普段高校生ゲーム実況者として活動している俺だが、最近仲良くなりつつあるVTuberが3人とも幼馴染だった件について。

水鳥川倫理

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プロローグ

第0話 ープロローグー

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【前書き】

1話3,000文字程度の目標で書いていきます!今回はプロローグなので張り切って10,000文字書いてみました!楽しく読んでもらえると幸いです!




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午前8時30分。学校のチャイムが喧しい金属音を立てて鳴り響く中、俺、目黒碧(めぐろあお)の意識は、まだ深海の底のような眠りの中に沈んでいた。瞼の裏に広がるのは、昨日クリアした難攻不落のダンジョンの残像。現実と夢の境界が曖昧なまま、重い身体をどうにか布団から引き剥がす。

「ふぁ……くそ、もう始まってるか」

時計は8時50分を示していた。始業から20分遅刻。これは俺にとって日常のルーティンであり、世間から「クズ」と称される所以の一つだ。制服に着替えながら、俺は頭の片隅で、今日の授業内容をシミュレーションする。どうせまた、担任の佐々木先生から生活態度の指導を延々と聞かされることになるだろう。その叱責はもう耳タコで、一種のBGMのようなものだった。

しかし、俺が「クズ」と称される理由は、単なる遅刻やサボりだけではなかった。問題を起こすことはほとんどない。暴力沙汰、器物破損、カンニング。どれとも無縁だ。にもかかわらず、テストでは常に学年トップクラスの高得点を叩き出す。授業中は寝ていても、教科書を開くのは試験直前の数時間だけで、それで満点近くを取る。この矛盾した生き様が、教師たちにとって最も扱いにくい存在、すなわち「何とも言えないクズ」たらしめていた。

鏡に映る自分の顔を眺める。黒髪のスポーツ刈りは、朝の光を受けて僅かに光沢を帯びている。夜空の欠片を閉じ込めたような、深く澄んだ青い瞳。感情を読み取りにくいその色は、他人からは「冷たい」と評されることもあった。小さく整った顔のバランス、芸術品のように端正な鼻と口は、我ながら悪くない出来だと思っていた。制服の下に隠れた筋肉は、過度なトレーニングの産物ではなく、日々の生活の中で自然と引き締まった細マッチョだ。他人から見れば超絶イケメンというわけではないかもしれないが、男子からは「目黒、お前また告られたのかよ」と、隠しきれない嫉妬の視線を浴びるほどには整っていたらしい。

俺の家庭は、経済的に恵まれていた。両親は多忙な会社経営者で、家にいることは滅多になく、リビングにはいつも静寂が満ちていた。しかし、そのことに寂しさを感じることはなかった。たまに家事をしにやってくる祖母の温かい手料理と、学校での充実した人間関係が、俺の心を常に満たしてくれていたからだ。一人っ子である俺は、特に兄弟が欲しいと思ったこともない。学校では、気の置けない友人たちとじゃれ合い、一緒に昼食を囲み、放課後にはゲームに熱中する。いじめとは無縁の、風が運ぶように順風満帆な青春を謳歌しているように見えた。

だが、俺には誰にも明かせない、二つの大きな秘密があった。そして、その秘密こそが、俺の「クズ」という仮面の下に隠された、本当の顔だった。



俺の一つ目の秘密は、俺がマスク姿にサングラスを着用し、「椎崎(しいざき)」という名前で活動する、高校生ゲーム実況者であることだった。

その影響力は凄まじい。YouTubeのチャンネル登録者数は158万人、Twitchのフォロワーは80万人、Twitterのフォロワーは200万人、そしてTikTokのフォロワーは300万人。これらの数字は、俺がネットの世界でどれほどのカリスマ性を放っているかを物語っていた。学校での「クズ」な目黒碧とは、完全に切り離された別人格だ。

配信中の俺は、まるで別人だった。普段の眠たげで無気力な顔はそこになく、代わりに、圧倒的なゲームスキルと軽妙なトーク、そして時折見せるユーモアが、数えきれないほどのファンを魅了していた。最新のFPSゲームでは、プロ顔負けのエイム力で敵を圧倒し、複雑なパズルゲームでは、その思考回路の速さで視聴者を驚愕させた。

「やっほー、椎崎でーす。今日も元気にサクッとダンジョン攻略してくよ。あれ?このトラップ、初見殺しじゃん。てか、製作者くん、これ性格悪すぎだろwwwまあ、俺には関係ないけどね、秒でクリアしてやるよ」

配信中は常に素顔を隠し、声色も、地声よりワントーン低く、少しエコーをかけるように加工している。そのため、俺が高校生であること、ましてや目黒碧本人であることに気づく者は一人もいなかった。この匿名性が、俺にとっての絶対的な自由であり、心の解放区だった。

さらに俺は料理も得意で、配信中に手際よく包丁を扱い、美味しそうな料理を作り出す「飯テロ」配信は、ファンをさらに熱狂させた。昨晩も、コメント欄で「椎崎さん、そのチャーハン、エグい音してますよ!」「深夜に見る飯テロは犯罪だろ!」といった絶叫が飛び交っていた。

この料理の腕前は、普段の生活でも役立っていた。幼馴染たちに毎日お弁当を作ってやるのも、俺の日課であり、密かな楽しみだった。彼女たちの笑顔を見たいという動機が、俺をキッチンへと向かわせた。

配信は、俺の内なる情熱と才能が爆発する場所であり、俺にとってのもう一つの「居場所」だった。そこでは、遅刻癖のある「クズ」ではなく、百万の視聴者から尊敬と憧憬を集める「カリスマ」として存在することができた。



二つ目の秘密は、俺には三人の超絶可愛い幼馴染がいることだった。しかも、彼女たちとは家が近所で、親同士も仲が良い。保育園の頃からずっと一緒で、現在の高校に至るまで、文字通り毎日を共に過ごしてきた。

そして、俺たちの絆をより一層深いものにしていたのは、奇跡的な偶然だ。俺と彼女たちは全員が同じ誕生日、5月10日に、同じ病院で同じ時間帯に生まれた。母親たちが同じ病室で出産を終え、新生児室で四人が並んでいる様子を、親たちは運命だと笑い合ったという。この偶然は、俺たち四人を血の繋がりにも似た、特別な関係で結びつけていた。

学校では、幼馴染たちと話していると、周囲からの嫉妬の視線が痛いほど突き刺さるため、俺は極力控えめに会話することを心がけていた。彼女たちは俺のクラスとは別だが、休み時間になるたびに、三人揃って俺のクラスに押しかけてくる。

「ね、ねぇ、碧、今日の古文のテスト、難しかったよね?別に、碧が心配で来たわけじゃないんだから!」(七瀬) 

「碧、さっき体育館裏で貴方のことを話している女子がいたわ。あれは無視してちょうだいね」(椎名) 

「碧、お疲れ様。私、碧の顔を見に来ただけ。少し休んでね、碧」(美波)

彼女たちは周囲の視線など全く気にすることなく、俺にベタベタとくっつき、デレデレとした表情を見せるのだ。正直なところ、俺は学校ではくっつかないでほしいと思っている。その度に、教室のあちこちから突き刺さる冷ややかな視線に、俺は居心地の悪さを感じていた。それでも、彼女たちの俺を慕う気持ちは、ひしひしと伝わってくる。

家に帰れば、そんな遠慮は一切必要ない。俺たちは思う存分話し、ゲームに熱中し、幼馴染ならではの親密な時間を過ごす。俺の作った弁当を囲んで、他愛もない話をする時間は、俺にとって何よりもかけがえのないものだった。

この三人の幼馴染は、俺の日常を彩る、かけがえのない存在だ。彼女たちの笑顔を見ていると、自然と俺の心も温かくなる。

俺には誰にも明かしていない「椎崎」としての秘密があるが、まさか彼女たちにも同じように、俺が知らないもう一つの顔があるとは、この時の俺は夢にも思っていなかった。



碧の家の左隣に住む習志野七瀬(ならしのななせ)は、まるで陽光を閉じ込めたような明るい笑顔が印象的な少女だった。肩に触れるほどのボブヘアーのサイドには、いつも手のひらと同じくらいの大きさの蝶々形のリボンを左右に一つずつ付けており、それが彼女のトレードマークとなっていた。年相応の元気な顔立ちで、その明るさと愛らしさで、クラスのムードメーカー的存在。常に周囲を明るく照らす彼女は、学校の人気者だった。

彼女の身体的な魅力は、健康的で引き締まった身体つきに凝縮されていた。身長158cm、体重48kg。バストはEカップ(88cm)、ウエストは60cm、ヒップは90cmと、均整の取れたスタイルを誇っていた。特に、制服のブラウスの上からでもわかる豊満な胸元は、思春期の男子である碧の視線を度々引きつけ、どこか気まずいような、それでいて目が離せないような複雑な感情を抱かせていた。

彼女の性格は、何に対しても負けん気が強く、一度決めたことは最後までやり遂げる芯の強さがある。学校では常にしっかり者として振る舞い、周囲の信頼も厚いが、碧に対しては極端に振れ幅の大きい感情を見せる。



「べ、別に気にしてないんだから!ただ、あんな子と話してたら、碧のレベルが下がるんじゃないかと思って心配しただけよ!」

これは、休み時間に俺がクラスの女子と進路の話をしていた時の七瀬のセリフだ。頬を膨らませて拗ねてみせる様子は、完全にツンデレの教科書通り。周囲の男子生徒の「くっ、七瀬がデレてる目黒が憎い」という視線が、教室の空気のように重くなる。



しかし、一度二人きりになり、特に俺の部屋に入ると、七瀬の態度は一変する。

「ねぇ、碧、私と一緒にいてよ。他の子なんかどうでもいいでしょ」

小さな声で囁きながら、俺の腕に抱きつき、甘えたような表情を見せる。その小さな独占欲を感じさせる言動に、俺は思わず頬を緩ませてしまう。「ああ、俺は七瀬にとって本当に大切な存在なんだな」と実感し、心が温かくなるのだった。



彼女は「神志名鈴香(かみしなすずか)」という名前で、VTuber事務所「Virtual One」に所属する人気VTuberとしても活動している。YouTubeのチャンネル登録者数は85万人、Twitterのフォロワーは95万人。彼女の配信は、元気いっぱいの明るい声と、視聴者との距離の近さを感じるフレンドリーなトークが特徴だった。

主にゲーム実況を行い、持ち前の負けん気でどんな難しいゲームにも果敢に挑戦する姿がファンを惹きつけていたが、彼女は配信中、無意識に憧れを漏らすことがあった。

『いやー、このボス本当に強すぎ!でも負けない!よし、次はこう動こう……うーん、やっぱ碧くんみたいに上手くなりたいなぁ!そしたらもっとみんなに私のかっこいいところ見せられるのに!』

七瀬が憧れる「碧くん」が、他でもない自分自身だとは、彼は露ほども知らなかった。



ある日の放課後、碧の自室で新作のRPGをプレイしていた時のことだ。七瀬は碧の隣に座り、コントローラーを握る俺の手元を覗き込んでいた。

「な、何よ!別に碧の隣に座りたかったわけじゃないんだからね!たまたまここが空いてただけよ!」

七瀬はそうツンとしながらも、ソファの上で俺との距離は限りなく近い。彼女の甘い石鹸の香りが、俺の鼻腔をくすぐる。俺が集中してゲームをプレイしていると、七瀬はそっと俺の肩に頭を乗せ、髪が俺の首筋に触れる。

「ねぇ、碧。このボス、全然クリアできないんだけど、どうしたらいいの?私、ゲームスキルが全然なくて困っちゃう…」

碧は画面から目を離さず、「もう少し落ち着いて、敵の動きを見れば大丈夫だろ」と、ややぶっきらぼうに答える。すると七瀬は不満そうに俺の腕にぎゅっと抱きつき、頬を擦り寄せてきた。

「碧はいつもそう!もっと優しく教えてよ~。私のこと、もっと大事にしてよね!」

まるで子犬のように駄々をこねる七瀬に、俺は思わず苦笑し、片手でゲームを続けながら、もう片方の手で七瀬の頭を優しく撫でた。七瀬は満足そうに目を閉じ、俺の温かい手に頬を擦り寄せた。

「碧の手、あったかくて気持ちいい…このまま寝ちゃいそう」

うっとりとした七瀬の声が、静かな部屋に響く。彼女の身体の柔らかさと体温が腕を通して伝わってきて、俺の心臓は小さく跳ねた。



碧の家の右隣に住む幕張椎名(まくはりしいな)は、誰もが息をのむような美しさを纏った少女だった。艶やかな黒髪のロングヘアーは、その透き通るような白い肌と相まって、清楚で品のある雰囲気を醸し出していた。小顔で、顔のパーツは完璧なまでに整っており、その美しさは学校の女子生徒たちからも「椎名様」と崇められるほどだった。

彼女のプロポーションは、天性のものだった。身長165cm、体重52kg。すらりとした手足に、Hカップ(95cm)という驚異的なバストライン、ウエストは58cm、ヒップは92cmを持つ、モデルのようなプロポーションだ。制服の上からでもわかるその抜群のスタイルは、女子生徒たちの憧れの的であり、男子生徒たちの視線を釘付けにしていた。

椎名の周りには常に告白を試みる男子生徒が後を絶たなかったが、彼女はそれを虫けらを見るかのような冷ややかな目で一蹴していた。

「あなたと私では、住む世界が違うわ。これ以上、馴れ馴れしくしないで」

その冷徹な言葉と、氷のような瞳に晒された男子生徒は、二度と彼女に近づくことができなくなる。生徒会の副会長を務め、成績も常にトップクラスの彼女は、周囲には完璧な優等生として振る舞っていた。

しかし、碧の前ではその冷徹さは鳴りを潜める。親密な間柄で呼ぶように「碧」と呼び捨てにし、常に穏やかで優しい言葉遣いで話す。豊富な知識と才能に恵まれた彼女は、どんなことでも3日あればそれなりに習得できるという驚異的な才能の持ち主でもあった。

その完璧さの裏には、碧への強い独占欲を持つ、軽いメンヘラ気質を隠し持っていた。彼女の愛情は深く、重く、そして狂おしいほどだった。

「碧、今日は誰と話していたの?あの女子、碧に妙に馴れ馴れしかったわね。あまり他の人と親しくしないでちょうだい」

放課後、俺の家の玄関で、椎名が問い詰めるように聞いてくる。彼女は俺の行動を逐一把握しようとする。俺が少しでも他の女子と親しくしていると、露骨に不機嫌になり、その表情は一瞬で冷徹な美貌へと戻ってしまう。その冷たい視線に、俺は時折たじろぐこともあった。



彼女は「神楽坂遥(かぐらざかはるか)」という名前で、VTuber事務所「あおぞらProduction」に所属するVTuberとして活動している。YouTubeのチャンネル登録者数は75万人、Twitterのフォロワーは80万人。彼女の配信は、その美しい容姿とは裏腹に、時に毒舌を交えながらも、知的なゲームプレイと落ち着いたトーンのトークが特徴だった。

椎名は配信中、無意識に碧とのエピソードを挟み込んでしまうことがあった。

『おすすめのゲーム?そうね……私が最近、碧と一緒にプレイしたあのシミュレーションゲームはとても面白かったわ。ふふ、碧はすぐに詰まってしまって、私が解決してあげたのだけど。あなたたちも試してみては?』

椎名の口から出る「碧」という単語に、コメント欄は「彼氏!?」「イケメンとゲーム!?」と騒然とするが、椎名は涼しい顔で「ただの幼馴染よ」と一蹴する。しかし、その言葉の裏には、碧を独り占めしている優越感が滲み出ていた。



ある日の夕方、碧の部屋で一緒に課題をしていた時のことだ。椎名は俺の隣に座り、黙々と参考書を読んでいた。窓から差し込む夕日が、彼女の艶やかな黒髪をオレンジ色に染めていた。

俺がふと顔を上げると、椎名がじっと俺の顔を見つめていることに気づいた。その視線は熱を帯びていて、俺の心臓を一瞬鷲掴みにした。

「どうしたんだ、椎名?」

俺が尋ねると、椎名は何も言わずに、そっと俺の頬に手を伸ばし、優しく触れた。

「…別に。ただ、碧の顔を見ていただけよ。あなたの顔を見ていると、落ち着くの。本当に、いつまでも見ていられるわ」

そして、さらに碧の顔に近づくと、その距離は限りなくゼロに近づいた。彼女の吐息が、俺の頬にかかる。

「碧、ずっと私のことだけを見ていてね。他の誰かに、あなたの視線を奪われたくはないわ。…もし、奪おうとする者がいたら、私がどうするかわからないもの」

その瞳には、強い独占欲と、碧への深く、重い愛情が宿っていた。その言葉は、優しさの中に、狂気じみた執着を隠し持っていた。



碧の家の正面に住む検見川浜美波(けみがわはまみなみ)は、クールな中に可愛らしさを秘めた魅力的な少女だった。鮮やかな紫色のショートウルフヘアは、彼女の個性的な雰囲気を際立たせていた。その艶やかな髪を優しく抱きしめるように、黒いベルベットのカチューシャがそこにあった。カチューシャには、まるで夜空の片隅から迷い込んだかのような、小さな蝶たちが、金色の光を帯びて羽ばたいている。小顔で可愛らしい顔立ちに、控えめなクール系のメイクを施しており、クラスでは「かっこいいイケメン女子」として人気を集めていた。

彼女の身長は160cm、体重は50kg。全体的にバランスの取れた引き締まった体つきで、バストはDカップ(85cm)、ウエストは62cm、ヒップは91cmという、健康的で均整の取れたスタイルをしていた。

彼女の振る舞いは、場所によって大きく変わる。



普段は誰にでも優しく接し、時には厳しく言うメリハリのある性格で、学校では温厚で年上のお姉さんのような振る舞いをしていた。俺に対しても、学校では「碧」と呼び、クールで落ち着いた態度を崩さない。



しかし、放課後、俺の家に来るとその姿は一変する。

「碧にぃ、おかえり。今日もお弁当、すごく美味しかったよ」

まるで小さな妹のような甘えん坊になるのだ。その甘えの裏には、碧への強い執着と、少しばかりのヤンデレ気質を隠し持っていた。碧が他の誰かと仲良くしているのを見ると、彼女の表情は一瞬にして凍りつき、その青い瞳は冷たい視線を送る。それはまるで、獲物を狙うハンターのようだ。



彼女は「雲雀川美桜(ひばりがわみお)」という名前で、VTuber事務所「Virtual Network」に所属するVTuberとして活動している。YouTubeのチャンネル登録者数は100万人、Twitterのフォロワーは120万人。彼女の配信は、クールな声色と、ゲームに対する真摯な姿勢が特徴だった。

美波は配信中、視聴者から「美桜ちゃんはどんなゲームが好き?」と聞かれると、いつもより声のトーンを下げ、静かに答える。

『私が好きなゲーム、ですか?うーん……私、大切な人と一緒にやるゲームなら何でも好きだよ。その人がいるだけで、どんなクソゲーでも神ゲーになるって思わない?』

大切な人、つまり碧とのゲームを匂わせる発言に、ファンは「匂わせ?匂わせ!?」と興奮するが、美波はそれ以上深く語ることはない。しかし、その瞳には、碧への深い愛情と、決して手放したくないという強い感情が秘められていた。



ある日の夜、碧の部屋で4人で最新のサバイバルゲームをしていた時のことだ。七瀬と椎名はコントローラーを握って夢中になっているが、美波は俺の隣にぴったりと寄り添い、俺の腕に自分の頭を押し付けていた。

「碧にぃ、このステージ、すごく難しいね。私、もうダメかも…」

美波は俺の腕にさらに顔を埋め、甘えるような声を出す。その声は、クールな外見からは想像もできない、まるで子猫の鳴き声のようにか細い。その柔らかい髪と体温が、俺の腕を包み込む。

俺は美波の頭を優しく撫でながら、「大丈夫だろ。美波ならできる。もう少しだ」と励ます。

「碧にぃがそばにいてくれると、私、頑張れる気がするよ」

美波の瞳は、俺の背中に向けられ、その奥には、俺への深い愛情と、決して手放したくないという強い感情が秘められていた。その視線は、まるで鎖のように俺を捉えて離さない。



俺たち4人の日常は、学校と家での生活を中心に、それぞれの秘密が交錯しながら回っていた。

昼休み、賑やかな喧騒が渦巻く俺のクラスの扉が、勢いよく開け放たれた。そこに立っていたのは、陽光のような笑顔を弾けさせた七瀬だ。

「碧!ねぇ碧!今日の昼休み、一緒に新作ゲームやろ!別に、碧のことが好きだから誘ってるわけじゃないんだからね!たまたまよ、たまたま!」

七瀬は、周囲の視線など全く気にすることなく、俺の席まで一直線にやってきた。そして、俺の腕にがしっと抱きつき、その顔は喜びで満ち溢れていた。七瀬の温かい体温と、甘い香りが一気に俺の周囲を支配する。

俺は苦笑しながらも、「わかったから、あんまりくっつくなよ。周りの目が痛いんだから」と小声で七瀬に促す。周囲の男子たちの、殺気立ったような冷たい視線が、教室の隅々から突き刺さる。

しかし七瀬は「え~、いいじゃん!私が碧のクラスの子たちを牽制してるの!私が独り占めしないと、誰かに取られちゃうでしょ!」と、ツンデレ全開でさらに俺に抱きつき、その無邪気な言葉に俺は思わず顔を赤らめた。

その直後、教室の入口に、優雅な足取りで椎名が入ってきた。彼女の登場に、教室の喧騒が一瞬静まる。七瀬が俺に抱きついているのを見ると、椎名の瞳が一瞬だけ鋭い光を放ったのを、俺は見逃さなかった。その瞳には、明確な「排除」の感情が込められていた。

「七瀬、少しは遠慮しなさい。碧が困っているでしょう」

椎名は、静かだが有無を言わせない口調で七瀬を制止する。そして、七瀬を俺の腕から引き剥がすと、今度は自分が俺の隣に立つ。その動作は流れるようにスムーズで、七瀬に反論の隙を与えない。

「碧、今日の弁当もありがとう。本当に美味しかったわ。私、碧の料理が一番好きよ。他の人の弁当なんて、もう食べられないわね」

椎名は、周囲には聞こえないくらいの声で、甘えるように俺に囁きながら、俺の腕に自分の腕を絡ませた。その完璧な美貌と、俺への親密な態度のギャップに、周囲の生徒たちはただ息をのむ。

「それに、碧。貴方の今日の行動は全て把握しているわ。午後は私のそばから離れないでね。よろしい?」

最後に、美波が静かに教室に入ってきた。美波は俺の隣に立つと、椎名の腕から離れるように、俺の肩にそっと顔をうずめた。

「碧、今日も疲れてる?顔が少し曇ってるみたい」

美波の声は、クールな印象とはかけ離れた、まるで子猫の鳴き声のようにか細い。

「美波、碧に会いたかった。私、碧がいないと寂しいんだからね」

その言葉に、俺の顔は赤く染まった。美波は、俺の制服の裾をそっと掴み、俺の顔を覗き込むように見上げる。その瞳は、純粋な妹の愛情と、強い執着を同時に含んでいた。

「碧、私のこと、ずっと一番に考えてくれるよね?ね、碧にぃ」

美波の「碧にぃ」という呼び方は、学校で聞くと、まるで心臓を直接掴まれるような衝撃がある。俺はその瞳から逃れるように、頷くしかなかった。



家に帰れば、そんな学校での遠慮は一切必要ない。俺たちはリビングに集まり、俺が作った夕食を囲んだ。今日のメニューは、配信でも好評だった特製ハンバーグだ。肉汁が溢れるハンバーグに、三人の顔が自然と綻ぶ。

「今日のハンバーグ、肉汁がヤバいよ!やっぱり碧の飯テロは最高だね!」

七瀬は興奮冷めやらぬ様子で、夕食を食べながらゲームの話を切り出した。

「今日の『椎崎』の配信、あのダンジョン攻略、めっちゃ痺れたよ!私があんな風にサクサク進めたら、もっとみんなに注目されるのにな!」

七瀬が語っているのは、他でもない俺のもう一つの顔だ。俺は内心ヒヤヒヤしながらも、涼しい顔で「へぇ、そうなんだ」と相槌を打つ。

「七瀬、口の中のものを飲み込んでから話しなさい」椎名が優雅にフォークを置き、冷静な口調で「椎崎」を分析し始めた。「あの『椎崎』という実況者、本当にすごいわね。ゲームの知識も豊富で、状況判断も的確。昨日のあの場面、彼は僅か0.5秒で敵の行動パターンを読み切ったわ。彼ほどの才能があれば、どんなゲームでも攻略できるでしょうね。私も彼の頭脳を尊敬しているわ」

椎名の言葉を聞くたびに、俺は背筋が凍るような思いをする。椎名は俺たちの共通の友人であり、ゲーム仲間である「椎崎」のことを、尊敬の眼差しで見ているのだ。もし、彼女に俺が椎崎だとバレたら、この完璧な優等生がどんな反応をするのか、想像もできなかった。

その時、美波が俺の隣に座り直し、俺の腕に抱きつきながら、上目遣いで尋ねてきた。

「碧にぃ、私も、『椎崎』さんの配信、毎日見てるよ。あの声、なんか落ち着くんだよね。友達がね、『碧にぃの声と似てる』って言ってたんだけど…そんなことないよね?」

その一言で、俺の心臓は一気に凍りついた。

「な、何を言ってるんだよ、美波。俺の声と、あの『椎崎』の声が似てるなんて…そんなことないだろ。あいつは声も加工してるし、俺と声質が全く違うだろ」

俺は必死に動揺を隠し、作り笑顔で否定する。手のひらにじんわりと汗が滲むのを感じた。

美波は俺の腕に顔を埋め、少し寂しそうに呟いた。

「そっか…そうだよね。私の勘違いだったみたい。でもね、碧にぃ。もし碧にぃが、誰にも言えない秘密を抱えていたとしても、私は、碧にぃの味方だよ。どんな碧にぃでも、私は全部受け入れるからね」

その言葉は、俺の秘密をすべて見透かしているようで、俺の心臓を強く締め付けた。美波はヤンデレ気質を隠し持っているが、その根底にあるのは、俺への揺るぎない愛情と執着だ。

七瀬は「え~、似てるかな?私には全然わからないけど!碧は椎崎より声が低いもん!」と、明るく否定する。椎名も「そうね。声質は全然違うわ。美波、疲れてるんじゃない?」と、美波の発言を流した。

俺たちの日常は、こんな風に、それぞれの秘密が交錯しながらも、温かく、そして甘い時間で満たされていた。三人の幼馴染たちは、俺にとってかけがえのない存在だった。彼女たちの笑顔と、デレデレとした甘えも、時に見せる強い独占欲も、俺の心を温かく満たしてくれた。



俺が抱える「椎崎」としての秘密。そして、幼馴染三人が抱える「VTuber」としての秘密。俺たち四人は、互いの秘密を知らないまま、最も親密な関係を築いている。

もし、この四重の秘密が、たった一つの些細なきっかけで交錯してしまったら?

「クズ」の仮面を被ったカリスマ実況者と、ツンデレ、メンヘラ、ヤンデレの顔を持つ人気VTuber。

彼らの絆は、この先どうなっていくのだろうか?秘密が明かされた時、その甘くて、時に切ない恋愛模様は、一体どんな結末を迎えるのだろうか。俺は、その未来を想像しながら、美波の頭を優しく撫で、夜の闇に沈む幼馴染たちの家を見つめていた。
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一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

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