96 / 118
レイドモンスター 赤竜
しおりを挟む
「モンスター名は赤竜ですわ。討伐レベルは……えっ、に、二五〇ですって!?」
魔道具の魔物鑑定一眼鏡で、現れたレイドモンスターを見たラナが驚きの声を上げた。
僕の《魔物鑑定》スキルだと「討伐レベル」なんて項目は見ることができないんだけど、この魔道具だと見えるんだよね。
三階層のレイドモンスター・迷宮大土竜を討伐した時の報酬なんだけど、今は主にラナに使ってもらってる。
ちなみに、四階層で出てきたレイドモンスター・巨大骨蛇が討伐レベル一〇五で、迷宮死霊王が一五〇だったからね。二五〇はちょっとやばい数字だ。
ちなみに、この数字は「一人で討伐する場合に必要な個人のレベル」じゃないか、と言う話になっている。
例えば一階層で出てくる小鬼は討伐レベル四だし、迷宮大足長蜂は一〇である事を確認している。
僕は一五、六レベルの時にジャイアントビーを二、三匹なら相手できたから、たぶん、そんな感じなんだろうな、と言う感覚的なものなんだけどね。
「二五〇? はっ、やりがいがあるってもんだ!」
「わたしたち五人で二五〇くらいだっけ?」
「無理無理っすね」
「安心しろ。俺がその太い首を斬るって言っただろう!?」
「「きゃー、流石カイン様です!」」
そんな呑気なやり取りが大声で交わされる中、タンカー隊のリーダー、ザイアンに向かって火竜が走り出した。
いや、火竜にしてみれば歩いただけなのか。
その歩みはドドドドドドと地面を響かせながら進む。六本足を器用に動かして、ザイアンを彼が構えた大盾ごと蹴飛ばしても止まらず、その後方十五メートルは離れていたはずのミレニアの位置まで一瞬で到達した。
「むおっ!」
「ぐはぁ!」
二人の苦痛の声が、それ程間が空くことなく大空洞に響き渡る。
「ザイアン!」
「ミレニア!」
二人が吹き飛ばされている間も火竜は高速で歩き続け、そして長い尻尾を大きく振って自分の左側の地面にバシンと叩きつけた。
尻尾の先端が地面にめり込み、そこを軸にして弧を描き、ぐるっと一八〇度方向転換した。
「思ったより動きが速い」
「二人の回復を!」
「ドルムっ、ザイアンが戻るまでタンカー隊の指示を」
「承知した!」
火竜は再び加速する。次の狙いはグファーダだ。彼は今、ザイアンを治療する為に移動中だったが、気がついて大盾を地面に突き刺して火竜を停める体勢をとった。
でも、残念ながら呆気なく弾き飛ばされてしまう。
「マーモとザクアスは我の両側に! ムゴールは下がれ!」
ドルムが指示を出す。三人で盾を並べて火竜を止めるつもりのようだ。
「あいつらが火竜を停めたら俺は首を狙う。ソルトはあの厄介な尻尾を斬り落とせ。ケイシャは俺の一撃に合わせて火竜の顔に連射を喰らわせてやれ」
カインが近くにいる僕とケイシャに指示を出すと、すぐさま走り出した。どうやらタンカー三人の後ろで待機するようだ。
「了解」
「カイン様、承知ですわ!」
カインに答えて、僕もすぐに走り出す。ドルム達が火竜の足を止めた時の尻尾の付け根の位置を想像して、そこに一歩で踏み込める場所を割り出す。
カインはタンカー三人の右斜め後方の位置に立ち、大剣を右下手に構える。《受けの構え》というスキルだ。一応、タンカーの壁が破られるケースも想定してるようだ。
それにしても、彼の構えを見る度に、あの無口な大剣の剣士トーヤの事を思い出す。カインの《受けの構え》はトーヤの《超断魔剣》の構えにそっくりなんだよね。
おっと、今は火竜に集中しなきゃ。
ーーーー
「前方から魔物の気配あります!」
「「「了解!」」」
ケイシャの敵発見の声が上がると同時に、みんなの空気がピリッと引き締まる。
この場面は……確か火竜人が三体出てくるんだったかな。
さっきの火竜との戦いは、一言で言って「惨敗」だった。
実は最初の一撃目でミレニアは死んでしまっていたんだよね。ザイアンはなんとか生きてたんだけど。
そして更にグファーダが弾き飛ばされてしまった後、ドルム達三人は火竜の高速散歩の突撃をなんとか止めることができたんだけど、カインの全力の《英雄の一撃》は火竜の首に食い込んだものの断ち切ることはできず、ケイシャの矢は頭部に当たったものの刺さらず、僕の攻撃も尻尾を一刀両断とはいかず、だった。
そして、三度目の《英雄の一撃》を使った時に、学習したのか知らないけど、火竜がタイミングよくその大きな口でカインにバクっと齧りついた。バキボキと嫌な音が響いて、鎧ごと首から下と膝下くらいまで噛み砕かれたカインは即死した。
混乱したケイシャが距離を詰めながら弓を乱射して、火竜の敵意を集め過ぎて口から吐き出された溶岩の石礫を喰らって死亡。同じくカインを治そうとして駆け寄っていたラナも巻き添えで死亡。
ここら辺はいつもの流れなんだよねぇ。カインが倒れると、親衛隊もドミノのように倒れてしまうんだ。
その後は残りのメンバーで粘って、なんとか火竜を討伐できたんだけど、最終的に生き残ったのはワイン、スー、イリヤ、デンドルッフ、ムゴール、ワッキー、そして僕の七人だけだった。
これでは勝利とは言えないので、《再生機》を発動したわけだ。
火竜に有効な攻撃は、カインの大剣による《英雄の一撃》、レッティの《戦鬼》《怪力》に《風刃》を載せた戦斧の攻撃、ワインの水魔法《雹雨》くらいだろうか。
たぶん、ミレニアの攻撃もある程度通るとは思うけど、まだ未確認だから過度の期待はできない。
防御に関しては、ザイアン、グファーダを組ませようと思う。ドルム、ザクアス、マーモの三人で二回は止められたから、二人ならなんとかできるはずだ。
それと、スーの《石壁》も防御に有効だった。三枚の石壁を立てれば、火竜の突進力が下がって三枚目で止めることができたからね。スーがレッティを助ける為に咄嗟に連続発動してくれてわかったことだ。
ただ、その三連発でスーは魔力切れをおこしてしまったから、ワッキーにはスーに付いてもらって《魔力供給》をしてもらうようにしよう。今回、ワッキーの火魔法は出番がなさそうだから、彼には《魔力供給》と《魔力回復》を使ってもらって支援役に徹してもらいたい。
魔道具の魔物鑑定一眼鏡で、現れたレイドモンスターを見たラナが驚きの声を上げた。
僕の《魔物鑑定》スキルだと「討伐レベル」なんて項目は見ることができないんだけど、この魔道具だと見えるんだよね。
三階層のレイドモンスター・迷宮大土竜を討伐した時の報酬なんだけど、今は主にラナに使ってもらってる。
ちなみに、四階層で出てきたレイドモンスター・巨大骨蛇が討伐レベル一〇五で、迷宮死霊王が一五〇だったからね。二五〇はちょっとやばい数字だ。
ちなみに、この数字は「一人で討伐する場合に必要な個人のレベル」じゃないか、と言う話になっている。
例えば一階層で出てくる小鬼は討伐レベル四だし、迷宮大足長蜂は一〇である事を確認している。
僕は一五、六レベルの時にジャイアントビーを二、三匹なら相手できたから、たぶん、そんな感じなんだろうな、と言う感覚的なものなんだけどね。
「二五〇? はっ、やりがいがあるってもんだ!」
「わたしたち五人で二五〇くらいだっけ?」
「無理無理っすね」
「安心しろ。俺がその太い首を斬るって言っただろう!?」
「「きゃー、流石カイン様です!」」
そんな呑気なやり取りが大声で交わされる中、タンカー隊のリーダー、ザイアンに向かって火竜が走り出した。
いや、火竜にしてみれば歩いただけなのか。
その歩みはドドドドドドと地面を響かせながら進む。六本足を器用に動かして、ザイアンを彼が構えた大盾ごと蹴飛ばしても止まらず、その後方十五メートルは離れていたはずのミレニアの位置まで一瞬で到達した。
「むおっ!」
「ぐはぁ!」
二人の苦痛の声が、それ程間が空くことなく大空洞に響き渡る。
「ザイアン!」
「ミレニア!」
二人が吹き飛ばされている間も火竜は高速で歩き続け、そして長い尻尾を大きく振って自分の左側の地面にバシンと叩きつけた。
尻尾の先端が地面にめり込み、そこを軸にして弧を描き、ぐるっと一八〇度方向転換した。
「思ったより動きが速い」
「二人の回復を!」
「ドルムっ、ザイアンが戻るまでタンカー隊の指示を」
「承知した!」
火竜は再び加速する。次の狙いはグファーダだ。彼は今、ザイアンを治療する為に移動中だったが、気がついて大盾を地面に突き刺して火竜を停める体勢をとった。
でも、残念ながら呆気なく弾き飛ばされてしまう。
「マーモとザクアスは我の両側に! ムゴールは下がれ!」
ドルムが指示を出す。三人で盾を並べて火竜を止めるつもりのようだ。
「あいつらが火竜を停めたら俺は首を狙う。ソルトはあの厄介な尻尾を斬り落とせ。ケイシャは俺の一撃に合わせて火竜の顔に連射を喰らわせてやれ」
カインが近くにいる僕とケイシャに指示を出すと、すぐさま走り出した。どうやらタンカー三人の後ろで待機するようだ。
「了解」
「カイン様、承知ですわ!」
カインに答えて、僕もすぐに走り出す。ドルム達が火竜の足を止めた時の尻尾の付け根の位置を想像して、そこに一歩で踏み込める場所を割り出す。
カインはタンカー三人の右斜め後方の位置に立ち、大剣を右下手に構える。《受けの構え》というスキルだ。一応、タンカーの壁が破られるケースも想定してるようだ。
それにしても、彼の構えを見る度に、あの無口な大剣の剣士トーヤの事を思い出す。カインの《受けの構え》はトーヤの《超断魔剣》の構えにそっくりなんだよね。
おっと、今は火竜に集中しなきゃ。
ーーーー
「前方から魔物の気配あります!」
「「「了解!」」」
ケイシャの敵発見の声が上がると同時に、みんなの空気がピリッと引き締まる。
この場面は……確か火竜人が三体出てくるんだったかな。
さっきの火竜との戦いは、一言で言って「惨敗」だった。
実は最初の一撃目でミレニアは死んでしまっていたんだよね。ザイアンはなんとか生きてたんだけど。
そして更にグファーダが弾き飛ばされてしまった後、ドルム達三人は火竜の高速散歩の突撃をなんとか止めることができたんだけど、カインの全力の《英雄の一撃》は火竜の首に食い込んだものの断ち切ることはできず、ケイシャの矢は頭部に当たったものの刺さらず、僕の攻撃も尻尾を一刀両断とはいかず、だった。
そして、三度目の《英雄の一撃》を使った時に、学習したのか知らないけど、火竜がタイミングよくその大きな口でカインにバクっと齧りついた。バキボキと嫌な音が響いて、鎧ごと首から下と膝下くらいまで噛み砕かれたカインは即死した。
混乱したケイシャが距離を詰めながら弓を乱射して、火竜の敵意を集め過ぎて口から吐き出された溶岩の石礫を喰らって死亡。同じくカインを治そうとして駆け寄っていたラナも巻き添えで死亡。
ここら辺はいつもの流れなんだよねぇ。カインが倒れると、親衛隊もドミノのように倒れてしまうんだ。
その後は残りのメンバーで粘って、なんとか火竜を討伐できたんだけど、最終的に生き残ったのはワイン、スー、イリヤ、デンドルッフ、ムゴール、ワッキー、そして僕の七人だけだった。
これでは勝利とは言えないので、《再生機》を発動したわけだ。
火竜に有効な攻撃は、カインの大剣による《英雄の一撃》、レッティの《戦鬼》《怪力》に《風刃》を載せた戦斧の攻撃、ワインの水魔法《雹雨》くらいだろうか。
たぶん、ミレニアの攻撃もある程度通るとは思うけど、まだ未確認だから過度の期待はできない。
防御に関しては、ザイアン、グファーダを組ませようと思う。ドルム、ザクアス、マーモの三人で二回は止められたから、二人ならなんとかできるはずだ。
それと、スーの《石壁》も防御に有効だった。三枚の石壁を立てれば、火竜の突進力が下がって三枚目で止めることができたからね。スーがレッティを助ける為に咄嗟に連続発動してくれてわかったことだ。
ただ、その三連発でスーは魔力切れをおこしてしまったから、ワッキーにはスーに付いてもらって《魔力供給》をしてもらうようにしよう。今回、ワッキーの火魔法は出番がなさそうだから、彼には《魔力供給》と《魔力回復》を使ってもらって支援役に徹してもらいたい。
0
あなたにおすすめの小説
二十年仕えた王女が私を敵に売った。それでも守ることにした
セッシー
ファンタジー
二十年間、王女殿下の護衛騎士として仕えた。その殿下が、私を敵に売った。
牢の中で事実を知り、一分考えて——逃げることにした。殿下の目的を、まだ果たしていないから。
裏切りの真相を確かめるため、一人王都へ戻る護衛騎士の話。
『伯爵令嬢 爆死する』
三木谷夜宵
ファンタジー
王立学園の中庭で、ひとりの伯爵令嬢が死んだ。彼女は婚約者である侯爵令息から婚約解消を求められた。しかし、令嬢はそれに反発した。そんな彼女を、令息は魔術で爆死させてしまったのである。
その後、大陸一のゴシップ誌が伯爵令嬢が日頃から受けていた仕打ちを暴露するのであった。
カクヨムでも公開しています。
冷遇された聖女の結末
菜花
恋愛
異世界を救う聖女だと冷遇された毛利ラナ。けれど魔力慣らしの旅に出た途端に豹変する同行者達。彼らは同行者の一人のセレスティアを称えラナを貶める。知り合いもいない世界で心がすり減っていくラナ。彼女の迎える結末は――。
本編にプラスしていくつかのifルートがある長編。
カクヨムにも同じ作品を投稿しています。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
道化たちの末路
希臘楽園
ファンタジー
母亡き後、継承権もない父と愛人母娘が公爵家を狙い始めた。でも私には王太子という切り札がいる。半年間、道化たちが踊るのを、私たちは静かに楽しんで見ていた。AIに書かせてみた第3弾。今回も3000文字程度のお気楽な作品です。
もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる