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学園編
110 ホルスの話
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ホルスの話を聞けば、現在の五聖教国は最悪であるとのこと。
教皇つまり王族は湯水のように贅に金を使い、貴族たちつまり聖職者たちも市民から金を取り上げ、貪っているのだとか。
話には聞いていたが、随分と厄介なことになっているらしい。
そしてそれを止めたいのに止められないのにはアイヴァーン商会も関わっていた。
アイヴァーン商会が幅を効かすことでブエナベントゥラ商会の力を削ぎ、国内での発言力がこれ見よがしに無くなりただの公爵家に成り下がったのだ。
それでも公爵家なのだが、対立するものたちもまた公爵家や辺境貴族などの強い権力を持っているようで、太刀打ちできずにいるとのこと。
しかしまあ、他国のことですし、アイヴァーン商会のこともとばっちりだと思うが、そこは策略でどうにかするものであって頼むものじゃない。
この話には私を動かすための決定力はなく、ただのお願い。
私はカップをソーサに戻した。
「それで、話はおしまいかしら?」
「……頼みます、どうか手を貸して下さい!」
ホルスはペコリと頭を下げた。
「……はぁ、でもねホルス。世間は甘くないわ、私は皆を平等に救う女神ではないの。私だって領地の皆が可愛いわ。戦争にもなりかねない、そんな話をただで受けると思っているの?」
ホルスは目をさ迷わせた。
市民のためとはいえ、もとより彼は五聖教国の貴族なのだ。
貴族にとって頭を下げるとはとても重要なこと、しかし、私はライオネリア国の貴族。
ライオネリア国では頭を下げるのはお礼をいうときは当たり前である。
平民では挨拶でもあるのだ。
彼は知っているのか。
自分がその世界に捕らわれていることを。
もっと回りを見られれば、違うものが見えるのに。
「……残念ね。それに、そんなに重たい案件、たかが貴族令嬢である私に持ってくること事態間違ってるわ。貴方は国と国がぶつかるところを想像したことはあるの?まあ、あるならこんな馬鹿なことしないわよね」
せめて重鎮を相手にするような案件である。
確かに、私が動けば国一つ、しかも愚王が治める国ごときなら簡単に潰せるだろう。
教皇を暗殺するのだって一晩で出来る、だが、そこじゃない。
王が死んだあとの国にはまだ生を望む人々が多くいるのだ。
王とは存在するだけでも国として機能する。
逆を言えば、王がいない国は機能が難しい。
前世のように発展いていれば話は別だが、そういうわけでもない。
私は国取りがしたいわけでもない。
邪魔だと判断すれば排除はするが、その後始末もしっかりとする。
ただ教皇を殺す、彼は目先のことに囚われすぎだ。
「……それでも、やらなくちゃならないんだ」
「……」
彼には成し遂げねばならない目的があるのだろう。
どんな手を使ってでも、そういう目をしている。
私が見てきたそういう目をするやつは後に苦しんだ。
目的を遂げればその後の気力が急に無くなるのだ。
勇者として共に旅した昔仲間たちは、そのいい例だ。
悪魔を倒し世界を救うと、今度は自分達が恐怖の存在となった。
元より居場所のなかった私はそんな世間の目はどうでもよくて、ただ生きるためにしがみついていたため生き残ったが、悪魔退治のあとは幸せが待っていると期待していた仲間たちは絶望し、あるものは自殺をし、あるものは生涯を家のなかで過ごし、あるものは暴れ狂った。
暴れ狂った仲間は私の手で殺した。
人外の力を手に入れた仲間は私しか殺せなかった。
誰も駆けつけない、近寄らない。
あの時は世界が私を一人にしたような気がした。
それからだったか、私が生きること以外に目標を持ったのは。
ふと、今はもういない昔の仲間たちと目の前の男が重なる。
ああ、嫌だな長生きすると。
こうやってお節介を焼きたくなるから。
私は心のなかで苦笑した。
教皇つまり王族は湯水のように贅に金を使い、貴族たちつまり聖職者たちも市民から金を取り上げ、貪っているのだとか。
話には聞いていたが、随分と厄介なことになっているらしい。
そしてそれを止めたいのに止められないのにはアイヴァーン商会も関わっていた。
アイヴァーン商会が幅を効かすことでブエナベントゥラ商会の力を削ぎ、国内での発言力がこれ見よがしに無くなりただの公爵家に成り下がったのだ。
それでも公爵家なのだが、対立するものたちもまた公爵家や辺境貴族などの強い権力を持っているようで、太刀打ちできずにいるとのこと。
しかしまあ、他国のことですし、アイヴァーン商会のこともとばっちりだと思うが、そこは策略でどうにかするものであって頼むものじゃない。
この話には私を動かすための決定力はなく、ただのお願い。
私はカップをソーサに戻した。
「それで、話はおしまいかしら?」
「……頼みます、どうか手を貸して下さい!」
ホルスはペコリと頭を下げた。
「……はぁ、でもねホルス。世間は甘くないわ、私は皆を平等に救う女神ではないの。私だって領地の皆が可愛いわ。戦争にもなりかねない、そんな話をただで受けると思っているの?」
ホルスは目をさ迷わせた。
市民のためとはいえ、もとより彼は五聖教国の貴族なのだ。
貴族にとって頭を下げるとはとても重要なこと、しかし、私はライオネリア国の貴族。
ライオネリア国では頭を下げるのはお礼をいうときは当たり前である。
平民では挨拶でもあるのだ。
彼は知っているのか。
自分がその世界に捕らわれていることを。
もっと回りを見られれば、違うものが見えるのに。
「……残念ね。それに、そんなに重たい案件、たかが貴族令嬢である私に持ってくること事態間違ってるわ。貴方は国と国がぶつかるところを想像したことはあるの?まあ、あるならこんな馬鹿なことしないわよね」
せめて重鎮を相手にするような案件である。
確かに、私が動けば国一つ、しかも愚王が治める国ごときなら簡単に潰せるだろう。
教皇を暗殺するのだって一晩で出来る、だが、そこじゃない。
王が死んだあとの国にはまだ生を望む人々が多くいるのだ。
王とは存在するだけでも国として機能する。
逆を言えば、王がいない国は機能が難しい。
前世のように発展いていれば話は別だが、そういうわけでもない。
私は国取りがしたいわけでもない。
邪魔だと判断すれば排除はするが、その後始末もしっかりとする。
ただ教皇を殺す、彼は目先のことに囚われすぎだ。
「……それでも、やらなくちゃならないんだ」
「……」
彼には成し遂げねばならない目的があるのだろう。
どんな手を使ってでも、そういう目をしている。
私が見てきたそういう目をするやつは後に苦しんだ。
目的を遂げればその後の気力が急に無くなるのだ。
勇者として共に旅した昔仲間たちは、そのいい例だ。
悪魔を倒し世界を救うと、今度は自分達が恐怖の存在となった。
元より居場所のなかった私はそんな世間の目はどうでもよくて、ただ生きるためにしがみついていたため生き残ったが、悪魔退治のあとは幸せが待っていると期待していた仲間たちは絶望し、あるものは自殺をし、あるものは生涯を家のなかで過ごし、あるものは暴れ狂った。
暴れ狂った仲間は私の手で殺した。
人外の力を手に入れた仲間は私しか殺せなかった。
誰も駆けつけない、近寄らない。
あの時は世界が私を一人にしたような気がした。
それからだったか、私が生きること以外に目標を持ったのは。
ふと、今はもういない昔の仲間たちと目の前の男が重なる。
ああ、嫌だな長生きすると。
こうやってお節介を焼きたくなるから。
私は心のなかで苦笑した。
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