60 / 62
60話 ライオネル様がいつもと違いますわ!!②
「最近……ライル様の様子がいつもと違いましたので、他にお慕いする方ができたのだと思ったのですわ」
「なっ、そんな相手などいない! 僕が愛してるのはリアだけだ!」
「隠さなくても大丈夫です。わたくし常に覚悟してましたので、潔く身を引きますわ」
「どうしてそうなるんだ!? 僕はリア以外を愛することはない! どうして身を引くなんて——」
ライル様の言葉が途切れる。
堪えていた涙がポタポタと頬をつたってしまった。一度決壊したら、もう止められない。
屋敷に帰るまで堪えるつもりだったのに。
「だって……ライル様は、朝もランチも……わたくしと触れ合うのを避けていらっしゃったし、い、一度、膝に乗せていただいたら……ため息をつかれましたわ……」
「あ、あれは……」
「ですから、きっと……わたくしと婚約解消したいのだと……」
ライル様が固まったまま動かなくなってしまった。
わたくしは相変わらずボタボタと大粒の涙をこぼしている。
「リア、僕を見て」
ライル様の温かい大きな手が優しくわたくしの頬を包み込む。
「リア、他のことは考えないで僕だけを見て」
やっとライル様の瞳を見れば、そこには今まで感じたことがないような熱がこもっていた。
「僕が愛しているのはリアだけだ。僕の女神」
そしてライル様のアイスブルーの瞳が近づいてきて、ライル様の柔らかい唇が額に、頬に、瞼に、そして唇に落とされる。
そのまま啄むように、何度も角度を変えて口づけされてついにわたくしの涙は止まった。
ライル様は額を合わせて、劣情を秘めたアイスブルーの瞳でわたくしを見つめた。
「はあ、ごめん、リア。ずっとリアに口づけをしたくて、おかしな態度になっていたみたいだ」
「そう……なんですの?」
「うん、僕は不器用だからうまくリアを誘導できなくて、いろいろと試していたんだ。誤解させてごめん」
「……かった。……よかった、ライル様が、わたくしをまだ好きでいてくれて……!」
頬を染めて言い訳をするライル様はかわいらしくて、その理由に安堵する。
どうやらわたくしの勘違いだったようだ。ライル様のことになると、どうもうまくいかないものだ。
「リア。僕はリアしか愛せないから、覚悟して」
そうして降ってきた口づけは、今までのお遊びのような口づけではなく、わたくしを深くまで貪るようなものだった。
ライル様の熱が伝染して、わたくしも夢見心地で応える。だんだんと力が入らなくなって、背中からソファーに倒れてしまった。
そんなわたくしを逃さないと言わんばかりに、ライル様の艶めく唇が追いかけてくる。
ライル様がわたくしに覆いかぶさるように抱きしめてきて、頬が上気し赤くなっているのが自分でもわかった。
ライル様はわたくしの唇から離れたかと思ったら、今度は耳に舌を這わせる。
「ひゃぁっ!」
ゾクリとなにかが背中をかけあがり、奇妙な感覚に身体が震えた。
「ああ、リア。かわいい。こんなに僕を誘うような顔をされたら、もう止まれない」
掠れる声で耳元で囁かれ、わたくしはどうしていいのかわからない。
それなのにライル様は耳だけでなく、首の方へとリップ音を鳴らしながら下りていく。
「ラ、ライル様っ! 待って、あのっ……!」
「僕のリア、愛してる。かわいい。僕だけのリア」
ダメだ、ライル様が正気をなくしたようで暴走していた。
このまま流れに身を任せたら、まずいことはなんとなくわかる。
「ライル様っ!! これ以上はダメですわっ!」
わたくしの大声で、ライル様がハッと我に返り身体を起こして、慌ててわたくしの手を引いてくれた。
「すっ、すまない! リアがあまりにも愛しくて、こう抑えがきかず……すまない、もう触れないから捨てないでくれ!」
「お待ちください、捨てたりしませんし、嫌ではないのです!」
いつかのようにライル様が半泣きでわたくしに縋ってくる。
「え? 僕がこんな風に強引にしたから嫌だったのではないのか?」
「ライル様に触れられるのは嫌ではありません。ですがこれ以上は恥ずかしくて無理ですわっ!!」
「そう、か……すまない。そうか、触れるのは嫌ではないのか」
ホッとしたように眉尻を下げるライル様の様子から、もしかしてずっと不安を感じていたのかもしれない。そんな風に悩ませていたなら申し訳なく思う。
だって、わたくしもライル様にたくさん触れたい。
「はい、ですから……」
わたくしからライル様に触れるだけの口づけを落とす。
「これくらいの触れ合いなら、いつでも大歓迎ですわ」
みるみる赤くなるライル様がかわいらしくて、たまにはわたくしから口づけをしてみようと思った。
あなたにおすすめの小説
傷物令嬢は騎士に夢をみるのを諦めました
みん
恋愛
伯爵家の長女シルフィーは、5歳の時に魔力暴走を起こし、その時の記憶を失ってしまっていた。そして、そのせいで魔力も殆ど無くなってしまい、その時についてしまった傷痕が体に残ってしまった。その為、領地に済む祖父母と叔母と一緒に療養を兼ねてそのまま領地で過ごす事にしたのだが…。
ゆるっと設定なので、温かい気持ちで読んでもらえると幸いです。
侯爵令嬢リリアンは(自称)悪役令嬢である事に気付いていないw
さこの
恋愛
「喜べリリアン! 第一王子の婚約者候補におまえが挙がったぞ!」
ある日お兄様とサロンでお茶をしていたらお父様が突撃して来た。
「良かったな! お前はフレデリック殿下のことを慕っていただろう?」
いえ! 慕っていません!
このままでは父親と意見の相違があるまま婚約者にされてしまう。
どうしようと考えて出した答えが【悪役令嬢に私はなる!】だった。
しかしリリアンは【悪役令嬢】と言う存在の解釈の仕方が……
*設定は緩いです
世界の現実は、理不尽で残酷だ――平等など存在しない
こもど
恋愛
「学園内は、身分に関係なく平等であるべきです」
その“正義”が、王国を崩しかけた。
王太子ルイスは、貴族学院で平民出身の聖女マリアがいじめられたと信じ、
婚約者である公爵令嬢アリエノール・ダキテーヌを断罪し、婚約破棄を宣言する。
だが――
たとえそれが事実であったとしても、
それは婚約破棄の正当な理由にはならなかった。
貴族社会において、婚約とは恋愛ではない。
それは契約であり、権力であり、国家の均衡そのものだ。
「世界は、残酷で不平等なのです」
その現実を理解しないまま振るわれた“善意の正義”は、
王太子の廃嫡、聖女の幽閉、王家と公爵家の決定的な断絶を招く。
婚約破棄は恋愛劇では終わらない。
それは、国家が牙を剥く瞬間だ。
本作は、
「いじめられたという事実があっても、それは免罪符にはならない」
「平等を信じた者が、最も残酷な結末に辿り着く」
そんな現実を、徹底して描く。
――これは、ざまぁではない。
誰も救われない、残酷な現実の物語である。
※本作は中世ヨーロッパをモデルにしたフィクションです。
学園制度・男女共学などは史実とは異なりますが、
権力構造と政治的判断の冷酷さを重視して描いています。
---
【完結】アッシュフォード男爵夫人-愛されなかった令嬢は妹の代わりに辺境へ嫁ぐ-
七瀬菜々
恋愛
ブランチェット伯爵家はずっと昔から、体の弱い末の娘ベアトリーチェを中心に回っている。
両親も使用人も、ベアトリーチェを何よりも優先する。そしてその次は跡取りの兄。中間子のアイシャは両親に気遣われることなく生きてきた。
もちろん、冷遇されていたわけではない。衣食住に困ることはなかったし、必要な教育も受けさせてもらえた。
ただずっと、両親の1番にはなれなかったというだけ。
---愛されていないわけじゃない。
アイシャはずっと、自分にそう言い聞かせながら真面目に生きてきた。
しかし、その願いが届くことはなかった。
アイシャはある日突然、病弱なベアトリーチェの代わりに、『戦場の悪魔』の異名を持つ男爵の元へ嫁ぐことを命じられたのだ。
かの男は血も涙もない冷酷な男と噂の人物。
アイシャだってそんな男の元に嫁ぎたくないのに、両親は『ベアトリーチェがかわいそうだから』という理由だけでこの縁談をアイシャに押し付けてきた。
ーーーああ。やはり私は一番にはなれないのね。
アイシャはとうとう絶望した。どれだけ願っても、両親の一番は手に入ることなどないのだと、思い知ったから。
結局、アイシャは傷心のまま辺境へと向かった。
望まれないし、望まない結婚。アイシャはこのまま、誰かの一番になることもなく一生を終えるのだと思っていたのだが………?
※全部で3部です。話の進みはゆっくりとしていますが、最後までお付き合いくださると嬉しいです。
※色々と、設定はふわっとしてますのでお気をつけください。
※作者はザマァを描くのが苦手なので、ザマァ要素は薄いです。
【完結】ヒーローとヒロインの為に殺される脇役令嬢ですが、その運命変えさせて頂きます!
Rohdea
恋愛
──“私”がいなくなれば、あなたには幸せが待っている……でも、このまま大人しく殺されるのはごめんです!!
男爵令嬢のソフィアは、ある日、この世界がかつての自分が愛読していた小説の世界である事を思い出した。
そんな今の自分はなんと物語の序盤で殺されてしまう脇役令嬢!
そして、そんな自分の“死”が物語の主人公であるヒーローとヒロインを結び付けるきっかけとなるらしい。
どうして私が見ず知らずのヒーローとヒロインの為に殺されなくてはならないの?
ヒーローとヒロインには悪いけど……この運命、変えさせて頂きます!
しかし、物語通りに話が進もうとしていて困ったソフィアは、
物語のヒーローにあるお願いをする為に会いにいく事にしたけれど……
2022.4.7
予定より長くなったので短編から長編に変更しました!(スミマセン)
《追記》たくさんの感想コメントありがとうございます!
とても嬉しくて、全部楽しく笑いながら読んでいます。
ですが、実は今週は仕事がとても忙しくて(休みが……)その為、現在全く返信が出来ず……本当にすみません。
よければ、もう少しこのフニフニ話にお付き合い下さい。
【完結】ルイーズの献身~世話焼き令嬢は婚約者に見切りをつけて完璧侍女を目指します!~
青依香伽
恋愛
ルイーズは婚約者を幼少の頃から家族のように大切に思っていた
そこに男女の情はなかったが、将来的には伴侶になるのだからとルイーズなりに尽くしてきた
しかし彼にとってルイーズの献身は余計なお世話でしかなかったのだろう
婚約者の裏切りにより人生の転換期を迎えるルイーズ
婚約者との別れを選択したルイーズは完璧な侍女になることができるのか
この物語は様々な人たちとの出会いによって、成長していく女の子のお話
*更新は不定期です
*加筆修正中です
私の婚約者と駆け落ちした妹の代わりに死神卿へ嫁ぎます
あねもね
恋愛
本日、パストゥール辺境伯に嫁ぐはずの双子の妹が、結婚式を放り出して私の婚約者と駆け落ちした。だから私が代わりに冷酷無慈悲な死神卿と噂されるアレクシス・パストゥール様に嫁ぎましょう。――妹が連れ戻されるその時まで!
※一日複数話、投稿することがあります。
※2022年2月13日、HOTランキング1位となりました。お読みいただいている皆様方、誠にありがとうございます。
旦那様、政略結婚ですので離婚しましょう
おてんば松尾
恋愛
王命により政略結婚したアイリス。
本来ならば皆に祝福され幸せの絶頂を味わっているはずなのにそうはならなかった。
初夜の場で夫の公爵であるスノウに「今日は疲れただろう。もう少し互いの事を知って、納得した上で夫婦として閨を共にするべきだ」と言われ寝室に一人残されてしまった。
翌日から夫は仕事で屋敷には帰ってこなくなり使用人たちには冷たく扱われてしまうアイリス……
(※この物語はフィクションです。実在の人物や事件とは関係ありません。)