自由に自在に

もずく

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とりあえずで

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 僕はセイクリッドサークルの魔法を使った。薄青色の神秘的な光に、白いく淡く光る魔法陣が球形に広がっていく。魔物を寄せ付けない効果と、魔法陣の外からの攻撃に対してバリアの役目を果たすイメージを乗せている。
 コボルトナイトからも球形のバリアは見えているはずだけど、そこには触れずにUターンしていったので効果はちゃんと発現しているようだ。
 次に僕は、指パッチンで魔法陣を解除するイメージで指をパチンと鳴らしてみた。
 すると魔法陣がパッと薄い氷が割れて粉になって降るように消えていった。
 この魔法の発動と解除には、どちらの場合も頭痛がするレベルの疲労度が発生している。
 解除にも疲れからくる気怠さや頭痛があるのは、なんとなく損したような気がするけど、何かの現象を解除する、という魔法だと思えば当たり前なのかなとも思う。それに、慣れてしまえばほぼほぼ疲労しなくなるのが分かってるのだから、初期の労力を惜しんでやらなかったら、結局自分が損をすることになる。
 新しい魔法をより素早く、より疲労度を少なく使うには何回も何十回も使って慣れるしかないと知っているのだから、やる以外の選択肢はないのだ。

 それから、僕はコボルトキングのいる空洞に向かう道すがら、身を守る為の魔法を二つ想像して創造した。敵の攻撃を防ぐ不可視のシールドを創り出す魔法と、自動回復をするリジェネレーションだ。
 コボルトナイトと遭遇する度に新魔法を使っては、セイクリッドサークルを使って安全に休み、回復したら解除して進む。
 これを七回繰り返した後にコボルトキングのいる空洞、つまり、ボスエリアに到着した。
 途中、数時間くらい寝たので体力は万全だ。いや、嘘だ。流石にダンジョンの中、土の上で眠っても完全には元気になっていない気がする。
 でもまあ、大丈夫だろう。
 ある程度のシミュレーションをしてから、僕はボスエリアに足を踏み入れた。

 どうやら、ここではコボルトキングとコボルトナイト二匹の計三匹しか現れないようだ。
 コボルトキングは体長三メートル近くあり、威厳の有りそうな目をしている。背筋は真っ直ぐで、人間との違いはその見た目が直立するシベリアンハスキーという部分とその大きさだけだ。
 コボルトキングは両手持ちの大剣を持ち、コボルトナイトは剣と盾を持って襲いかかってきた。
 僕は新たに修得創造した魔法を早速使う。
 ダメージを自動回復するリジェネレーションを発動して、不可視のシールドを展開する。
 そして、僕は棒立ちのままで三匹からの攻撃をくらい続ける。
 そう、魔法のシールドの耐久性能の確認だ。
 見えないシールドに攻撃を弾かれたコボルト達は少し混乱しているようだ。目に見えない何かに動きを阻まれればそりゃ驚くよね。
 僕はシールドを移動して、コボルトが剣を振り切るより前の位置でコボルトの剣がシールドに当たるようにしたり、シールドを斜めにして剣が滑るようにしてみたり、色々と試してみた。
 結局、コボルトキングの攻撃では、一枚もシールドを壊されることはなかった。
 数十回の攻撃を受けても一枚も壊されなかったので、シールドの検証は終了だ。
 残念ながらというか、幸運なことにというか、リジェネレーションについての検証はできなかった。リジェネレーションには怪我の自動治癒の他に、状態異常からの回復も含んでいる。そのうち検証をしてみた……くはないけど、どこかで効果を確認してみようと思う。
「あっ」
 そういえばまだ戦闘中だった。
 考え事に耽ってしまうのは僕の悪い癖だ。

「ご協力ありがとう」

 僕はシールドの検証への強力に感謝しつつ、とりあえず、ストーンバレットを一度に百個ほど発動すると、三匹のコボルトを一気に屠った。

 相変わらず、カオスファインダーになんの反応も示さない宝箱からは、なんと、クリエイトウォーター,スクロールが出てきた。
 今更と言えば今更なんだけど、持っていれば他の人が一緒にいる時に役立つことがあるかも知れない。
 宝箱からはもう一つ、水色の魔石が手に入った。何処かに売る前に、魔石の色について何か意味がるのか確認することにしよう。どこにどんなトラップがあるか分からないからね。

 これまでの経験上、ボスキャラ討伐後のボスエリアは暫くの間、たぶん数時間は安全だ。
 でも、特に疲れているわけでもないので練習を兼ねてセイクリッドサークルを発動した。
 そして、クレアボヤンスで下に続く螺旋階段を降りて調査する。
 しばらく進むと現れたのはオーク(仮名)だ。
 ということは、やっぱり、地下二階のジャイアントスケルトンの所から降りて辿り着いた階は、地下四階だったということか。
 ある程度戦えるようになった人用のショートカットなのかも知れないな。なんの為にショートカットがあるのか意味が分からないけど。

 今回は結構時間が掛かってしまったし、できれば次の睡眠はベッドで休みたい。
 僕は、さっき見つけたオークを倒してから、地上へと戻ることにした。
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