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学園編
106 ドラゴンの行方
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地上に降りれば、先ほどまでしーんと静まり返っていた騎士たちが今度は騒ぎだした。
やれ、天から神が降りてきただの、天使たちの会話だの少し現実を見て欲しい。
「ニコラス公爵令息」
「なんだ、ララ」
「なんですか、この状況」
「俺が知りたい」
なるほど、つまりお兄様も把握してないってことね。
私はトラ退治で怪我をおった二人を探したが見つからなかった。
避難したかな?
「……君は、タファくんと知り合いなのかい?」
素敵なお髭の筋肉お爺様が話しかけてくる。
「はい、A級冒険者のララといいます。ニコラス公爵令息とは仕事関係の付き合いです」
「ほう、冒険者か」
私はニヤリと笑う学園長を見て、嫌な予感がすると思った。
「学園長、ここで話をするのも。エドの別荘が近くにあったはずですので、そこに移動しましょうか」
「そうか、では移動しようかの」
エドモンドは「えっ、俺の許可は?」と言っているが気にしない。
私はお兄様たちが後片付けをするのを見守って、お兄様、学園長、エドモンド、アデルという顔見知りのみでエドモンドの別荘へと足を運ぶのであった。
「ああ、紅茶と菓子……、いや一つはエールにしてくれ」
エドモンド家別荘に到着し、皆、客間で寛いでいた。
私も武器や荷物を下ろし、ふかふかの一人用ソファーに座り込む。
ビールは誰が飲むのかと思っていると、メイドはそれを学園長の前に置いた。
てっきりアデルが飲むのかと思っていたが、そういえばアデルはめっぽうお酒に弱いのだと思い出す。
皆がそれぞれのカップの中を啜り、一息吐いたところで会話は始まった。
「……ララ、もういいだろう?魔法を解け」
お兄様はビスケットを齧り、言葉を選んで効率よく会話をしようとしていた。
まあ、それが一番速いよね。
私はお兄様の言う通り魔法を解除し、本来の姿に戻る。
アデルとエドモンドはやっぱりという感じで、肩をすくめた。
二人には既に飛行の魔法を見せたことがあるからだろう、バレバレだったようだ。
「では、今回の件について説明いたしますね。どうせ、面倒くさがって何一つ報告していないのでしょう?お兄様」
「うん」
お兄様はしっかりと性格までもお父様にそっくりなので、効率廚なところがある。
適材適所、なんて言葉が世界一似合うのはお父様とお兄様ではないかと思うほどだ。
自らが必要だと思ったこと以外は決してなにもしない人たちである。
「では、まずはスノーサーベルタイガーから。サウラス様とロナルディ様が奮闘していたようですが、メロディ様が間違えて外に出てしまったようで、それを庇いながらで息絶え絶えになっているところを助けました。トラは串焼きになっています。どうやら雪原にドラゴンが現れて居場所がなくなったため、降りてきたようです」
「そこまではロナルディから聞いているよ。問題はそのドラゴンだね、消えたようだけれど?」
「ドラゴンについては妖精たちから聞いたのですが、どうやら魔竜ブライトマンというそうでして、興奮状態で危険だと判断し氷で閉じ込めたところ、知り合いに会いましてその方が魔界へ戻したようです」
魔界というワードに学園長の眉がぴくりと動いた。
「魔界の、知り合いかね?」
「そうですわね。彼は魔族ですので、魔界の知り合いですわ」
その言葉に皆がため息をつき、表情を険しくした。
「……我々人間と魔族は長年対立してきた。その意味が分かるかね?」
「分かっていますが、それと彼は関係ありませんわ。彼は人間と仲良くしたいと考える友好的な魔族だと私が判断しましたので。ちなみに、もう十年ほどの付き合いですわ」
自分で言っていて、あれからもう十年も経っているのかと感慨深くなった。
時の流れとは随分早いものである。
「……彼がただの魔族だと、思うか?」
「ーーー?」
学園長のゆっくりとした口調に私は本意を探った。
「俺もそう思うな。あいつはただの魔族じゃない。俺は魔族と面識があるが、あんな禍々しいやつは初めてだぞ」
アデルもそれに賛成することで、ようやく話が見えてきた。
「まさか、彼が魔王だとでも?」
私はそう言いつつもこれまでの彼の言動に納得したのであった。
やれ、天から神が降りてきただの、天使たちの会話だの少し現実を見て欲しい。
「ニコラス公爵令息」
「なんだ、ララ」
「なんですか、この状況」
「俺が知りたい」
なるほど、つまりお兄様も把握してないってことね。
私はトラ退治で怪我をおった二人を探したが見つからなかった。
避難したかな?
「……君は、タファくんと知り合いなのかい?」
素敵なお髭の筋肉お爺様が話しかけてくる。
「はい、A級冒険者のララといいます。ニコラス公爵令息とは仕事関係の付き合いです」
「ほう、冒険者か」
私はニヤリと笑う学園長を見て、嫌な予感がすると思った。
「学園長、ここで話をするのも。エドの別荘が近くにあったはずですので、そこに移動しましょうか」
「そうか、では移動しようかの」
エドモンドは「えっ、俺の許可は?」と言っているが気にしない。
私はお兄様たちが後片付けをするのを見守って、お兄様、学園長、エドモンド、アデルという顔見知りのみでエドモンドの別荘へと足を運ぶのであった。
「ああ、紅茶と菓子……、いや一つはエールにしてくれ」
エドモンド家別荘に到着し、皆、客間で寛いでいた。
私も武器や荷物を下ろし、ふかふかの一人用ソファーに座り込む。
ビールは誰が飲むのかと思っていると、メイドはそれを学園長の前に置いた。
てっきりアデルが飲むのかと思っていたが、そういえばアデルはめっぽうお酒に弱いのだと思い出す。
皆がそれぞれのカップの中を啜り、一息吐いたところで会話は始まった。
「……ララ、もういいだろう?魔法を解け」
お兄様はビスケットを齧り、言葉を選んで効率よく会話をしようとしていた。
まあ、それが一番速いよね。
私はお兄様の言う通り魔法を解除し、本来の姿に戻る。
アデルとエドモンドはやっぱりという感じで、肩をすくめた。
二人には既に飛行の魔法を見せたことがあるからだろう、バレバレだったようだ。
「では、今回の件について説明いたしますね。どうせ、面倒くさがって何一つ報告していないのでしょう?お兄様」
「うん」
お兄様はしっかりと性格までもお父様にそっくりなので、効率廚なところがある。
適材適所、なんて言葉が世界一似合うのはお父様とお兄様ではないかと思うほどだ。
自らが必要だと思ったこと以外は決してなにもしない人たちである。
「では、まずはスノーサーベルタイガーから。サウラス様とロナルディ様が奮闘していたようですが、メロディ様が間違えて外に出てしまったようで、それを庇いながらで息絶え絶えになっているところを助けました。トラは串焼きになっています。どうやら雪原にドラゴンが現れて居場所がなくなったため、降りてきたようです」
「そこまではロナルディから聞いているよ。問題はそのドラゴンだね、消えたようだけれど?」
「ドラゴンについては妖精たちから聞いたのですが、どうやら魔竜ブライトマンというそうでして、興奮状態で危険だと判断し氷で閉じ込めたところ、知り合いに会いましてその方が魔界へ戻したようです」
魔界というワードに学園長の眉がぴくりと動いた。
「魔界の、知り合いかね?」
「そうですわね。彼は魔族ですので、魔界の知り合いですわ」
その言葉に皆がため息をつき、表情を険しくした。
「……我々人間と魔族は長年対立してきた。その意味が分かるかね?」
「分かっていますが、それと彼は関係ありませんわ。彼は人間と仲良くしたいと考える友好的な魔族だと私が判断しましたので。ちなみに、もう十年ほどの付き合いですわ」
自分で言っていて、あれからもう十年も経っているのかと感慨深くなった。
時の流れとは随分早いものである。
「……彼がただの魔族だと、思うか?」
「ーーー?」
学園長のゆっくりとした口調に私は本意を探った。
「俺もそう思うな。あいつはただの魔族じゃない。俺は魔族と面識があるが、あんな禍々しいやつは初めてだぞ」
アデルもそれに賛成することで、ようやく話が見えてきた。
「まさか、彼が魔王だとでも?」
私はそう言いつつもこれまでの彼の言動に納得したのであった。
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