【完結】呪いのせいで無言になったら、冷たかった婚約者が溺愛モードになりました。

里海慧

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14話 まさかの相思相愛でしたわ!!!!②


 その翌朝、早速ライオネル様が手配した女性魔道士がやってきた。

 魔道士とは魔法を生業とする人たちで、魔法連盟が認定しているプロの魔法使いだ。身分は関係なく実力のみを問われるので、数は少ないが腕に間違いはない。その最高峰とも言われる『マジックエンペラー』の認定を受ければ、国王でも頭を下げるほどの存在になる。
 その代わり依頼するとなると高額な料金が発生するから、滅多なことでは頼まない。

 ああ、費用なんて気にせず、すぐに治せというのね。こんなところでもライオネル様の愛を感じますわっ!

 自分に都合よく捉えて魔道士に言われた通り、ソファーに腰かけてリラックスする。魔道士は簡単に挨拶だけ済ませると、すぐにわたくしの痛みの原因を探った。

「うわっ、よくこんな呪いをかけられて無事でしたね!? どんな恨みを買ったんですか?」

 呪い? わたくしのこの症状は呪いでしたの!?

 わたくしが驚いていると、呪いを解きながら魔道士が説明してくれる。

「呪いには治癒魔法が効かないから、今までつらかったでしょう。幸い守護の魔法が働いてるからすぐに解呪できますよ」

 そう言って、わたくしに手をかざしてたったひと言呪文を唱える。

解呪ディスペル

 それだけで、わたくしの歯の痛みは綺麗さっぱりなくなった。

「えっ! もう痛くないですわ!」
「うん、よかった。もう大丈夫ですよ。ああ、呪いについては本人にちゃんと返しておいたので心配いりません」
「まあ、本当にありがとうございます! あの、よかったらお茶に付き合っていただけませんか? 少し聞きたいこともございますの」

 女性魔道士はひと仕事終えて、反対側のソファーに腰を下ろした。メイドが用意したお茶に口をつけて微笑む。

「あの、呪いですとか守護の魔法ですとか……どういうことですの?」
「そうですね。私がわかるのは強烈な恨みをもとに、放置すれば死に至る呪いがかけられていました。やり方が古臭かったので、おそらく古代魔道具を使ったものでしょう」
「そうでしたの……恨みというか、嫉妬や妬みなら心当たりがありますわ」

 わたくしがライオネル様の婚約者だと気に入らない人たちならたくさんいるのだ。お陰でライオネル様本心が聞けてラッキーでしたけれど。

「では、守護の魔法というのはどういうことですの?」
「そのブレスレットについているのは魔石です。緊急時に何者からも守る守護の魔法……マジックバリアみたいなものが発動する仕組みになっています。少なくとも二度は呪いをかけられていますね」
「そういうことでしたの」

 ライオネル様の慧眼と優しさに、心がぽかぽかと温かくなる。どうしましょう、わたくしはこんなに幸せでいいのかしら?

「ふふっ、婚約者様に深く愛されてるのですね。羨ましいです」
「い、いえ、そんな愛されてるだなんて……」

 そんな風に言葉にされると、急に恥ずかしくなってしまう。なにせ自覚したのは昨日のことだ。

「今回の依頼も女性の魔道士でご指定されてたし、なによりそのブレスレット守護の魔法はハンパなく強力ですよ」
「え? ライオネル様は女性で指定されたのですか? それにそんなに強い魔法が込められてますの?」
「ええ、なんでも愛しの婚約者様に他の男が触れるのは許せないって、倍額払うから女性にしろと言ってたんですよ。それにそのブレスレットに国宝レベルの守護の魔法が込められています」

 思ってもいない情報に頭がついていかない。
 そんな嫉妬をするくらいライオネル様は思ってくれていましたの!? しかもこのブレスレットの守護の魔法は国宝級でしたの!?

「よほど大切な方でなければ、ここまでできませんよ」
「そ、そうでしたの……」

 つまりだ。ライオネル様はこのプレゼントを用意してくれた時から、大切にしてくれていたのだ。
 このプレゼントは七歳の誕生日にもらったものだ。ということは、本当に昔からわたくしを想ってくれていた?

 わたくしの頭の中を、過去の記憶が走り抜けていく。
 確かに態度はそっけないけれど、その行動はまるでわたくしが宝物だと言わんばかりでしたわね?

 どんな遅くても馬車で送ってくれたし、茶会や夜会のために贈ってくれたドレスは必ずアクアマリン宝石が飾られていたり薄いブルーやシルバーのお色でしたわ。
 ほかの男子生徒と話していると、いつの間にか後ろにいていつもより機嫌が悪そうでしたわ。

 なんてことっ! なんてもったいない勘違いをしていたのかしら!!
 一生の不覚ですわ——!!!!

 その後もライオネル様の言動を思い返し、喜んでは後悔して全然眠れなかった。


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