136 / 165
学園編
105 雪原のドラゴン
しおりを挟む
「ぐおおおおぉぉぉぉーーーー!!!!」
雪原に現れるはずもない真っ黒のドラゴンが咆哮と共に舞い降りる。
その声だけで辺りの木々や雪を吹き飛ばし、すっかりさら地になった。
黒いドラゴンは美しく、その瞳は赤く燃えるようである。
『どらごーん!』
『がおぉ!』
『魔竜ブライトマンだ!』
ちびちゃんずはもう大興奮である。
一応、ファニールーチェもドラゴンなんだけどな。
『あれって、会話とか出来るのかしら?』
『出来るー、聞こえてると思うよー』
『でも様子がおかしいねー?』
あれくらいのドラゴンならば知性もあると思うのに、その目は血走り、息を荒くしていた。
『……ふむ、しかしこのままにもしておけないですわね。ここら辺の自然が全滅してしまいますわ。とりあえず、動きを止めましょう』
『飛翔』
飛行魔法フライトでドラゴンのいる空まで飛び上がる。
北の空は寒いので防寒結界も忘れられない。
地上でも構いはしないのだが、お兄様の結界がもつ保証がなかったので上空戦となる。
なぜこんな場所にドラゴンがいるのか分からないが、足止めくらいはしなければ。
『氷壁』
氷がドラゴンを包み込み、分厚い壁ができる。
これが地上に浮いているのが不思議なくらいの分厚さである。
あっというまにドラゴンは氷の箱のなかとなった。
ーーー寒そう。
そういえば、結局ドラゴンは哺乳類なのか爬虫類なのか解らずじまいだなぁ。
「気になるわね……」
もし、あのドラゴンを倒すことになるのならば調べてみようかしら?
私は解剖の仕方を思いだしながらニヤリと笑った。
すると、それが伝わったのか否や懐にいたファニが震え、ドラゴンはさらに激しく暴れだした。
さすがドラゴンというだけあって、分厚くしていた氷の壁が砕けそうである。
「あんまり暴れないで欲しいのだけれど。仕方ないわね、ちょっと眠ってもらいましょうか」
私はまた魔力を脹らませて準備をする。
その時。
『まったぁ!!!』
叫び声と同時に見知った魔力が転移してきた。
そして、黒髪をなびかせてドラゴンがいる氷壁の前まで移動する。
魔力は知っているのに、
「ーーークロ、ちゃん?」
久し振りに再会したはずの友は物凄く背が伸びており、凛々しい美青年だった。
ーーーおかしいな、確かに魔力は感じるんだけど……。
魔力は同じものを持っている人というのはいないので、確かに目の前の美青年はクロなはずなのである。
「……訳は後で話す。とりあえず、その魔法を止めてくれないか?」
私は濃縮していた魔法を霧散して、氷も溶かした。
「ありがとう」
クロは早速ドラゴンに近寄り耳打ちをして、マントのなかにドラゴンを仕舞った。
多分、転移系統の魔法なのだろう。
なるほど、ああすれば転移先を知られないなと感心して、そのマントを見つめていれば、クロが困ったように頬を掻いた。
「そんなに見ないで欲しい」
「あら、ごめんなさいね」
見すぎたかと反省しつつ視線をそらす。
クロが私と変わらない年齢だったとしたら、丁度思春期くらいだろう、難しい年頃である。
「って、地上が賑やかになってるわね?」
反らした視線の先には、途方にくれている兵士たちがわんさかといて、先頭には学園長とアデル、お兄様やエドモンドもいた。
先頭組は途方にくれているというより、呆れているといったところだろうが。
「そうだな、とりあえず僕は城に戻る。これ以上混乱しないようにね。後で魔法石で連絡をするから、その時に話そう」
テキパキとした指示にびっくりして目を見開けば、成長したんだなと感じた。
彼は貴族のようだし、采配をとる側なのだろう。
「分かったわ。とことん話し合いましょうね?」
いろいろと聞きたいことはあるよー、うん。
私はようやく再会を果たした友人ににこりと笑いかけた。
雪原に現れるはずもない真っ黒のドラゴンが咆哮と共に舞い降りる。
その声だけで辺りの木々や雪を吹き飛ばし、すっかりさら地になった。
黒いドラゴンは美しく、その瞳は赤く燃えるようである。
『どらごーん!』
『がおぉ!』
『魔竜ブライトマンだ!』
ちびちゃんずはもう大興奮である。
一応、ファニールーチェもドラゴンなんだけどな。
『あれって、会話とか出来るのかしら?』
『出来るー、聞こえてると思うよー』
『でも様子がおかしいねー?』
あれくらいのドラゴンならば知性もあると思うのに、その目は血走り、息を荒くしていた。
『……ふむ、しかしこのままにもしておけないですわね。ここら辺の自然が全滅してしまいますわ。とりあえず、動きを止めましょう』
『飛翔』
飛行魔法フライトでドラゴンのいる空まで飛び上がる。
北の空は寒いので防寒結界も忘れられない。
地上でも構いはしないのだが、お兄様の結界がもつ保証がなかったので上空戦となる。
なぜこんな場所にドラゴンがいるのか分からないが、足止めくらいはしなければ。
『氷壁』
氷がドラゴンを包み込み、分厚い壁ができる。
これが地上に浮いているのが不思議なくらいの分厚さである。
あっというまにドラゴンは氷の箱のなかとなった。
ーーー寒そう。
そういえば、結局ドラゴンは哺乳類なのか爬虫類なのか解らずじまいだなぁ。
「気になるわね……」
もし、あのドラゴンを倒すことになるのならば調べてみようかしら?
私は解剖の仕方を思いだしながらニヤリと笑った。
すると、それが伝わったのか否や懐にいたファニが震え、ドラゴンはさらに激しく暴れだした。
さすがドラゴンというだけあって、分厚くしていた氷の壁が砕けそうである。
「あんまり暴れないで欲しいのだけれど。仕方ないわね、ちょっと眠ってもらいましょうか」
私はまた魔力を脹らませて準備をする。
その時。
『まったぁ!!!』
叫び声と同時に見知った魔力が転移してきた。
そして、黒髪をなびかせてドラゴンがいる氷壁の前まで移動する。
魔力は知っているのに、
「ーーークロ、ちゃん?」
久し振りに再会したはずの友は物凄く背が伸びており、凛々しい美青年だった。
ーーーおかしいな、確かに魔力は感じるんだけど……。
魔力は同じものを持っている人というのはいないので、確かに目の前の美青年はクロなはずなのである。
「……訳は後で話す。とりあえず、その魔法を止めてくれないか?」
私は濃縮していた魔法を霧散して、氷も溶かした。
「ありがとう」
クロは早速ドラゴンに近寄り耳打ちをして、マントのなかにドラゴンを仕舞った。
多分、転移系統の魔法なのだろう。
なるほど、ああすれば転移先を知られないなと感心して、そのマントを見つめていれば、クロが困ったように頬を掻いた。
「そんなに見ないで欲しい」
「あら、ごめんなさいね」
見すぎたかと反省しつつ視線をそらす。
クロが私と変わらない年齢だったとしたら、丁度思春期くらいだろう、難しい年頃である。
「って、地上が賑やかになってるわね?」
反らした視線の先には、途方にくれている兵士たちがわんさかといて、先頭には学園長とアデル、お兄様やエドモンドもいた。
先頭組は途方にくれているというより、呆れているといったところだろうが。
「そうだな、とりあえず僕は城に戻る。これ以上混乱しないようにね。後で魔法石で連絡をするから、その時に話そう」
テキパキとした指示にびっくりして目を見開けば、成長したんだなと感じた。
彼は貴族のようだし、采配をとる側なのだろう。
「分かったわ。とことん話し合いましょうね?」
いろいろと聞きたいことはあるよー、うん。
私はようやく再会を果たした友人ににこりと笑いかけた。
10
あなたにおすすめの小説
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
幼馴染の許嫁は、男勝りな彼女にご執心らしい
和泉鷹央
恋愛
王国でも指折りの名家の跡取り息子にして、高名な剣士がコンスタンスの幼馴染であり許嫁。
そんな彼は数代前に没落した実家にはなかなか戻らず、地元では遊び人として名高くてコンスタンスを困らせていた。
「クレイ様はまたお戻りにならないのですか……」
「ごめんなさいね、コンスタンス。クレイが結婚の時期を遅くさせてしまって」
「いいえおば様。でも、クレイ様……他に好きな方がおられるようですが?」
「えっ……!?」
「どうやら、色町で有名な踊り子と恋をしているようなんです」
しかし、彼はそんな噂はあり得ないと叫び、相手の男勝りな踊り子も否定する。
でも、コンスタンスは見てしまった。
朝方、二人が仲睦まじくホテルから出てくる姿を……
他の投稿サイトにも掲載しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる