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ギルド
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冒険者ギルドと書かれた看板を掲げる建物に入ると、室内は小さな食堂のようになっていた。無骨な六人掛けの木のテーブルが三つあって、奥にはカウンターがある。
テーブルには誰も座ってなくて、カウンターには一人の赤毛の女性がいた。
「こんにちは」
『いらっしゃい。あら、あなた日本人よね? 英語は分かるかしら?』
ハーイ、ジャパニーズ、スピーク、イングリッシュくらいは聞き取れた。たぶん、日本人かどうかを聞かれてて、英語が話せるかどうかを聞かれてるんだろうな、くらいは分かる。でも、イエスとか返事をするのはなんとなくだけどしたくない。
ん~、しかし、言語理解や自動翻訳的な能力があるかと思ってたんだけど、どうやらそんなことはなかったらしい。
水晶玉の光の文字が読めたのは何だったんだろうな。
「あ~、すみません、出直します」
『待って、って言ってもずっと待たせる訳にも行かないかぁ。えっと、夜になったら誰か戻ってくると思うから、その頃にまた来てみてね!』
何かウェイトとか言われたみたいだけど、この人と二人でここに居るのは無理だ。話せないのに話しかけてきそうだし、話しかけられなくても居心地が悪そうだし。
だから僕はそのまま冒険者ギルドから外に出た。
さて、次はどこに行こうか。
そう言えばあの爺さんはギルドに話を通したと言ってたけど、なんのギルドとは言わなかったな。微妙に嫌がらせをされた感じなんだろうか。
でだ。僕は次は素直にギルド案内と書かれた建物に行ってみることにした。
中はさっきの冒険者ギルドよりも狭い。小さな診療所の待合室みたな感じだ。カウンターにいるのが黒髪の人で少し安心するが日本人とは限らない。
「すみません、ギルド案内と書かれていたので来てみたんですが」
「あ、日本の人?」
「はい」
「えっと、私は李と言います。お名前とあなたの状況を教えてもらえますか?」
「僕はフトウと言います。なんか召喚された挙げ句、ハズレと言われて追い出されました……」
「それはごしゅしょ様でした」
リーさんと名乗った男性は、少し発音があれだけど日本語で話をしてくれた。
これからのギルド案内の為にスキルを聞かれたので「武器や防具が装備できるみたいです」と伝えた。すると戦士か盗賊かなと言って、ダンジョン攻略ギルドか冒険者ギルドか傭兵ギルド、それかこの国の兵士か普通の仕事で働くという選択肢があると言われた。
この世界に召喚された者は、この世界の共通言語を理解することができるらしいので、召喚者から開放された者は普通に生活できるそうだ。
むしろ、元の世界の国の違いのせいでやりとりが難しいことの方が問題になるそうだ。
「他には開放される人、いた?」
「僕の他に三人いましたが、僕だけ先に出てきてしまったので」
「分かった。日本人?」
「ですね。全員日本人でした」
「今回は全部で何人呼ばれた? どんなスキルだたか分かるか?」
「僕が他の人の話をするのは違うと思うのでやめておきます」
「呼ばれた人数くらいならだいじょぶだよ。情報料で銀貨二枚払うよ」
まあ、確かに人数くらいなら問題ないか。既に全員日本人とか答えちゃったし。それに爺さん達からは情報を漏らすなとか制限されてないし。
「全員で十一人でした」
リーさんがカウンターテーブルに置いた銀貨二枚を受け取る。
「やぱりお得召喚か~」
「お得召喚?」
「十人分の供物で十一人召喚できるらしいよ。まるでゲームみたいにね」
「ああ、なるほど。やっぱりガチャ的な話なんですね」
「そうよ。私達はこの世界の権力者に無理矢理ここに呼ばれた。そして私もあなたも「いらない」と言って捨てられた。私が元の世界でやてたゲームのガチャと同じ……いらないキャラは合成したりポイントに変えてたね……」
僕もスマホのゲームで召喚とかしてたな。今度は僕自身がゲームのガチャキャラとして召喚されて、そしてレア度が低いキャラだから捨てられたと。まあ、この仕打ちに納得はできないけど、状況としては理解できた。
「滅茶苦茶な話ですね」
「ほんとにそう。ま、愚痴言っても何も変わらないから、できることやって生きてくしかないね」
「……ですね。ところでダンジョン攻略ギルドと冒険者ギルドと傭兵ギルドの違いを教えてもらってもいいですか?」
「あ、説明がまだだったね。ごめん」
ダンジョン攻略ギルドは、その名の通りダンジョンに入って最奥まで踏破することを目指して活動しているギルドだそうだ。
ダンジョンから持ち帰る魔物のドロップ品を売ることで成り立っているギルドらしい。
レア度が白の闘士から登録できるそうだ。
冒険者ギルドは街の便利屋さん的な立ち位置らしい。
別の街への荷物運び、商隊や馬車の護衛、近隣に現れた魔物やその集落の殲滅、ダンジョンでの調査、諜報活動など、様々な依頼をギルドが受けて、ギルドメンバーがそれをこなしていくらしい。
こちらもレア度は白からでも登録できるそうで、盗賊系のスキルを手に入れた者は大体このギルドに入るらしい。
傭兵ギルドは戦場で戦うことに特化したギルドだそうだ。
この大陸には大小二十を越える領地があり、領地の拡大を巡っての戦闘が結構あるらしく傭兵の需要は高いそうだ。
この世界にも戦える者はいるけど、他の世界から呼び出した闘士はスキルを持ってるので強いからなんだそうだ。
レア度白の攻撃スキル、または戦士スキルであったとしても、この世界で訓練した兵士よりも強くなれるから、ということらしい。
テーブルには誰も座ってなくて、カウンターには一人の赤毛の女性がいた。
「こんにちは」
『いらっしゃい。あら、あなた日本人よね? 英語は分かるかしら?』
ハーイ、ジャパニーズ、スピーク、イングリッシュくらいは聞き取れた。たぶん、日本人かどうかを聞かれてて、英語が話せるかどうかを聞かれてるんだろうな、くらいは分かる。でも、イエスとか返事をするのはなんとなくだけどしたくない。
ん~、しかし、言語理解や自動翻訳的な能力があるかと思ってたんだけど、どうやらそんなことはなかったらしい。
水晶玉の光の文字が読めたのは何だったんだろうな。
「あ~、すみません、出直します」
『待って、って言ってもずっと待たせる訳にも行かないかぁ。えっと、夜になったら誰か戻ってくると思うから、その頃にまた来てみてね!』
何かウェイトとか言われたみたいだけど、この人と二人でここに居るのは無理だ。話せないのに話しかけてきそうだし、話しかけられなくても居心地が悪そうだし。
だから僕はそのまま冒険者ギルドから外に出た。
さて、次はどこに行こうか。
そう言えばあの爺さんはギルドに話を通したと言ってたけど、なんのギルドとは言わなかったな。微妙に嫌がらせをされた感じなんだろうか。
でだ。僕は次は素直にギルド案内と書かれた建物に行ってみることにした。
中はさっきの冒険者ギルドよりも狭い。小さな診療所の待合室みたな感じだ。カウンターにいるのが黒髪の人で少し安心するが日本人とは限らない。
「すみません、ギルド案内と書かれていたので来てみたんですが」
「あ、日本の人?」
「はい」
「えっと、私は李と言います。お名前とあなたの状況を教えてもらえますか?」
「僕はフトウと言います。なんか召喚された挙げ句、ハズレと言われて追い出されました……」
「それはごしゅしょ様でした」
リーさんと名乗った男性は、少し発音があれだけど日本語で話をしてくれた。
これからのギルド案内の為にスキルを聞かれたので「武器や防具が装備できるみたいです」と伝えた。すると戦士か盗賊かなと言って、ダンジョン攻略ギルドか冒険者ギルドか傭兵ギルド、それかこの国の兵士か普通の仕事で働くという選択肢があると言われた。
この世界に召喚された者は、この世界の共通言語を理解することができるらしいので、召喚者から開放された者は普通に生活できるそうだ。
むしろ、元の世界の国の違いのせいでやりとりが難しいことの方が問題になるそうだ。
「他には開放される人、いた?」
「僕の他に三人いましたが、僕だけ先に出てきてしまったので」
「分かった。日本人?」
「ですね。全員日本人でした」
「今回は全部で何人呼ばれた? どんなスキルだたか分かるか?」
「僕が他の人の話をするのは違うと思うのでやめておきます」
「呼ばれた人数くらいならだいじょぶだよ。情報料で銀貨二枚払うよ」
まあ、確かに人数くらいなら問題ないか。既に全員日本人とか答えちゃったし。それに爺さん達からは情報を漏らすなとか制限されてないし。
「全員で十一人でした」
リーさんがカウンターテーブルに置いた銀貨二枚を受け取る。
「やぱりお得召喚か~」
「お得召喚?」
「十人分の供物で十一人召喚できるらしいよ。まるでゲームみたいにね」
「ああ、なるほど。やっぱりガチャ的な話なんですね」
「そうよ。私達はこの世界の権力者に無理矢理ここに呼ばれた。そして私もあなたも「いらない」と言って捨てられた。私が元の世界でやてたゲームのガチャと同じ……いらないキャラは合成したりポイントに変えてたね……」
僕もスマホのゲームで召喚とかしてたな。今度は僕自身がゲームのガチャキャラとして召喚されて、そしてレア度が低いキャラだから捨てられたと。まあ、この仕打ちに納得はできないけど、状況としては理解できた。
「滅茶苦茶な話ですね」
「ほんとにそう。ま、愚痴言っても何も変わらないから、できることやって生きてくしかないね」
「……ですね。ところでダンジョン攻略ギルドと冒険者ギルドと傭兵ギルドの違いを教えてもらってもいいですか?」
「あ、説明がまだだったね。ごめん」
ダンジョン攻略ギルドは、その名の通りダンジョンに入って最奥まで踏破することを目指して活動しているギルドだそうだ。
ダンジョンから持ち帰る魔物のドロップ品を売ることで成り立っているギルドらしい。
レア度が白の闘士から登録できるそうだ。
冒険者ギルドは街の便利屋さん的な立ち位置らしい。
別の街への荷物運び、商隊や馬車の護衛、近隣に現れた魔物やその集落の殲滅、ダンジョンでの調査、諜報活動など、様々な依頼をギルドが受けて、ギルドメンバーがそれをこなしていくらしい。
こちらもレア度は白からでも登録できるそうで、盗賊系のスキルを手に入れた者は大体このギルドに入るらしい。
傭兵ギルドは戦場で戦うことに特化したギルドだそうだ。
この大陸には大小二十を越える領地があり、領地の拡大を巡っての戦闘が結構あるらしく傭兵の需要は高いそうだ。
この世界にも戦える者はいるけど、他の世界から呼び出した闘士はスキルを持ってるので強いからなんだそうだ。
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