プレーヤープレイヤー

もずく

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レイドモンスター 報酬

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「今だよ!」
 僕がスーに声を掛けたのと同時に、火竜とザクアス達の間に《石壁》が二枚、地面からズズズと現れる。
 そして、その二枚を砕きながら突き進む火竜は、やはりその勢いを削がれて少し遅くなっている。振り返ったザクアスとグファーダは少し驚いた顔を見せたものの、「はん!」と不敵に嗤うと、大盾を突き出してきっちりと止めてみせた。
 そして、またもや発生する火竜の硬直。
 そこに近距離アタッカー全員の攻撃が襲いかかる。
 レッティとデンドルッフが軽快に火竜の背中を駆け上る。デンドルッフは背中に《連撃》で剣を叩き込み、レッティは更に首を駆け登って脳天に《風刃》を纏った戦斧を叩き落とした。
「かった~い」なんてゆるい事を言えるのはレッティの凄いところだと思う。
 ムゴールとイリヤは火竜の後ろ脚を攻撃している。
 そして《瞬歩》で一足飛びに火竜の前脚に辿り着いたスーが《剛拳》を打ち込む。《石壁》を二枚にしたのはこの為か。あとで怒られんの分かってるんだろうに……まったく。

「トドメはこのカイン様が刺ーーす!」
 今回の戦闘で四回目の《英雄の一撃》が、斬撃ではなく刺突で放たれると、火竜の首に剣の根本まで突き入れることに成功する。
 でも、火竜は首を左右に振って、剣を握ったままのカインごと吹き飛ばした。

「はっ、お膳立てお疲れさんだね。トドメはあたしがいただくよっ!」
 ミレニアは手に持っていた剣を投げ捨てると、彼女が一番得意の獲物、柄が槍のように長い斧を、背中に斜めがけしているから抜き出して、おそらく《野生の剛力》を乗せた一撃を「よいしょっとおっ!」ともの凄い勢いで叩きつけた。
 ポールウェポンの本領発揮だ。先端にある斧の刃がザクッと深く首に食い込んだ。

 ……でも、まだ火竜の首は落ちず。

「ちいっ!」
「結局最後はソルトか……(まったく、英雄と呼ばずにはいられない男だな、本当に)」

 うん、まあ、二人には悪いんだけど、この機会を逃すわけにはいかないんだよね。
 五回目でやっと誰も死んでない状況でここまで来たんだから。

 確殺する為に、今回はかなり強目に攻撃しよう。
《瞬歩》で近付き、《剛力》で跳躍し、《怪力》《剛剣》《連撃》を《必中》で発動する。
 今や僕の連撃は、五連撃まで成長・・している。
 両手剣の僕の場合、それは十連撃になる。一瞬で首に両側から五連撃ずつ叩き込めば、太い首も流石に落とせるわけだ。

 落ちた首と、六本の足しか残ってない胴体に、全員から容赦ない攻撃が続けられる。
 これも経験値になり得るのだから、できるだけ多くのダメージを与えてほしい。

 そうこうしているうちに、火竜だった頭と体、そして尻尾が赤黒く光り始め、煙のようになって消えていく。
 それから大空洞の中央に赤黒い魔法陣が浮かび上がり、そこから金銀財宝が噴き出し始めるのだった。
 誰からともなく歓声が上がり、そして僕らはお互いの戦功を称え合った。


 灼熱色の竜鱗 十枚
 灼熱色の竜角
 灼熱色の竜爪 二本
 火竜の全身鱗鎧
 火竜の大鱗盾
 火竜の長槍
 耐火耐熱の耳飾り
 溶岩の錫杖

 溶岩石の焜炉
 溶岩石の懐炉 三個

 高品質な弓、弩、連接棍、棒槌


 今回は報酬の数が多い。
 いつも僕が最初に選ばせてもらってるけど、今回はどうなるかな。報酬の分配については、大抵の場合はカインとミレニアとザイアンの三人が話し合って順番や取り分が決まるんだよね。

「ソルトよ。申し訳ないのだが今回はこのスケイルメイルはドルムに譲って貰えぬだろうか。そして、タワーシールドは我が使わせて欲しい」
「あたしも賛成だ。それがこのクランの為になると思う」
「だな。まあ、俺もスケイルメイルなら着れるから欲しいと言えば欲しいんだが、タンカーの防御力を上げる方が大事だからな」
「うん。いいんじゃないかな」

 珍しい事に、普段は物をあまり欲しがらないザイアンが、一番最初に報酬の選択権を要求してきた。
 いや、要求されなくても、防具や盾は彼らタンカーに回るようにみんなが気を使ってたけどね。
 僕はもうそれなりの防具を手に入れているし、ヴァイオレットミレニアスマッシャーズカインがオーケーなら問題ない。

「ありがとう。みなの心遣いに感謝する」
 ザイアンのみならず、ドルムも、ザクアス、グファーダ、それに何故かマーモとムゴールまでもが頭を下げてきた。
 いや、クランの仲間なんだし、タンカーの防御力が上がるのは、イコール僕らの防御力が上がるってことだからね、と、みんなして彼らの頭を上げさせた。

 いいな。
 こういうの。
 お互いを自分の事のように考えられるのって。
 凄くいい。

 気が付けば、僕らはちゃんと一つのクランになれていたんだな。

 僕はついつい、自分の頬が緩むのを抑えることが抑えられなかった。
 そして、物を取り合うことの無い和やかな風景の中に、ミレニアやカイン達の笑顔があることを嬉しく思うのだった。
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