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少女編
餓鬼
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翌朝、私は昨日出来事を思いだし、反省会を開いていた。
ーーーなぜ、旅籠屋に逃げ込んでしまったのだろう………。
ここでまさかのコミュ症だよ。
簡素なベッドの上で体育座りをして蹲る。
しかし、いつまでもこうしているわけにもいかない。
早々に立ち上がり、ドアを開けて一階へと降りる。
「あっ、起きたのね!おはよう!!!」
元気よく挨拶してくれるのはおさげ頭の可愛い元気っ子の旅籠屋の娘さんだ。
「ああ、おはようございます」
「ふふ、丁度良かったわ。あなたに用事がある子達がいるの」
おさげちゃんは「そこよ」と入口を指差す。
一階は飲食店となっているので、朝食で客が賑わっているなかに小さな子達が座っているのを見つけた。
子供たちといっても、私と年齢はそう変わらなさそうな身長だ。
私に気がついて一人の男の子が話しかけてくる。
「お前が、昨日の魔物倒したの?」
この集団の中の大将みたいな扱いなのだろうか、偉そうに胸を張りながら訪ねてくる。
「うん、そうだよ」
ひきつりそうな顔を押さえてなるべく優しく返してあげる。
「っけ、なんだガキじゃねーかよ!!本当にこいつが熊の魔物を倒しったってのか?冗談だろ!」
君もそうたいして変わらない年齢なはずなんだけどね。
声をあらげる男の子に、店の客中の視線が集まった。
あー、こういうの苦手なのになぁ………。
私が口を出さないことをいいことに男の子の話は止まることなく続いていく。
「なんなんだよ、出じゃ張りやがって!よそ者の癖に!嘘つくんじゃねーよ、親父たちになにをした!!!元に戻せよ!!!」
「ん?」
この子の言う親父たちとは昨日の若者たちのことだろうか。
なにってなんにもしていないけれど……。
「一体なんのことでしょうか?」
「とぼけても無駄だぞ!あれから親父はずっとお前のことばかりを喋るんだ!俺がなにを言っても反応しないんだよっ!!!」
「………それって、お父さんが構ってくれないから、寂しいとかですか?」
「ーーー!!!違うしっ!!!」
ああ、そうなのか。
どう考えても肯定しているようにしか見えないので、周りも苦笑いしている。
嫉妬心に駆られてこんな大事にまでしちゃうとか、とんだファザコンだなぁ………。
男の子は顔を真っ赤にしている。
他の子達は居づらそうにくねくねしているので、ここにいるのは本人たちの意思ではないことが分かる。
思わずクスリと笑ってしまうと、ますます紅葉していくのが見てとれた。
首まで真っ赤っかだ。
「ーーーっ!!!笑ってんじゃねーよっ!!!」
「いや、すみません。ちょっと可愛くて」
可愛い可愛い。
私の弟も一度、こうやって私に訴えかけてきたことがあったなぁと思い出した私は、この子と重ねて見えた。
「ば、馬鹿にしやがってっ!!!おい、帰るぞみんな!!!」
そのままの勢いでバーンと扉を開けて出ていってしまった。
ありゃ、残念。
私は朝食を取るべく、カウンターにいるおさげ少女の方へと戻る。
少女はなぜか唖然とこちらを見ていた。
「あのー、注文いいですか?」
「はっ。はい、何にしますか?」
「では、ベーコンエッグを一つください」
少女は「はい、只今~」と厨房へと消えていった。
しばらくするとベーコンエッグとが乗った皿と、パンやサラダや飲み物などがズラリとならんだ。
「………えっと、これらは?」
注文してないよという意味で訊ねてみる。
すると少女は嬉しそうに笑った。
「これは、私たちかの奢りだよ。ありがとう、君があの魔物を倒してくれたんだね」
すると、厨房から昨日のおじさんが出てきた。
「おう、そうだ。俺たちの奢りだ!昨日は助かったよ、おまけに怪我人の手当てまでしてもらっちゃってな」
「ああっ、なるほど……。しかし、いいのですか?」
私は運ばれてきた料理たちに目を向ける。
机に上はフルコースみたいでかなり豪華だ。
「いいってことよ、さっきの村のガキンチョにも良いようにしてもらえたしな。ガキがやったこととはいえ、すまなかったな。あいつら親子でああなんだ」
「いえ、馴れているので大丈夫です」
「そうか。俺の名前はハンス、ハンスクラウ。今となっちゃあ年よりのただの料理爺だが、昔は武官として王宮でつかえていたんだ。嬢ちゃんの剣術はすげぇな、びっくりだよ。誰かに習っていたのか?」
「はい、魔法と剣の師匠がいます。えっと、キュリアスさんという方なんですが………」
「キュリアスっ!!!って、女男のやつか?」
いきなり剣呑になったおじさんに驚いたが、負けじと返事を返す。
「………はい、そうですね」
一応、師匠なので、言い方が気になるが真実そうなので、否定はできない。
どうやら、キュリアスのことをおじさんは知っているらしい。
「ーーーなるほどなぁ………」
「知り合いですか?」
「いや、顔見知り程度だ。奴は有名だぞ、二つの意味で」
その二つの意味の片方は容姿のことだろうと苦笑いをする。
私は冷めないうちにとベーコンに手をつけた。
カリカリに焼かれたベーコンは優しい味がして、とてもおいしかった。
ーーーなぜ、旅籠屋に逃げ込んでしまったのだろう………。
ここでまさかのコミュ症だよ。
簡素なベッドの上で体育座りをして蹲る。
しかし、いつまでもこうしているわけにもいかない。
早々に立ち上がり、ドアを開けて一階へと降りる。
「あっ、起きたのね!おはよう!!!」
元気よく挨拶してくれるのはおさげ頭の可愛い元気っ子の旅籠屋の娘さんだ。
「ああ、おはようございます」
「ふふ、丁度良かったわ。あなたに用事がある子達がいるの」
おさげちゃんは「そこよ」と入口を指差す。
一階は飲食店となっているので、朝食で客が賑わっているなかに小さな子達が座っているのを見つけた。
子供たちといっても、私と年齢はそう変わらなさそうな身長だ。
私に気がついて一人の男の子が話しかけてくる。
「お前が、昨日の魔物倒したの?」
この集団の中の大将みたいな扱いなのだろうか、偉そうに胸を張りながら訪ねてくる。
「うん、そうだよ」
ひきつりそうな顔を押さえてなるべく優しく返してあげる。
「っけ、なんだガキじゃねーかよ!!本当にこいつが熊の魔物を倒しったってのか?冗談だろ!」
君もそうたいして変わらない年齢なはずなんだけどね。
声をあらげる男の子に、店の客中の視線が集まった。
あー、こういうの苦手なのになぁ………。
私が口を出さないことをいいことに男の子の話は止まることなく続いていく。
「なんなんだよ、出じゃ張りやがって!よそ者の癖に!嘘つくんじゃねーよ、親父たちになにをした!!!元に戻せよ!!!」
「ん?」
この子の言う親父たちとは昨日の若者たちのことだろうか。
なにってなんにもしていないけれど……。
「一体なんのことでしょうか?」
「とぼけても無駄だぞ!あれから親父はずっとお前のことばかりを喋るんだ!俺がなにを言っても反応しないんだよっ!!!」
「………それって、お父さんが構ってくれないから、寂しいとかですか?」
「ーーー!!!違うしっ!!!」
ああ、そうなのか。
どう考えても肯定しているようにしか見えないので、周りも苦笑いしている。
嫉妬心に駆られてこんな大事にまでしちゃうとか、とんだファザコンだなぁ………。
男の子は顔を真っ赤にしている。
他の子達は居づらそうにくねくねしているので、ここにいるのは本人たちの意思ではないことが分かる。
思わずクスリと笑ってしまうと、ますます紅葉していくのが見てとれた。
首まで真っ赤っかだ。
「ーーーっ!!!笑ってんじゃねーよっ!!!」
「いや、すみません。ちょっと可愛くて」
可愛い可愛い。
私の弟も一度、こうやって私に訴えかけてきたことがあったなぁと思い出した私は、この子と重ねて見えた。
「ば、馬鹿にしやがってっ!!!おい、帰るぞみんな!!!」
そのままの勢いでバーンと扉を開けて出ていってしまった。
ありゃ、残念。
私は朝食を取るべく、カウンターにいるおさげ少女の方へと戻る。
少女はなぜか唖然とこちらを見ていた。
「あのー、注文いいですか?」
「はっ。はい、何にしますか?」
「では、ベーコンエッグを一つください」
少女は「はい、只今~」と厨房へと消えていった。
しばらくするとベーコンエッグとが乗った皿と、パンやサラダや飲み物などがズラリとならんだ。
「………えっと、これらは?」
注文してないよという意味で訊ねてみる。
すると少女は嬉しそうに笑った。
「これは、私たちかの奢りだよ。ありがとう、君があの魔物を倒してくれたんだね」
すると、厨房から昨日のおじさんが出てきた。
「おう、そうだ。俺たちの奢りだ!昨日は助かったよ、おまけに怪我人の手当てまでしてもらっちゃってな」
「ああっ、なるほど……。しかし、いいのですか?」
私は運ばれてきた料理たちに目を向ける。
机に上はフルコースみたいでかなり豪華だ。
「いいってことよ、さっきの村のガキンチョにも良いようにしてもらえたしな。ガキがやったこととはいえ、すまなかったな。あいつら親子でああなんだ」
「いえ、馴れているので大丈夫です」
「そうか。俺の名前はハンス、ハンスクラウ。今となっちゃあ年よりのただの料理爺だが、昔は武官として王宮でつかえていたんだ。嬢ちゃんの剣術はすげぇな、びっくりだよ。誰かに習っていたのか?」
「はい、魔法と剣の師匠がいます。えっと、キュリアスさんという方なんですが………」
「キュリアスっ!!!って、女男のやつか?」
いきなり剣呑になったおじさんに驚いたが、負けじと返事を返す。
「………はい、そうですね」
一応、師匠なので、言い方が気になるが真実そうなので、否定はできない。
どうやら、キュリアスのことをおじさんは知っているらしい。
「ーーーなるほどなぁ………」
「知り合いですか?」
「いや、顔見知り程度だ。奴は有名だぞ、二つの意味で」
その二つの意味の片方は容姿のことだろうと苦笑いをする。
私は冷めないうちにとベーコンに手をつけた。
カリカリに焼かれたベーコンは優しい味がして、とてもおいしかった。
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