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ガチャらしい
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あの後、順番に水晶玉に触れていき、自分を含めて十一人全員のスキル判定が完了した。
なんと十一人中十人が職業スキルというのを持っていて、一人だけが職業スキルを持っていなかった。
そしてその一人とは僕だ。
僕が手に入れた(または与えられた)スキルは《自由自在》というものだった。
他の人が手に入れた職業スキルとは名称が明らかに違っていたし、なんだか強いスキルだということがぱっと理解できたので、ジョルさん、いや爺さんにはとりあえず「武器や防具が装備できるみたいです」と嘘の内容を答えておいた。
ちなみに、光り方は白と似て見えたけど実は黒い光の文字だった。
で、今、僕は大部屋の隅で寝そべっている。
ここは所謂ハズレ部屋なんだそうだ。
この大部屋には僕の他に、水晶玉を白に光らせた高校生二人と、青に光らせた専門学校に通う女の子が一人いる。
一応、お互いに自己紹介はしあったけど、彼らは心ここにあらずというか放心状態なので今は何か話し合うこともできそうにない。だから僕はのんびりしている。
というか他にやることがない。
だから目を閉じて《自由自在》についての理解を深めてゆく。
そうして一時間ほどが過ぎた。
大部屋の扉が静かに開く。
「えー、ハズレの皆様方。大変心苦しく、また申し訳なく思うのでございますがそろそろお時間でございます。ギルドには話を通させていただきましたのですぐにでも働き始められるかと存じます」
扉から姿を現したのは先程の爺さんだった。
そして慇懃無礼という言葉を体現したかのような見事な台詞で僕らを追い出しにかかった。
先に説明されていて分かっていたことなので、僕は起き上がって素直に爺さんの前に行った。
「こちらをどうぞ」
爺さんが渡してきた袋を受け取ると中身を確認する。中身は十枚の金貨だ。
僕は頷きもせず、何も言わず、袋を持って大部屋から出た。
「ご武運を」
にやりとした笑みを湛えながらのその言葉も、僕はさらっと無視することにした。
他の三人がこれからどうするのかは知らないし僕には関係ない。だから振り返らずに一人で屋敷を出ることにした。
僕を含めた十一人は、あの爺さんの説明によるとガチャのようなもので召喚されたらしい。
この世界には神のような存在がいて、その神に供物を捧げることで他の世界から「闘士」を召喚できるのだそうだ。
そう、まるでゲームのガチャシステムだ。
そしてゲームのガチャと同じで、召喚された闘士にはランクがある。
白、青、緑、黄、赤、金の順に強くなっていくそうだ。つまり、水晶玉を触った時の光の色は引いたキャラのレア度を表していたのだ。
今回は結構当たりだったらしく、十一人中ハズレは四人だけ。半分以上が「使える」ランクの闘士だったので大満足の結果だったそうだ。
緑が四人、黄色が一人、赤が二人。
赤はスーツのおじさんと長髪のロッカーみたいな人だった。職業スキルは聖騎士と忍者と言っていたな。確かに強そうなスキルだ。
でだ。
そもそも、なんで彼らが召喚なんてことをしているのかと言えば、どうやらこの世界には魔物が住むダンジョンがあり、その奥底には宝物や命の源と呼ばれる物があるらしく、この世界の権力者達はそれを求めてダンジョンを攻略しようとしているのだそうだ。
僕らを召喚したチャールズ男爵も、ダンジョンを攻略して(攻略させて)力を手に入れ、更なる上級貴族に成り上がろうとしている者の内の一人なのだという。
でだ。
何故、ハズレとは言え供物を捧げてまで召喚した闘士を捨てるのかというと、それはこの世界の神らしき者が定めたルールに従ってのことらしい。判明しているルールはざっくりと二つ。
自身の貴族位によって保有できる戦力には上限があること。
召喚された者を丁重に扱うこと。
これらを守らない者には神の鉄槌かと思える程の不幸が訪れる為、貴族達はなるべく余分な闘士を持ちたがらないのだという。
また、この戦力上限のルールがある為、不要闘士は即座に放逐するのが通例なのだそうだが、ここでも「召喚された者を丁重に扱うこと」というルールも適用されるらしく、この世界で生きていく為の職業の斡旋と、暫く生きていけるだけの金銭を渡すのが流れになっているのだという。
ここまでの内容を説明することも「召喚された者を丁重に扱うこと」というルールに含まれていることなのだそうだ。
自分が不幸な目に遭わない為の行動だったとしても、見知らぬ世界にぽんと放り出されてしまうよりはマシなのだけど、チャールズ男爵や爺さんに感謝しようとは到底思えなかった。
(ここか……)
男爵邸を出て、教えてもらった道を進んでいくと大通りに出た。大通りを時計台のある方に進んでいけばギルド通りがあると言われてここまで来たが、その情報に嘘はなかったようだ。
いくつかの建物の看板や窓には、英語で○○ギルドと書かれている。
知っているアルファベット文字が見れて少し安心したけど、残念なことに僕は英語が得意ではない。
が、よく見れば日本語や中国語、それにどこの国かよく分からない文字が小さく併記されているようだ。
ダンジョン攻略ギルド
冒険者ギルド
傭兵ギルド
魔術師ギルド
ギルド案内
普通に読める文字で書かれているギルドは五つもあるようだ。
現地の文字で書かれているギルドもいくつかあるが、僕の場合、日本語を頼って動いた方が間違いが少ないだろう。
少し悩んだけど、なんとなく冒険者ギルドと書かれた建物に入ってみることにした。
なんと十一人中十人が職業スキルというのを持っていて、一人だけが職業スキルを持っていなかった。
そしてその一人とは僕だ。
僕が手に入れた(または与えられた)スキルは《自由自在》というものだった。
他の人が手に入れた職業スキルとは名称が明らかに違っていたし、なんだか強いスキルだということがぱっと理解できたので、ジョルさん、いや爺さんにはとりあえず「武器や防具が装備できるみたいです」と嘘の内容を答えておいた。
ちなみに、光り方は白と似て見えたけど実は黒い光の文字だった。
で、今、僕は大部屋の隅で寝そべっている。
ここは所謂ハズレ部屋なんだそうだ。
この大部屋には僕の他に、水晶玉を白に光らせた高校生二人と、青に光らせた専門学校に通う女の子が一人いる。
一応、お互いに自己紹介はしあったけど、彼らは心ここにあらずというか放心状態なので今は何か話し合うこともできそうにない。だから僕はのんびりしている。
というか他にやることがない。
だから目を閉じて《自由自在》についての理解を深めてゆく。
そうして一時間ほどが過ぎた。
大部屋の扉が静かに開く。
「えー、ハズレの皆様方。大変心苦しく、また申し訳なく思うのでございますがそろそろお時間でございます。ギルドには話を通させていただきましたのですぐにでも働き始められるかと存じます」
扉から姿を現したのは先程の爺さんだった。
そして慇懃無礼という言葉を体現したかのような見事な台詞で僕らを追い出しにかかった。
先に説明されていて分かっていたことなので、僕は起き上がって素直に爺さんの前に行った。
「こちらをどうぞ」
爺さんが渡してきた袋を受け取ると中身を確認する。中身は十枚の金貨だ。
僕は頷きもせず、何も言わず、袋を持って大部屋から出た。
「ご武運を」
にやりとした笑みを湛えながらのその言葉も、僕はさらっと無視することにした。
他の三人がこれからどうするのかは知らないし僕には関係ない。だから振り返らずに一人で屋敷を出ることにした。
僕を含めた十一人は、あの爺さんの説明によるとガチャのようなもので召喚されたらしい。
この世界には神のような存在がいて、その神に供物を捧げることで他の世界から「闘士」を召喚できるのだそうだ。
そう、まるでゲームのガチャシステムだ。
そしてゲームのガチャと同じで、召喚された闘士にはランクがある。
白、青、緑、黄、赤、金の順に強くなっていくそうだ。つまり、水晶玉を触った時の光の色は引いたキャラのレア度を表していたのだ。
今回は結構当たりだったらしく、十一人中ハズレは四人だけ。半分以上が「使える」ランクの闘士だったので大満足の結果だったそうだ。
緑が四人、黄色が一人、赤が二人。
赤はスーツのおじさんと長髪のロッカーみたいな人だった。職業スキルは聖騎士と忍者と言っていたな。確かに強そうなスキルだ。
でだ。
そもそも、なんで彼らが召喚なんてことをしているのかと言えば、どうやらこの世界には魔物が住むダンジョンがあり、その奥底には宝物や命の源と呼ばれる物があるらしく、この世界の権力者達はそれを求めてダンジョンを攻略しようとしているのだそうだ。
僕らを召喚したチャールズ男爵も、ダンジョンを攻略して(攻略させて)力を手に入れ、更なる上級貴族に成り上がろうとしている者の内の一人なのだという。
でだ。
何故、ハズレとは言え供物を捧げてまで召喚した闘士を捨てるのかというと、それはこの世界の神らしき者が定めたルールに従ってのことらしい。判明しているルールはざっくりと二つ。
自身の貴族位によって保有できる戦力には上限があること。
召喚された者を丁重に扱うこと。
これらを守らない者には神の鉄槌かと思える程の不幸が訪れる為、貴族達はなるべく余分な闘士を持ちたがらないのだという。
また、この戦力上限のルールがある為、不要闘士は即座に放逐するのが通例なのだそうだが、ここでも「召喚された者を丁重に扱うこと」というルールも適用されるらしく、この世界で生きていく為の職業の斡旋と、暫く生きていけるだけの金銭を渡すのが流れになっているのだという。
ここまでの内容を説明することも「召喚された者を丁重に扱うこと」というルールに含まれていることなのだそうだ。
自分が不幸な目に遭わない為の行動だったとしても、見知らぬ世界にぽんと放り出されてしまうよりはマシなのだけど、チャールズ男爵や爺さんに感謝しようとは到底思えなかった。
(ここか……)
男爵邸を出て、教えてもらった道を進んでいくと大通りに出た。大通りを時計台のある方に進んでいけばギルド通りがあると言われてここまで来たが、その情報に嘘はなかったようだ。
いくつかの建物の看板や窓には、英語で○○ギルドと書かれている。
知っているアルファベット文字が見れて少し安心したけど、残念なことに僕は英語が得意ではない。
が、よく見れば日本語や中国語、それにどこの国かよく分からない文字が小さく併記されているようだ。
ダンジョン攻略ギルド
冒険者ギルド
傭兵ギルド
魔術師ギルド
ギルド案内
普通に読める文字で書かれているギルドは五つもあるようだ。
現地の文字で書かれているギルドもいくつかあるが、僕の場合、日本語を頼って動いた方が間違いが少ないだろう。
少し悩んだけど、なんとなく冒険者ギルドと書かれた建物に入ってみることにした。
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