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少女編
師匠、常識がほしいです
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皆の荷物をアイテムボックスに移して一段落。
スグルたちはなぜか申し訳なさそうに「いいのか?」と何度も聞いてきたが、「いいですよ」と一蹴。
移動早くなるしね。
そうやって会話を繋いでいた通り道。
私は見たことのある景色にあることを思った。
「ジルさん。もしかして、目的地の近くにライトという村があるんじゃないですか?」
「え、そうだね……。ああ、確かにあるよ」
「へえ、やっぱり」
私が王都にむかってきた道だったからもしかしたらって思ったけれど正解だった。
私はその道のりを思い浮かべる。
王都まで脳に微弱の強化魔法をかけ続けてきたので、その記憶は鮮明だ。
そよぐ木々、草。
風さえも精密に思い出す。
そうやってちょうどライト村につけば今度はもっと事細かに、小さな草まで頭のなかで写真を完成させる。
「? どうしたんだ、いきなり立ち止まって……」
みなが一斉にこちらを振り向く。
私は丁度いいとばかりにその下に魔方陣を描きはじめた。
もちろん、光魔法と土魔法でちゃ~ちゃっと。
「うわっ、なんだこれ!?」
「て、敵襲っ!?」
「いや、違うと思う……」
『テレポート』
瞬間、視界から先程の道は消えていた。
見えるのはすぐ目の前のライト村……。
「や、やばい……。俺夢見てんのかな?なんか、目の前にライト村があるんだけど……」
「ははは、すごいねスグル。僕もおんなじ夢見てるよ……」
「わ、私もぉ……」
「………」
できたぁ、大人数で移動って初めてだけど、特に問題なかったね。
私はちょっと嬉しかった。
「お、おい。どういうことだよっ?!これお前がやったんだよな!?こんな滅茶苦茶なこと出きるやつはお前だけだよな!?」
「滅茶苦茶?全然滅茶苦茶じゃないですよ。これは瞬間移動の応用で、直線を速く進むのを繰り返すことであたかも一気にそこに移動することを成立させる、ちゃんと論理的な魔法なんです!」
「いや、そんなこと聞いてるんじゃねーよ。とりあえず、やったんだな?」
スグルが凄む。
なぜか、やっちゃいけないことをやったように聞こえるのだが……、気のせいだろうか?
「まあ、はい」
「そうか……」
「そうなのね……」
「はは……」
「まぁ、いい。とりあえずよくわかんないし、もう突っ込まねーよ。てか、なんでお前Fランクなわけ?詐欺だろ」
「え、私そこまで弱いですか?そんなことはないと思うんですけど」
キュリアスさん倒したし……は思っても言わない。
この人たちは彼のことをきっと知らないだろうから、言われたってちんぷんかんぷんだろう。
「違う違う、君が弱いなら僕たちはなんなのさ。……特進試験は受けなかったのってこと」
「ああ、あれですか。でも、普通は受けないでFランクから地道に始めますよね?」
特進制度はギルドで受けられるランクを一気に上げるものだ。
しかし、あれは受け付けからどうですか?と進められてやるものだと聞いている。
私は進められなかった。
「……ああ!!やめやめ!突っ込んじまったわ、突っ込まないといいながら。もう、無しだ無し!」
スグルは強制的に会話を終わらせる。
忙しい人だなぁ。
「とりあえず、着いちゃったんだし村長のところに行くぞ。おい、ユリカ。お前この依頼が終わったら俺たちの推薦で特進試験受けろよ、いいな?!」
「? はい」
それは新手のフラグかなにかですか?
そう呑気に思ったユリカだった。
スグルたちはなぜか申し訳なさそうに「いいのか?」と何度も聞いてきたが、「いいですよ」と一蹴。
移動早くなるしね。
そうやって会話を繋いでいた通り道。
私は見たことのある景色にあることを思った。
「ジルさん。もしかして、目的地の近くにライトという村があるんじゃないですか?」
「え、そうだね……。ああ、確かにあるよ」
「へえ、やっぱり」
私が王都にむかってきた道だったからもしかしたらって思ったけれど正解だった。
私はその道のりを思い浮かべる。
王都まで脳に微弱の強化魔法をかけ続けてきたので、その記憶は鮮明だ。
そよぐ木々、草。
風さえも精密に思い出す。
そうやってちょうどライト村につけば今度はもっと事細かに、小さな草まで頭のなかで写真を完成させる。
「? どうしたんだ、いきなり立ち止まって……」
みなが一斉にこちらを振り向く。
私は丁度いいとばかりにその下に魔方陣を描きはじめた。
もちろん、光魔法と土魔法でちゃ~ちゃっと。
「うわっ、なんだこれ!?」
「て、敵襲っ!?」
「いや、違うと思う……」
『テレポート』
瞬間、視界から先程の道は消えていた。
見えるのはすぐ目の前のライト村……。
「や、やばい……。俺夢見てんのかな?なんか、目の前にライト村があるんだけど……」
「ははは、すごいねスグル。僕もおんなじ夢見てるよ……」
「わ、私もぉ……」
「………」
できたぁ、大人数で移動って初めてだけど、特に問題なかったね。
私はちょっと嬉しかった。
「お、おい。どういうことだよっ?!これお前がやったんだよな!?こんな滅茶苦茶なこと出きるやつはお前だけだよな!?」
「滅茶苦茶?全然滅茶苦茶じゃないですよ。これは瞬間移動の応用で、直線を速く進むのを繰り返すことであたかも一気にそこに移動することを成立させる、ちゃんと論理的な魔法なんです!」
「いや、そんなこと聞いてるんじゃねーよ。とりあえず、やったんだな?」
スグルが凄む。
なぜか、やっちゃいけないことをやったように聞こえるのだが……、気のせいだろうか?
「まあ、はい」
「そうか……」
「そうなのね……」
「はは……」
「まぁ、いい。とりあえずよくわかんないし、もう突っ込まねーよ。てか、なんでお前Fランクなわけ?詐欺だろ」
「え、私そこまで弱いですか?そんなことはないと思うんですけど」
キュリアスさん倒したし……は思っても言わない。
この人たちは彼のことをきっと知らないだろうから、言われたってちんぷんかんぷんだろう。
「違う違う、君が弱いなら僕たちはなんなのさ。……特進試験は受けなかったのってこと」
「ああ、あれですか。でも、普通は受けないでFランクから地道に始めますよね?」
特進制度はギルドで受けられるランクを一気に上げるものだ。
しかし、あれは受け付けからどうですか?と進められてやるものだと聞いている。
私は進められなかった。
「……ああ!!やめやめ!突っ込んじまったわ、突っ込まないといいながら。もう、無しだ無し!」
スグルは強制的に会話を終わらせる。
忙しい人だなぁ。
「とりあえず、着いちゃったんだし村長のところに行くぞ。おい、ユリカ。お前この依頼が終わったら俺たちの推薦で特進試験受けろよ、いいな?!」
「? はい」
それは新手のフラグかなにかですか?
そう呑気に思ったユリカだった。
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