その悪役令嬢、今日から世界を救う勇者になる

ごーぐる

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学園編

59 教会の差し金

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公爵家はすべてが美しく出来上がっているわけではない。
そのひとつである地下牢屋は湿っていて、しかし頑丈な造りである、冷たい場所に私は来ている。
先日捕まえた誘拐犯に取り調べをするためにだ。

男二人は私を見るなり、叫び声を上げた。
「っ、我々にこんなことしていいと思っているのか!!!」
「あら、それはこちらの台詞ですわ。公爵令嬢である私を連れ去ろうなんてして許されると思っていますの?」

私はクスクスと笑った。
こういう人たちは怒ると口が軽いなと思ったからである。

「なにをっ?!」
「ただの人間のくせに、生意気なっ!!」
「うふふ、キーキー叫んでお猿さんみたいですわね。鳴き声をあげるだけじゃなにもならないというのに、非常に滑稽ですわ」

男たちは首まで真っ赤かだ。
「あなたたちの素性は判ってますの。わざわざ身分証明書を着けてきてくれるなんて、馬鹿としか言いようがありませんこと?ふふふ」
男たちはさらに目付きを鋭くした。
いまにも飛び掛かってきそうである。
もういいか。

「お馬鹿なさんたちは私を捕まえることさえ出来ない無能な方たちらしいですけど、頭は大丈夫ですか?」
「っな!私たちが無能だとっ?!我々は高貴なる神に仕えし神官だぞ!お前のような小娘ごとき、ただ偶然失敗してしまっただけだ!!!」
「そうだ!我らは中位神官だぞ!」

良くしゃべってくれる口だなぁと感心しながら脳内にメモする。
ちなみに、私の後ろにある壁は薄いので会話は筒抜け。
そしてその部屋にはお父様とお兄様、執事長が待機していた。
承認は王家に信頼の高いお父様である。

「私たちはお前らの領地が怪しいから調べに来たのだ!お前らは神の御意向に逆らうようなことをしているそうじゃないか!」
「へー、御意向に逆らうようなこと、でしょうか?見に覚えがありませんわ、一体何のことでしょう?」

「とぼけるなっ!貴様らは神官の確認なく怪しい薬をばら蒔き、神の愛する人を操っているではないか!神聖な神の反逆者である!」
ーーーどこがどうなったらそういうことになるんだろう?

私は神官言葉に呆れた。
恐らく、疫病の時のことを言っているんだろうけど、操るって……。
現在進行形で神官に頼る必要のなくなった領民たちのせいで、収入が無くなったのは分かるんだけど、仮にも神に仕える清い人ならば喜ぶべきところだろうに。

「はぁ、あなたたちの言いたいことは分かりましたわ。ですが、収益ばかりを考えているあなたたちに、私たちの大切な領民たちを任せるわけにはいきませんのよ。たかだが、風邪を治療するのに一体全体どうしたら十大銀貨(十万円)もかかりますの?」
一般家庭の一月の収入額だ。
もちろん大金である。

「それは、神のために決まっておろう!我々神に仕えるものは身なりをきちんとしなければならないのだ!」
どんないいわけだよ。
てか、身なりを正すだけならそんな額は必要ない。
明らかに娯楽に使っているだろうと思うのに、この阿呆にはそのような矛盾点も解らないらしい。

「そうですか。まあ下にいるものが本当にそうならば上はさぞかし使いにくそうですからね。当たり前と言えば当たり前でしょうか。……残念すぎてため息が出ますが」
私の口調がだんだん昔に戻っていく。
怒りと呆れがそれ思い出させるのでだろう。

私はなおも騒ぐ神官たちを無視して、メイドを連れてテラスに向かった。
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