。

「あ、運転してるのは私たちのグループでマネージャーを勤めてる白石さんだよ!」
「白石です。よろしくお願いします」

 運転しながら頭を下げる白石さん。
 表情を変えず淡々と告げられるが、後ろから見る姿はものすごく美人だ。

「白石さんって表情に出るタイプじゃないから感情は読み取りにくいけど、すごく優しくて頼りになる方だよ」

 キリッとした眼と表情の変化が乏しいようだが、とても仕事のできる女性らしい。

(涼宮さんのように感情表現が上手ならアイドルとして活躍できるほど美人だな)

 そんな感想を抱く。
 その後は3人で他愛のない話をしながら練習場所へ向かい、車に乗ってから10分ほどで大きな建物に到着した。

「ここでいつも練習してるのか?」
「うん。といってもここは主に踊りを練習する場所だから、歌の練習をするための機材とかはないんだ。ホントは歌の練習をする場所がよかったんだけど、確保できなくて。だから小さなスピーカーから音楽を流して歌ってもらうことになるけどいいかな?」
「あぁ、問題ないよ」

 そう答えて涼宮さんと車を降りる。

「白石さん、送ってくれてありがとうございます。また帰りもお願いします」
「分かりました」

 俺も涼宮さんと一緒に礼を言ってから建物の中へ。
 しばらく歩くと、とある部屋の前で涼宮さんが立ち止まる。

「この部屋で練習をするよ!」

 とのことで部屋の中へ。
 すると部屋の中には壁一面に鏡が設置されており、側には小さなスピーカーがあった。

「じゃあ、さっそくシロくんの歌唱力を確認します!まずは何か一曲歌ってもらうけど、どの曲がいいかな?」

 そう言って俺の隣に来て、自分のスマホを見せる。
 小さな画面を2人で見ることになるため、俺と涼宮さんの肩が触れ合う。

(ちょっ!近い!近い!なんかいい匂いがするし!)

 女の子特有の匂いにクラクラしそうになる。

「シロくん、聞いてる?」
「あ、あぁ。どの曲にするかだろ?」

(危ねぇ。涼宮さんは善意で俺を手伝ってくれてるんだ。集中しないと)

「そうだな。それならこの曲にしよう」

 俺は涼宮さんが所属する『スノーエンジェル』のデビュー曲を選択する。

「えっ!シロくん!私たちの曲、知ってるんだ!」
「かなり有名だからな。俺が好きな曲の一つだ」
「わー!すごく嬉しいよ!」

 そう言って涼宮さんが可愛い笑顔を見せる。
 すると後ろから“パシャっ!”というシャッター音が聞こえてきた。

「「ん?」」

 俺たち2人は首を傾げながら後ろを振り向く。
 すると、そこには涼宮さんと同じグループに所属する夏目梨奈が、スマホを向けた状態で笑っていた。
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