追放された殲滅の祓魔師〜悪魔達が下僕になるというので契約しまくったら、うっかり大魔王に転職する事になったけど、超高待遇なのでもう戻れません〜

里海慧

文字の大きさ
40 / 59
ブルトカール編

40、勝手に契約するのはナシだと思います

しおりを挟む
「………………は? え、なにその『生涯唯一』とか」


 やたら重苦しい単語がツラツラと出てきたんだけど、これ大丈夫なのか? 嫌な予感しかしないんだけど……。
 しかも奴隷契約が嬉しいって? こんな子供たちに主人様とか呼ばれても、いたたまれないんだけど!?

「兄ちゃん、主人さま、もしかして知らないのかな?」

「そうみたいだな。主人様、少しオレたちの話を聞いてもらえませんか?」

「……わかった。じゃぁ、飯でも食いながら話そうか」

 子供にひざまつかせてるのもイヤだし、とりあえず美味いものを食べさせることにした。腹減ってんだろうしな。前にみんなで行ったレストランでいいか。こんな昼間じかんなら奴隷商人も来ないだろ。



「いらっしゃいませ! あれ、今日は獣人のお連れ様ですか?」

「うん、コイツらの食べたいもの頼めるか?」

「もちろんですよ! 何が好きかな? 肉? 魚?」

 ふたりとも驚いていた。何でそんなに驚いているのかわからないけど、あ、もしかしたら奴隷契約が邪魔してるのか?

「主人の命令だ。奴隷契約から解放する。これからは心のまま自由に生きろ」

 俺がそう言うと、ふたりの赤い首輪はバチンッと音を立てて外れた。あれ、さらに驚いてる?

「ほら、もう奴隷じゃないんだから、好きなもの頼めよ。まずは腹いっぱい食え」

 ふたりは顔を見合わせてから、「「はい!」」と元気よく答えてモリモリ食べた。本当にモリモリ食べた。
 そんなに、腹減ってたのか? いや、いいんだ、金は気にするな、これでも大魔王だからな。満足してくれたらそれでいいんだ。ひと通り食べ終わったところで、尋ねた。

「それで、獣人族の契約ってなんなんだ?」

「はい、獣人族には生涯でただひとり、忠誠を誓う主人がいます。滅多に出会えないけど、会えばこの人だって必ずわかるんです。そして主人様と血の契約をすれば、獣人族の本来の力が使えるようになります」

「主人さまは、ボクと兄ちゃんの、ただひとりの主人さまだったんです」

「でも、お前たちとその血の契約とか、した覚えないけど」

 だって、コイツらと会ったあと捕まって、ずっと牢屋にいたし。さっき出てきたばっかりだし。

「あ……あの、どうしても主人様になって欲しくて、勝手に契約してしまいました……ごめんなさい」

「え、契約って俺なしでできるの?」

 ライルは気まずそうに答えてくれた。

「はい、主人様の血と、魔力が少し使えれば契約できます」

「血? 血なんて……」

 あっ! そういえば、捕まる時に怪我してた! 牢屋に入ったら、すぐ治してもらえたから忘れてた。え、あの時の血で契約できたの!?

「主人様の血は、一滴あれば充分なんです。たまたま、オレたちの檻に主人様の血がついてて、それでオレもアシェルも契約できたんです」

「だからボクたちには、もうただひとりの主人さまなんです」

「それって解除とか……」


「「できません!!」」


 だよねー! そうだよねー、ていうかさ、勝手に契約すんのはナシだと思うんだよね?
 あの状況じゃ、俺は牢屋行き決定だし、戻れる保証もなかったしな。

「もし俺が迎えに来なかったら、どうしてたんだ?」

「そうですね、本来の力を解放すれば檻なんて脱出できるし、血の契約によって主人様の居場所は大体わかるので、追いかけるつもりでした」

「本来の力って? 俺の居場所わかるの!?」

「主人さまが大体この辺にいるっていうのだったら、わかります」

「本来の力は……見たいですか?」

「うん、まぁ、問題ないなら」

 話聞いちゃったし、契約解除できないなら、せめて独り立ちできるまで世話するしかないしな。それなら、ふたりの事をちゃんと理解しておかないと。

 ここでは難しいようなので、会計を済ませて外に出た。すでに太陽は西へ沈みかけている。暗くなる前にと、ほとんど人のいない広場まで移動した。

「ここならいいかな。アシェル準備はいい?」

「うん、大丈夫だよ」


「「解放 リベラ」」


 その瞬間、目の前が光ったと思ったら、体長ニメートルくらいのホワイトタイガーが二匹あらわれた。もう一回言うぞ、二メートルあるホワイトタイガーだ。ゴロゴロと喉を鳴らしてすり寄ってくる。

 マジで、ホワイトタイガーだ。さすがの俺もヨシヨシと頭をなでる気にはなれない。だってさ、牙が……牙の長さが俺の頭くらいあるって、どうなの?

「わかった、わかったから元の姿に戻ってくれるか?」

 また光ったと思ったら、元の子供の姿に戻っていた。

「はぁ……とりあえず、宿屋に行こう。それから、俺のことはレオンて呼んでくれ」

「「はいっ!」」



 そんな俺たちの後ろ姿を、ワナワナと見つめている人影があった。トカゲの獣人族の奴隷商人だ。レストランに行く途中で、レオンたちを見つけて気になって、後をつけていたのだ。

(あ……あれは、間違いなくホワイトタイガーじゃないか!? まさか、あんなレアな種族だったなんて! レアすぎて鑑定できなかったのか!? あいつら売ったらひとり金貨五千枚は値がついたのに……なんて事だ!!)

 気付かぬうちに、奴隷商人に仕返ししていたレオンだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

辺境に追放されたガリガリ令嬢ですが、助けた男が第三王子だったので人生逆転しました。~実家は危機ですが、助ける義理もありません~

香木陽灯
恋愛
 「そんなに気に食わないなら、お前がこの家を出ていけ!」  実の父と義妹に虐げられ、着の身着のままで辺境のボロ家に追放された伯爵令嬢カタリーナ。食べるものもなく、泥水のようなスープですすり、ガリガリに痩せ細った彼女が庭で拾ったのは、金色の瞳を持つ美しい男・ギルだった。  「……見知らぬ人間を招き入れるなんて、馬鹿なのか?」  「一人で食べるのは味気ないわ。手当てのお礼に一緒に食べてくれると嬉しいんだけど」  二人の奇妙な共同生活が始まる。ギルが獲ってくる肉を食べ、共に笑い、カタリーナは本来の瑞々しい美しさを取り戻していく。しかしカタリーナは知らなかった。彼が王位継承争いから身を隠していた最強の第三王子であることを――。 ※ふんわり設定です。 ※他サイトにも掲載中です。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

追放された荷物持ち、スキル【アイテムボックス・無限】で辺境スローライフを始めます

黒崎隼人
ファンタジー
勇者パーティーで「荷物持ち」として蔑まれ、全ての責任を押し付けられて追放された青年レオ。彼が持つスキル【アイテムボックス】は、誰もが「ゴミスキル」と笑うものだった。 しかし、そのスキルには「容量無限」「時間停止」「解析・分解」「合成・創造」というとんでもない力が秘められていたのだ。 全てを失い、流れ着いた辺境の村。そこで彼は、自分を犠牲にする生き方をやめ、自らの力で幸せなスローライフを掴み取ることを決意する。 超高品質なポーション、快適な家具、美味しい料理、果ては巨大な井戸や城壁まで!? 万能すぎる生産スキルで、心優しい仲間たちと共に寂れた村を豊かに発展させていく。 一方、彼を追放した勇者パーティーは、荷物持ちを失ったことで急速に崩壊していく。 「今からでもレオを連れ戻すべきだ!」 ――もう遅い。彼はもう、君たちのための便利な道具じゃない。 これは、不遇だった青年が最高の仲間たちと出会い、世界一の生産職として成り上がり、幸せなスローライフを手に入れる物語。そして、傲慢な勇者たちが自業自得の末路を辿る、痛快な「ざまぁ」ストーリー!

【完結】帝国から追放された最強のチーム、リミッター外して無双する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】  スペイゴール大陸最強の帝国、ユハ帝国。  帝国に仕え、最強の戦力を誇っていたチーム、『デイブレイク』は、突然議会から追放を言い渡される。  しかし帝国は気づいていなかった。彼らの力が帝国を拡大し、恐るべき戦力を誇示していたことに。  自由になった『デイブレイク』のメンバー、エルフのクリス、バランス型のアキラ、強大な魔力を宿すジャック、杖さばきの達人ランラン、絶世の美女シエナは、今まで抑えていた実力を完全開放し、ゼロからユハ帝国を超える国を建国していく。   ※この世界では、杖と魔法を使って戦闘を行います。しかし、あの稲妻型の傷を持つメガネの少年のように戦うわけではありません。どうやって戦うのかは、本文を読んでのお楽しみです。杖で戦う戦士のことを、本文では杖士(ブレイカー)と描写しています。 ※舞台の雰囲気は中世ヨーロッパ〜近世ヨーロッパに近いです。 〜『デイブレイク』のメンバー紹介〜 ・クリス(男・エルフ・570歳)   チームのリーダー。もともとはエルフの貴族の家系だったため、上品で高潔。白く透明感のある肌に、整った顔立ちである。エルフ特有のとがった耳も特徴的。メンバーからも信頼されているが…… ・アキラ(男・人間・29歳)  杖術、身体能力、頭脳、魔力など、あらゆる面のバランスが取れたチームの主力。独特なユーモアのセンスがあり、ムードメーカーでもある。唯一の弱点が…… ・ジャック(男・人間・34歳)  怪物級の魔力を持つ杖士。その魔力が強大すぎるがゆえに、普段はその魔力を抑え込んでいるため、感情をあまり出さない。チームで唯一の黒人で、ドレッドヘアが特徴的。戦闘で右腕を失って以来義手を装着しているが…… ・ランラン(女・人間・25歳)  優れた杖の腕前を持ち、チームを支える杖士。陽気でチャレンジャーな一面もあり、可愛さも武器である。性格の共通点から、アキラと親しく、親友である。しかし実は…… ・シエナ(女・人間・28歳)  絶世の美女。とはいっても杖士としての実力も高く、アキラと同じくバランス型である。誰もが羨む美貌をもっているが、本人はあまり自信がないらしく、相手の反応を確認しながら静かに話す。あるメンバーのことが……

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。

さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。 だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。 行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。 ――だが、誰も知らなかった。 ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。 襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。 「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。 俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。 無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!? のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!

処理中です...