47 / 62
47話 ライオネル様がブチ切れてますわ!!②
「僕がマジックエンペラーになった証か。いいだろう、特別にお前にこのローブを着せてやる」
「そんなことをして何の意味があるのだ!」
「魔法連盟で渡されるローブは魔道具の一種で、不正利用防止のため持ち主しか着れないようになっている。持ち主以外が着ればどうなるか、試してみよう。リア、少し待っていて」
わたくしたちの周りの結界を解いて、名残惜しそうに離れるライル様にキュンキュンしてしまう。
ライル様は無駄のない動きで優雅にローブを脱ぎ、国王陛下の肩に乗せた。次の瞬間、バリバリバリッと空気を切り裂くような大きな音がしたかと思ったら、国王陛下が白目を剥いていた。
身体のあちこちから白煙が上っていて、どうやら雷魔法を食らったようである。
「へえ、初めて試してみたけど、こうなるのか。でも、これで僕が本物のマジックエンペラーだと、わかってくれたね? 次に余計なことを言えば、王女と同じく凍らせる」
サラッと治癒魔法をかけて国王陛下を正気に戻したライル様は、冷酷な微笑みを浮かべて会場を見渡した。
「他に僕を疑う者はいないか? では、この場で誰に敬意を払うべきか、聡明な君たちならわかるだろう?」
ライル様が、黒くて冷たいオーラを放つライル様が素敵すぎるっ! といつものように恍惚感に浸っていた。
「お、おい! 俺は……俺だって、ハーミリアを愛してるんだ! このまま引くことはできない!」
なんと先ほど説得したはずのクリストファー殿下が立ち上がった。どうしてそのまま引き下がってくれないのか、頭が痛くなってくる。
ただでさえ見られただけで凍りついてしまいそうなライル様の視線に、明確な敵意がにじんでいた。
「そうか、お前がリアに言い寄っていた帝国の第二皇子か」
「っ! ここで俺と勝負しろ! 勝った方がハーミリアの婚約者だ!」
そこでライル様が指を鳴らすと、会場中の氷が消え去った。
「わかった、決闘だな。そうだな……魔法で勝負するのはフェアではないな。剣の勝負でいいか?」
「勝負は一度きりだ」
「ちょうどいい、ここにいる者たちには証人になってもらおう。危険が及ばないように結界も必要か」
ライル様が手をひと振りすれば会場の貴族たちは転移魔法で壁際に移動させられ、ぽっかりと開いたダンススペースに結界が張られた。その中央でふたりは騎士から借りた剣を構えている。
そんな人を景品みたいに扱うなと声を大にして言いたかったけど、ライル様に微笑まれてうっとりしていたら真剣勝負が始まってしまった。
ライル様が負けるわけないと信じてるけど、少し分が悪い。だってライル様は唯一剣が苦手なのだ。昔から優しすぎて強く攻め込むことができなくて、いつも負けていた。
キィンッと金属音が響く。
帝国の皇子というだけあって、その荒々しい剣さばきは力強い。パワーに押されて引けばジリジリと追い詰められていく。
だけどライル様の剣筋は無駄がなくスマートで、相手の隙をついて的確なダメージを与えていった。
そうだ、つまり強く攻め込むことができれば、ライル様は剣でも敵なしだったのだ。
ひときわ高い金属音が響き、首元に切っ先を突きつけられたクリストファー殿下が膝をついた。
ライル様の勝利だ。
「僕の勝ちだ。二度とリアに近づくな」
「くそっ……! 俺だって、本気で愛してたんだ……!」
「リアへの愛なら僕は誰にも負けない」
観戦していた貴族たちがざわざわと騒ぎ出す。
ここまでとんでもない展開の夜会になるなんて想像すらしてなかった。でもわたくしにとっては、最高の夜会だ。
愛するライル様に再会できた。
わたくしのために命の危険もある試験に挑み、見事資格をその手にしてきた。
わたくしの涙を止めるために、触れるようなキスを額にしてくれた。
「いいか、この場にいる全員に宣言する! ハーミリア・マルグレンは僕の婚約者だ! 僕たちの邪魔をするなら、容赦せず全力で排除する!!」
そして、ライル様のすべてでわたくしを守ってくれた。
あああああ!! わたくしのライル様が、カッコよすぎますわ——っ!!!!
あなたにおすすめの小説
傷物令嬢は騎士に夢をみるのを諦めました
みん
恋愛
伯爵家の長女シルフィーは、5歳の時に魔力暴走を起こし、その時の記憶を失ってしまっていた。そして、そのせいで魔力も殆ど無くなってしまい、その時についてしまった傷痕が体に残ってしまった。その為、領地に済む祖父母と叔母と一緒に療養を兼ねてそのまま領地で過ごす事にしたのだが…。
ゆるっと設定なので、温かい気持ちで読んでもらえると幸いです。
世界の現実は、理不尽で残酷だ――平等など存在しない
こもど
恋愛
「学園内は、身分に関係なく平等であるべきです」
その“正義”が、王国を崩しかけた。
王太子ルイスは、貴族学院で平民出身の聖女マリアがいじめられたと信じ、
婚約者である公爵令嬢アリエノール・ダキテーヌを断罪し、婚約破棄を宣言する。
だが――
たとえそれが事実であったとしても、
それは婚約破棄の正当な理由にはならなかった。
貴族社会において、婚約とは恋愛ではない。
それは契約であり、権力であり、国家の均衡そのものだ。
「世界は、残酷で不平等なのです」
その現実を理解しないまま振るわれた“善意の正義”は、
王太子の廃嫡、聖女の幽閉、王家と公爵家の決定的な断絶を招く。
婚約破棄は恋愛劇では終わらない。
それは、国家が牙を剥く瞬間だ。
本作は、
「いじめられたという事実があっても、それは免罪符にはならない」
「平等を信じた者が、最も残酷な結末に辿り着く」
そんな現実を、徹底して描く。
――これは、ざまぁではない。
誰も救われない、残酷な現実の物語である。
※本作は中世ヨーロッパをモデルにしたフィクションです。
学園制度・男女共学などは史実とは異なりますが、
権力構造と政治的判断の冷酷さを重視して描いています。
---
【完結】ヒーローとヒロインの為に殺される脇役令嬢ですが、その運命変えさせて頂きます!
Rohdea
恋愛
──“私”がいなくなれば、あなたには幸せが待っている……でも、このまま大人しく殺されるのはごめんです!!
男爵令嬢のソフィアは、ある日、この世界がかつての自分が愛読していた小説の世界である事を思い出した。
そんな今の自分はなんと物語の序盤で殺されてしまう脇役令嬢!
そして、そんな自分の“死”が物語の主人公であるヒーローとヒロインを結び付けるきっかけとなるらしい。
どうして私が見ず知らずのヒーローとヒロインの為に殺されなくてはならないの?
ヒーローとヒロインには悪いけど……この運命、変えさせて頂きます!
しかし、物語通りに話が進もうとしていて困ったソフィアは、
物語のヒーローにあるお願いをする為に会いにいく事にしたけれど……
2022.4.7
予定より長くなったので短編から長編に変更しました!(スミマセン)
《追記》たくさんの感想コメントありがとうございます!
とても嬉しくて、全部楽しく笑いながら読んでいます。
ですが、実は今週は仕事がとても忙しくて(休みが……)その為、現在全く返信が出来ず……本当にすみません。
よければ、もう少しこのフニフニ話にお付き合い下さい。
【完結】ルイーズの献身~世話焼き令嬢は婚約者に見切りをつけて完璧侍女を目指します!~
青依香伽
恋愛
ルイーズは婚約者を幼少の頃から家族のように大切に思っていた
そこに男女の情はなかったが、将来的には伴侶になるのだからとルイーズなりに尽くしてきた
しかし彼にとってルイーズの献身は余計なお世話でしかなかったのだろう
婚約者の裏切りにより人生の転換期を迎えるルイーズ
婚約者との別れを選択したルイーズは完璧な侍女になることができるのか
この物語は様々な人たちとの出会いによって、成長していく女の子のお話
*更新は不定期です
*加筆修正中です
旦那様、政略結婚ですので離婚しましょう
おてんば松尾
恋愛
王命により政略結婚したアイリス。
本来ならば皆に祝福され幸せの絶頂を味わっているはずなのにそうはならなかった。
初夜の場で夫の公爵であるスノウに「今日は疲れただろう。もう少し互いの事を知って、納得した上で夫婦として閨を共にするべきだ」と言われ寝室に一人残されてしまった。
翌日から夫は仕事で屋敷には帰ってこなくなり使用人たちには冷たく扱われてしまうアイリス……
(※この物語はフィクションです。実在の人物や事件とは関係ありません。)
悪役令嬢は自称親友の令嬢に婚約者を取られ、予定どおり無事に婚約破棄されることに成功しましたが、そのあとのことは考えてませんでした
みゅー
恋愛
婚約者のエーリクと共に招待された舞踏会、公の場に二人で参加するのは初めてだったオルヘルスは、緊張しながらその場へ臨んだ。
会場に入ると前方にいた幼馴染みのアリネアと目が合った。すると、彼女は突然泣き出しそんな彼女にあろうことか婚約者のエーリクが駆け寄る。
そんな二人に注目が集まるなか、エーリクは突然オルヘルスに婚約破棄を言い渡す……。
王子に婚約破棄されて国を追放「魔法が使えない女は必要ない!」彼女の隠された能力と本来の姿がわかり誰もが泣き叫ぶ。
佐藤 美奈
恋愛
クロエ・エルフェシウス公爵令嬢とガブリエル・フォートグランデ王太子殿下は婚約が内定する。まだ公の場で発表してないだけで、王家と公爵家の間で約束を取り交わしていた。
だが帝立魔法学園の創立記念パーティーで婚約破棄を宣言されてしまった。ガブリエルは魔法の才能がある幼馴染のアンジェリカ男爵令嬢を溺愛して結婚を決めたのです。
その理由は、ディオール帝国は魔法至上主義で魔法帝国と称される。クロエは魔法が一番大切な国で一人だけ魔法が全然使えない女性だった。
クロエは魔法が使えないことに、特に気にしていませんでしたが、日常的に家族から無能と言われて、赤の他人までに冷たい目で見られてしまう。
ところがクロエは魔法帝国に、なくてはならない女性でした。絶対に必要な隠された能力を持っていた。彼女の真の姿が明らかになると、誰もが彼女に泣いて謝罪を繰り返し助けてと悲鳴を上げ続けた。
婚活をがんばる枯葉令嬢は薔薇狼の執着にきづかない~なんで溺愛されてるの!?~
白井
恋愛
「我が伯爵家に貴様は相応しくない! 婚約は解消させてもらう」
枯葉のような地味な容姿が原因で家族から疎まれ、婚約者を姉に奪われたステラ。
土下座を強要され自分が悪いと納得しようとしたその時、謎の美形が跪いて手に口づけをする。
「美しき我が光……。やっと、お会いできましたね」
あなた誰!?
やたら綺麗な怪しい男から逃げようとするが、彼の執着は枯葉令嬢ステラの想像以上だった!
虐げられていた令嬢が男の正体を知り、幸せになる話。