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学園編
53 二人目Get
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その後もロナルディの攻撃は続くが、私はすれすれのところで避ける行為をとった。
「っく、なぜ当たらないっ!!!」
そりゃあ、そんなに大きいものを振り回すなんて、いくら身体強化をしてもスピードが落ちるから肉眼で捕らえられるのよ。
「剣以外の攻撃はないのでしょうか?」
相手は息を荒くしているが、必要最低限しか動いていない私はその呼吸に一切乱れはない。
「なっ、馬鹿にしているのか!?」
ロナルディはさらに睨みを強くする。
それはもう眉間にしわが寄るくらいに……。
「お前こそっ!避けるばかりで攻撃してこないじゃないか!まさか剣が触れないわけでもあるまいな!?」
見事に虚勢を張っている、若いなぁ。
「ーーーでは、今度はこちらからまいりましょうか」
私は少々ほっこりした気持ちで構えていただけの剣を振りかざす。
身長が少し足らないので、巨体のロナルディには低い場所からの攻撃でさぞ受けにくかったことだろう。
「っうおおぉぉ!!!」
ロナルディは精一杯という感じで受ける。
うーん、やっぱアデルさん並みには到底及ばないなぁ……。
もしかしたらお兄様の方が強いかもしれないと思いながら力技で相手の剣を吹き飛ばした。
「なにっ!?」
「僕のか……うわっと」
どや顔で勝利宣言をしようと思ったら急に殴られそうになった。
危ない、危うく反射で切り落としそうになったよ。
「---まだ、だ!!!なんでもありの勝負っ、なんだろう!」
明らかに私の勝ちの状況だが、まだ諦めたくないらしい。
よぉーし良い意気だぞ!おばさんが付き合ってあげよう!
私は剣を地面に捨てて、今度は素手の構えをした。
ちなみに、ボクシングのやつで。
「うおぉぉぉーーー!!!」
体術の方は剣以上の経験不足、練習不足だった。
ヤンキーがただ普通に殴ってくるだけと同じパンチを避けて、腹の下に入り込みグーパンをみぞおちにヒットさせる。
「ぐはぁ!」
ロナルディは地面転がり、腹を押さえながら痛みに悶えた。
私はすっと近寄って下にいながらもなお睨んでくるロナルディに向けて感心半分呆れ半分でこういった。
「悔しい、ですか?僕みたいなポッと出のやつに倒されて。あなたは随分自信家のようですね、本物の戦場でもそうならば、あなたは誰よりも早く敵に殺されますよ。自身があるのはかまいませんが、それで相手の力量を図り間違えるのは違うと思います」
ロナルディは大きく目を開く。
「現に君ははき違えました。僕は確かに魔法学科ですが、幼いころから兄と剣を習っていましたのでそこそこ実力はあります。あなたは持ち前の火力だけに頼りすぎて剣術が厳かのようですね。私の兄も魔法学科でしたが、兄の方がよっぽど強敵です」
「っな……。余計なお世話だ」
教師にも言われたのだろうか、先ほどとは打って変わってぼそぼそとなる。
小学何年生だろうな、この子。
「後ですね、その気持ちは忘れない方がいいですよ。僕が暇になったらまた遊びに来ますから、その時また戦いましょう」
私はロナルディに手を伸ばす。
しかし、ロナルディはその手を取ろうとしてやめた。
「……貴殿は負けを知っているのか?」
その瞳には困惑の色が見えた。
「当たり前です、僕はいっぱい負けてます。今は負け知らずですがね」
負けは誰もが通る道だ。
それがこういう物理的な戦闘でなくとも、絶対に誰かに何か負けている。
それを自覚してからどうするかはその人次第だけれど。
この人は今自覚したんだろう。
「……そうか」
伸ばしかけた手をまた伸ばして私の手を握った。
私は彼を引き上げて立たせ、手をがっつり握ったまま握手する。
「これで君も僕のライバルだ。よろしくね、ロナルディ」
「……よろしく」
私は二人目の友達をゲットした。
「っく、なぜ当たらないっ!!!」
そりゃあ、そんなに大きいものを振り回すなんて、いくら身体強化をしてもスピードが落ちるから肉眼で捕らえられるのよ。
「剣以外の攻撃はないのでしょうか?」
相手は息を荒くしているが、必要最低限しか動いていない私はその呼吸に一切乱れはない。
「なっ、馬鹿にしているのか!?」
ロナルディはさらに睨みを強くする。
それはもう眉間にしわが寄るくらいに……。
「お前こそっ!避けるばかりで攻撃してこないじゃないか!まさか剣が触れないわけでもあるまいな!?」
見事に虚勢を張っている、若いなぁ。
「ーーーでは、今度はこちらからまいりましょうか」
私は少々ほっこりした気持ちで構えていただけの剣を振りかざす。
身長が少し足らないので、巨体のロナルディには低い場所からの攻撃でさぞ受けにくかったことだろう。
「っうおおぉぉ!!!」
ロナルディは精一杯という感じで受ける。
うーん、やっぱアデルさん並みには到底及ばないなぁ……。
もしかしたらお兄様の方が強いかもしれないと思いながら力技で相手の剣を吹き飛ばした。
「なにっ!?」
「僕のか……うわっと」
どや顔で勝利宣言をしようと思ったら急に殴られそうになった。
危ない、危うく反射で切り落としそうになったよ。
「---まだ、だ!!!なんでもありの勝負っ、なんだろう!」
明らかに私の勝ちの状況だが、まだ諦めたくないらしい。
よぉーし良い意気だぞ!おばさんが付き合ってあげよう!
私は剣を地面に捨てて、今度は素手の構えをした。
ちなみに、ボクシングのやつで。
「うおぉぉぉーーー!!!」
体術の方は剣以上の経験不足、練習不足だった。
ヤンキーがただ普通に殴ってくるだけと同じパンチを避けて、腹の下に入り込みグーパンをみぞおちにヒットさせる。
「ぐはぁ!」
ロナルディは地面転がり、腹を押さえながら痛みに悶えた。
私はすっと近寄って下にいながらもなお睨んでくるロナルディに向けて感心半分呆れ半分でこういった。
「悔しい、ですか?僕みたいなポッと出のやつに倒されて。あなたは随分自信家のようですね、本物の戦場でもそうならば、あなたは誰よりも早く敵に殺されますよ。自身があるのはかまいませんが、それで相手の力量を図り間違えるのは違うと思います」
ロナルディは大きく目を開く。
「現に君ははき違えました。僕は確かに魔法学科ですが、幼いころから兄と剣を習っていましたのでそこそこ実力はあります。あなたは持ち前の火力だけに頼りすぎて剣術が厳かのようですね。私の兄も魔法学科でしたが、兄の方がよっぽど強敵です」
「っな……。余計なお世話だ」
教師にも言われたのだろうか、先ほどとは打って変わってぼそぼそとなる。
小学何年生だろうな、この子。
「後ですね、その気持ちは忘れない方がいいですよ。僕が暇になったらまた遊びに来ますから、その時また戦いましょう」
私はロナルディに手を伸ばす。
しかし、ロナルディはその手を取ろうとしてやめた。
「……貴殿は負けを知っているのか?」
その瞳には困惑の色が見えた。
「当たり前です、僕はいっぱい負けてます。今は負け知らずですがね」
負けは誰もが通る道だ。
それがこういう物理的な戦闘でなくとも、絶対に誰かに何か負けている。
それを自覚してからどうするかはその人次第だけれど。
この人は今自覚したんだろう。
「……そうか」
伸ばしかけた手をまた伸ばして私の手を握った。
私は彼を引き上げて立たせ、手をがっつり握ったまま握手する。
「これで君も僕のライバルだ。よろしくね、ロナルディ」
「……よろしく」
私は二人目の友達をゲットした。
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