その悪役令嬢、今日から世界を救う勇者になる

ごーぐる

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学園編

132 断罪

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その長い沈黙を破ったのは、一つの高笑いだった。

「…はっはっはっ、ご冗談を。貴女ごときに妖精の愛し子であられるメロディ様を害することなど出来ませぬ」

ふくよかなおじさんが話しかけてくる。
おでこに黒子……、ああ、ハーピックの……。
私は、また話が無駄に長くなるなぁと、あくびをしそうになった。

「メロディ様は聖女も同然。我々教会は今後、彼女の支援をしていきたいと考えています」
ニタリと、ハーピックが笑えば、金歯が見える。
おぅ、気味悪いわ。

「支援でなくて、養子の方がよろしいのでは?メロディさんは、貴方のーーー」
「確かにっ、養子にできたらそれほど素晴らしいことはないですが……」

慌てて遮るあたり、メロディは彼の私生子で間違いはないようである。
実は、これはその過程で分かったことなのだが、彼には他にも同じように私生子が十数人いるようだ。
確かに一夫一妻制ではないが、ここまでくると最低の一言である。

「ならば、正式に養子にしては?聖女であるならば、宗教一家としてこれ以上に誇り高いことはないでしょう?」
「確かにな。その方がメロディ嬢としてもよかろう。今ここで、メロディ嬢をハーピック家の養子にしようか」
「は、はあ……。ありがたき幸せです……?」

疑問気味にハーピック侯爵が言えば、国王はにっこりと笑った。
ーーー訂正、こちらの方がうんと気味悪いわ。

まさに、化けタヌキといったところである。
あやかしの類いで間違いないだろう。

「では、謀反人の公判をはじめようか、メロディ嬢」
「はぁ!?なんで私なのよ?罰を与えるのはあの悪役の方でしょ?!」
わめくメロディを押さえつけるべく、近衛が動く。
さすがのメロディもこれには畏縮し、涙を流した。

「助けて、サウラス様!ロナルディ様!」

「あ、あぁメロディ……。なぜ……」
いきなりの展開についていけないサウラスは狼狽える。

「……すまん」
一方、ロナルディはぼつりと謝っていた。
彼は近衛に入ることが決まっている。
先輩たちに楯突くなど、無理な話なのだろう。
それがわかっていて、敢えて近衛を動かす辺り、国王がいい性格をしている。

近衛に挟まれたまま、メロディがしぶしぶ前へ出る。

「……やっぱり、納得いかないわ。なんで私がこんな風に扱われなきゃならないのよ!?」
「黙れ。サウラス、お前もそこへ直れ。お前らには罰としてしばらく自宅近親とする。サウラスはしばらく、部屋から出ないこと」
「なっ、父上!?」

「うるさい。お前に愛想をつかす日が来るとはおもわなんよ。折角の卒業舞踏会を滅茶苦茶にするなんて、呆れてものも言えんわ」
「私は!!ただいじめられているメロディが可哀想で、サラが全て悪いのだとーーー!」

私は間違ってなどいない、そう言いたげなサウラスの台詞は、睨みを効かせたお父様の目線を見て止まった。
私を貶すことは公爵家を貶すことと同意だと、まあ、当のサウラスが理解しているかはは分からないが。

「そのいじめとやらも、メロディ嬢の戯れ言だろう?儂とてただここに座っているわけではないぞ?お前らの監視はさせてもらっている。お前にも入学するときに言ったはずだが?」
「……?!しかし、それではメロディが嘘をついているということになります!」

「だから、そうだと言っている。サラ嬢には王家から直接、研究所を手伝いしてほしいと頼んでいたのだ。サラ嬢の優秀さは周知の事実。彼女を忙しくさせていたのは儂らだというのに、まったく、お前というやつは……。それこそ親子でなければ即縁を切っていたところだな」
「なっ……、私は……私は、知りませんでした……」

……国王から直に頼まれたことなんて、一度もないけれど話し合いによりそういう事実があったということになっている。
国王様が言えばその通りにしなければならないからね……。

こういった意味では、従えるというのは悪くはないと思う。
私が資本主義的な考え方がなければ、すんなりと受け入れていたことだろう。

がくりと項垂れるサウラスと、未だに暴れるメロディを近衛たちが引き連れていった。
ついでにと、一緒にいたロナルディたちも尋問のために連れていかれる。

「……サラ嬢、申し訳ないが許してやってほしい。これでもこの国の第二王子なのだ」
「はい、陛下。もちろんですわ」

私はにこりと笑みを作り、カーテシーをした。
それにうむ、と国王は頷く。

「皆、騒がせてしまってすまない。これより、卒業記念舞踏会を開催する。楽しんでくれ、以上だ」

国王は重そうな分厚いマントを翻し、会場を後にした。
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