ライカ

こま

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10章 碧眼の追憶

10_④

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(レマ、あなただって、ひとりじゃなかったのに!)
 強く思ったとき、ライカは地面に立っている感覚を取り戻した。今は、クーンシルッピの森の中で、レマ達の過去を見ていたのだ。
『……淋しかったんだね、レマ……』
 再び像を結んだキートが呟いた。セイルもトンクもレマの玉石を見つめていた。玉石に宿る四人の記憶を合わせて過去を投影することで、キート達にもレマの気持ちが感じ取れたのだ。
逆も然りで、語りかけるように腕輪の玉石が光った。セイルが微笑んで、レマの言葉を代弁する。
『ライカ。レマは、この旅の中で目覚めたようです。玉石が貴女の手に渡る前は、誰に寄り添うこともなく、宝石として保管されていたから』
淋しい一人旅、楽しい二人旅。信じた人に傷付けられた苦しみと、村で過ごして癒された日々。そしてトラメ達との出会い。揺れ動くライカの心が、玉石の奥に押し込められていたレマの心を引き出した。
『貴女が守りたいと強く思った仲間を、レマも守りたいと思ったのです……貴方達と旅して、自分にも仲間がいると知った。災禍が終わった世界に、希望を見ることが出来ました』
『はは、あたし達と同じようなこと、思ったんだ。なんか安心した』
気持ちよく笑いながら、キートは少し感傷に浸った。やっと心が通じ合えたのは、共に旅した数百年後。もしも当時、もっと分かり合えていたらと考えてしまう。それを見抜いて、トンクが横目でキートを刺す。
『似合わないな、繊細な顔しちゃって。俺達はあれこれ考えるより、ライカ達を応援することだ。心だけじゃ、力になってやれないけどさ』
皮肉っぽく言われて、キートもセイルも表情を引き締めた。反対に、ライカ達には笑顔が広がる。一際、無邪気な笑みで、トラメがきっぱり言う。
「応援してくれると、頑張れるもんだぞ!」
『……そうだな』
単純な言葉は、条件なしで元気をくれる。トンクの方が励まされた。
 その時、かすかに振動を感じてそれぞれが身構えた。『いよいよか』とこぼすトンクの声が聞こえて、魔物となったレマの封印が、間もなく解けるのだと悟る。数日のうちに、沈めた島が浮上するそうだ。
「それじゃ、それに合わせて上陸、だね」
 台座に置いてあった腕輪をはめて、ライカは右手を前に伸ばした。どういう意味か理解して、その上にヴァルが手を重ねる。次々にみんなが続き、輪になったところでキート達を見た。顔を見合わせてから、キート、セイル、トンクもライカ達の輪に向かって右手を伸ばした。
「ぜったい、みんなで帰ってこよう!」
「おー!」
みんなの意思を固めるのは、ごく簡単な掛け声だった。
レマとの戦いは避けられないだろうし、無事に帰れる保証はない。でもみんなの目標は、災禍を終わらせた先にあるのだ。
 森の洞窟を出るライカ達の背中は、この前よりたくましく見えた。
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