その悪役令嬢、今日から世界を救う勇者になる

ごーぐる

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学園編

105 雪原のドラゴン

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「ぐおおおおぉぉぉぉーーーー!!!!」

雪原に現れるはずもない真っ黒のドラゴンが咆哮と共に舞い降りる。
その声だけで辺りの木々や雪を吹き飛ばし、すっかりさら地になった。
黒いドラゴンは美しく、その瞳は赤く燃えるようである。

『どらごーん!』
『がおぉ!』
『魔竜ブライトマンだ!』

ちびちゃんずはもう大興奮である。
一応、ファニールーチェもドラゴンなんだけどな。

『あれって、会話とか出来るのかしら?』
『出来るー、聞こえてると思うよー』
『でも様子がおかしいねー?』

あれくらいのドラゴンならば知性もあると思うのに、その目は血走り、息を荒くしていた。

『……ふむ、しかしこのままにもしておけないですわね。ここら辺の自然が全滅してしまいますわ。とりあえず、動きを止めましょう』

飛翔フライト

飛行魔法フライトでドラゴンのいる空まで飛び上がる。
北の空は寒いので防寒結界も忘れられない。

地上でも構いはしないのだが、お兄様の結界がもつ保証がなかったので上空戦となる。
なぜこんな場所にドラゴンがいるのか分からないが、足止めくらいはしなければ。

氷壁アイスウォール

氷がドラゴンを包み込み、分厚い壁ができる。
これが地上に浮いているのが不思議なくらいの分厚さである。
あっというまにドラゴンは氷の箱のなかとなった。

ーーー寒そう。
そういえば、結局ドラゴンは哺乳類なのか爬虫類なのか解らずじまいだなぁ。
「気になるわね……」

もし、あのドラゴンを倒すことになるのならば調べてみようかしら?
私は解剖の仕方を思いだしながらニヤリと笑った。

すると、それが伝わったのか否や懐にいたファニが震え、ドラゴンはさらに激しく暴れだした。
さすがドラゴンというだけあって、分厚くしていた氷の壁が砕けそうである。

「あんまり暴れないで欲しいのだけれど。仕方ないわね、ちょっと眠ってもらいましょうか」
私はまた魔力を脹らませて準備をする。
その時。

『まったぁ!!!』

叫び声と同時に見知った魔力が転移してきた。
そして、黒髪をなびかせてドラゴンがいる氷壁の前まで移動する。
魔力は知っているのに、

「ーーークロ、ちゃん?」

久し振りに再会したはずの友は物凄く背が伸びており、凛々しい美青年だった。
ーーーおかしいな、確かに魔力は感じるんだけど……。
魔力は同じものを持っている人というのはいないので、確かに目の前の美青年はクロなはずなのである。

「……訳は後で話す。とりあえず、その魔法を止めてくれないか?」
私は濃縮していた魔法を霧散して、氷も溶かした。
「ありがとう」

クロは早速ドラゴンに近寄り耳打ちをして、マントのなかにドラゴンを仕舞った。
多分、転移系統の魔法なのだろう。
なるほど、ああすれば転移先を知られないなと感心して、そのマントを見つめていれば、クロが困ったように頬を掻いた。

「そんなに見ないで欲しい」
「あら、ごめんなさいね」

見すぎたかと反省しつつ視線をそらす。
クロが私と変わらない年齢だったとしたら、丁度思春期くらいだろう、難しい年頃である。

「って、地上が賑やかになってるわね?」
反らした視線の先には、途方にくれている兵士たちがわんさかといて、先頭には学園長とアデル、お兄様やエドモンドもいた。
先頭組は途方にくれているというより、呆れているといったところだろうが。

「そうだな、とりあえず僕は城に戻る。これ以上混乱しないようにね。後で魔法石で連絡をするから、その時に話そう」
テキパキとした指示にびっくりして目を見開けば、成長したんだなと感じた。
彼は貴族のようだし、采配をとる側なのだろう。

「分かったわ。とことん話し合いましょうね?」
いろいろと聞きたいことはあるよー、うん。
私はようやく再会を果たした友人ににこりと笑いかけた。
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