恋の記録

藤谷 郁

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記録【4】

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4月17日――


夜、春菜とデートした。

パスタが好きだと言うので、タワーホテル内のリストランテを予約するつもりだった。

しかし彼女が望んだのは、ファミリー向けのスパゲッティとピザの店。

―ORANGE―

僕と付き合う女にしては珍しいリクエストだ。

騒がしい場所は嫌いなのだが、これも実験と割り切り、恋人の意向を受け入れることにした。


案の定、店は親子連れだらけで居心地が悪かった。

ドリンクバーに、サラダバー。走り回る子供と、母親が叱る声。カジュアルすぎる雰囲気はデートのじゃまになる。

しかし春菜は笑っていた。蜂蜜たっぷりの甘いピザを頬張りながら、とても幸せそうに。

どうやら彼女は子供好きだ。

僕は子供が好きでも嫌いでもない。ただ憐れに思う。知恵も力も自由もない無力な存在だった、僕も。



食事中、仕事の話をした。業種は違うが、彼女の話はなかなか面白い。頭の回転が速く、打てば響く返答に感心する。

あとは、アパートのトラブルについても少し。苦情は一度きりで済んだようで、今は平穏らしい。僕が守るまでもなく問題は解消しそうだ。

それでも不安そうな彼女に、僕は「守る」と約束した。恋愛感情に応えるために。




今夜のデートは意味があった。

春菜という女は良い。

レザーソールのパンプスが語るように、『らしさ』を持っている。

これまでの女との共通点が見当たらず、特にあの女とはまったく違うタイプである。

賢く、優しく、神経質で怖がりな性格は、まるでうさぎだ。可愛い――と、この前よりも強く、はっきりと感じた。


僕はきっと、愛することができる。

できるか、できないかではなく、必ずできる。

もう、囚われてなどいない。

大丈夫だ。


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