その悪役令嬢、今日から世界を救う勇者になる

ごーぐる

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学園編

79 到着

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ハールス伯爵家に着くと、質素で良い意味で古めかしい好みな屋敷が見えた。
所々蔦が生えているようなのだが、飾りのようで、形が整えられている。
趣味良いなぁと思いつつ、玄関である門からちゃんと入ろうと門番に話しかけた。

西洋らしい、銀色の鎧を纏ったその門番に話しかければなんだこいつという目を向けられる。
「お仕事中、申し訳ないですわ。ご当主は在宅でしょうか?」
私はほれ身分証明書だぞと手紙を門番に見せる。
もちろん、封筒が見えるようにだ。

封筒を見た途端、門番は焦り始めた。
「も、申し訳ありません、ニコラス公爵家の方ですか!今すぐご案内致します!おい、誰かメイド呼んでこい!!!」
「あら、お構い無く。自分で行けますわ」
門番があまりに慌てるものだから、ついついそう言ってしまった。

「……あ、あのー。お名前か職業を名乗ってもらっても?」
「ああ、私としたことが、忘れてましたわ」
いくらお母様の手紙という最高の身分証明書があるとはいえ、名乗らないのは不審だろう。

「初めまして、ニコラス公爵家サラ・デューク・ニコラスですわ」
ついでに、ワンピースだけど端を持って礼を取る。
「ーーーサラ様っ!?」
「え、あのニコラスの……」
「やべぇ、道理で見目麗しいと……」
私の言葉に門番たちがざわめきたった。

「きょ、今日はどのようなご用でーーーぶふっ」
「ばっか!殺されるだろっ、公爵とタファ様にっ!」
「そうだぞ!気安く声をかけて良い相手じゃないだろっ!!!」
話の途中で同僚に殴られた門番は舌を噛んだようで、口に手を添えて悶えている。
誰か助けてあげようよ……。

門番たちの小突き合いを見ていると、パタパタと屋敷からメイドと執事が走ってきた。
私は、そんなに急がなくても良いのにと思いつつ、ゆったりと門を潜った。

「あ、貴女がニコラス家の使者様でしょ……」
「まて、レベッカ。……もしかして、サラ様でしょうか?」
老執事がメイドを止めて、私に窺うような目線を向ける。
まあ、執事にならお母様譲りの顔(つり目バージョン)でバレちゃうよね。

「はい、サラ・デューク・ニコラスですわ。今日は御祖父様と御祖母様に挨拶に来ましたの」
本日二度目の自己紹介である。
執事は目を薄めてにこやかに微笑んだ。
「左様でいらっしゃいますか。ようこそ、ハールス伯爵家へ。ご当主様はお部屋にいらっしゃいますので、そこまでご案内致します」
「まあ、ありがとうございますわ」

私はエスコートのために出された手に自分の手を重ねて、屋敷まで案内された。
庭もインテリアも素晴らしく好みで、所々見惚れてしまう。
私が足取りを悪くしていると、黙りコクっていた執事が口を開いた。

「……今日は、お一人で伯爵領に?」
「いえ、護衛を連れてきてありますわ。影ですので、姿は見えませんが」
執事は納得したようだ。
どうやら影がどのようなものか知っているようである。

「では、いつから領地に?前触れをしていただけましたら、お客様としておもてなし出来たですが……」
「急に来てしまって申し訳ないですわ。領地には先程来たばかりなのです。魔法で飛んできたので」
「……」

私がにこやかにそう言えば執事はまた黙りに戻った。
私はその様子を不思議に思いながらも、キョロキョロするのをやめて、令嬢らしく姿勢を正すのであった。
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