その悪役令嬢、今日から世界を救う勇者になる

ごーぐる

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幼少期編

27 黒色

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成し遂げた……、やった、やったぞ。
ついに翻訳魔法を……。
私はその達成感にうっとりした。
しかし、幸せな時間も突然の悲鳴で、ストップをかけられる。

「わあぁっーーー!!!……」
銀髪の男の子は走って会場へと戻っていった。
まぁ、確かに今のこの状況を簡単に説明すると、魔族に襲いかかられた少女がそれを倒して嬉しそうにしているということになる。
なにそれ、カオスじゃん。

私は表情を戻して、フードの男の子の方を見た。
心なしか恐々としているのは気のせいじゃないのだろう。
しかし、襲いかかってこないところを見ると、好戦的じゃないことがわかる。
多分魔族の貴族の子供的なにかなんだろう。

ふと、ふわりと夜の冷たい風が髪を連れていく。
くるくるで癖が強い私の髪が顔に張り付いて前が見えなくなってしまった。
ーーー邪魔だぁぁぁ!!!
バッサリと切ってやりたい、ああでも、あんまり短いとさらにくるくるになってアフロみたいになりそうだ。

イライラしながら髪を整えるとすごく見慣れた色が目の前にあった。
「あっ」

魔族の少女のフードが脱げて黒く艶やかなボブストレートヘアーが目についた。
目も黒く、黒曜石のように美しい。
月光に当たり、透明感のある髪はさらさらと風で揺れていた。

「綺麗ね……」

しかも、魔族ちゃんは超絶美人だ。
整った顔はふっくらとしていて、健康そうな色、そして長い睫毛は頬に影を落とすほど。
言い表すならばお人形さんが一番近いのだろうか、とても可愛らしい。
髪の毛を払いのけてちょびっと生えている角がまた良い。

「! き、きれい……?」
少女はびっくりしたように目を丸くした。

「うん、綺麗だよ、すごくね。とっても懐かしい色……、私は大好きなの。ねえ、貴方の名前はなあに?」
「名前……」
そこで少女の言葉がつまる。
ん?魔族には名前をつける文化がないのかな?
いやでも、さっきの牛はちゃんと名前で呼ばれていたし……。

「名前ね、まだないの……。よかったら付けてくれない?」
まじか、そんな出会ったばっかのやつにつけてもらっちゃっていいの?
少女はきらきらと瞳を輝かせている。
う、これは付けるしかないな……。

私はあっさり可愛いに負けた。

「うーん、そうですね……。『黒』。クロがいいです」
日本語で黒。
私はその美しさを表現するのにもっとも適した言葉だと思った。
ーーーちょっと、犬の名前っぽいけど。

「クロゥ……。そうか、私はクロゥだ」
嬉しそうにほほを赤く染めて私を見つめている。
ちょっと、発音違うけど、まあ喜んでいるみたいだからいいか。

「そうだ、君の名前は?」
そういえば、名乗ってないか。
「ふふ、私はサラよ。サラ・デューク・ニコラス。気に入ってもらえたようでよかったわ、クロ」

「サラか……、確かに覚えた……。サラ!もう一度名前を呼んでくれないか?」
そんなに、名前が気に入ったのか。
「ええ、もちろん。クロ」
お望み通りまた呼んでやるとはにかむように笑った、可愛いっ。

「クロ、私とお友達になりませんか?」
「……おともだち。ほ、本当に?」
「本当よ。私、あなたとお友達になりたいわ」
こんな可愛い子だもの、お友達になれたら何て素敵でしょう。
もちろん、魔族だから公にはできないけどね。
今ここには、私とクロと二人しかいないし、他二名は気絶している。

「なるっ、友達!サラと友達だっ!」
少女はそう言うとパタパタと駆け寄ってきた。
そして懐から黒い宝石のついたネックレスを取り出す。
「これ、友達の印。持ってて」

私はそのネックレスをつい受けとってしまった。
えー、やけに高そうだなこれ。
子供同士でやるものじゃあない……いや、貴族ならあるかも……。
うちはしっかり者のお母様がいるからわからないが。

まあ、受け取ってしまったものは仕方がないなと私はそれを内ポケットへとしまった。
メイドにも、お母様にもばれるわけにはいかないな……、問い詰められそうだ。
庶民的なサラはそう思った。

「ありがとう、大切にするわ」
とりあえず、綺麗なものをもらっちゃったし、お礼を言わないとね。
次は気を付けます。
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